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HappinessPrince&swallows   作者: メロンよりイチゴ
1/3

思わぬ嬉しい再会

田舎に帰郷した一人の男。


彼の回りの人々の織り成す暮らし。


彼等は彼の真実をどう受け止めて行くのか。


彼のダイスは今、神々によって降られようとしています。


良い目が出るでしょうか?

「では、沢本様、本日はご利用ありがとうございました。それではこれで失礼致します。」


「はい、ご苦労様でした。ありがとうございました。お疲れ様でした。」


引っ越し屋さんが全ての荷物を丁寧に降ろし家具の配置をある程度やってもらった。男一人だとかなり辛い。電化製品は買わなくては…まぁテレビとHDDレコーダーと洗濯機と掃除機と電子レンジにトースター、おっと忘れては行けないコーヒーメイカーもいるな。ヤバい冷蔵庫を忘れる所だった。あとは血圧測定機かなぁ。まあそんなとこだな。新居から家電量販店が近くて助かった。歩いて10分だ。スーパーマーケットも服屋も近くて凄く便利な場所のマンションを買えた。田舎もこんなに様変わりしていたとは。


故郷に帰郷したのは何年ぶりだろう。仕事が忙しく両親の葬式以来か。36歳で無職になるとは思いもしなかった。取り敢えずベッドに少し横なりたい。寝室に向かい使いなれたベッドにダイブする。いい感じの弾みだ。奮発しただけはある。結婚してなくて本当に良かった。結婚していたらこんなにマンションには住めなかっただろう。親の遺産と早期リストラ退職金様々だな。飛行機のあとでタクシー移動は腰に辛かった。うつ伏せに寝て枕に顔を押し付け腰の力を抜く。


「ふぃぃ~、あ、あ~…楽だ~…」


このまま眠りたいが飯の買い出しに行かないと。財布をジーンズの右後ろのポケットに押し込み新しい我が家の鍵を持ってスーパーマーケットに向かう。昼を少し過ぎた位だろう。外は車の通りが結構多い。ペットを飼えるマンションだが近くに公園はあるが犬の散歩は駄目らしい。


(猫…外出しなくなりそうだ。猫は駄目だな。それなら…うーん…ペットはやめておこう。)


そうこう考えて歩いていたらスーパーマーケットに着いた。本当に近いな。


スーパーマーケットのかごを持ち取り敢えず今食べる物を目指して惣菜コーナーに向かう。様々な弁当や揚げ物、サラダ、巻き寿司、おにぎり中々充実している。


(まずは弁当だな。ハンバーグ弁当が旨そうだ。ポテサラは外せない。それとアジフライも一枚買っておこう。昼飯にはこれで足りるだろう。夜は外に食べに行けばいい。まだ冷蔵庫も電子レンジもIHヒーターも無いからな。料理はまだ出来ない。2リットル入りのお茶も買っておこう。今日はこのくらいで良いだろう。)


レジに並ぶ四人前にいるが店員の手際がかなり良いのでスムーズに精算が終わった。


「お会計は1184円になります。」


「はい、1200円からお願いします。」


「1200円お預かりします。…こちらレシートと16円のお返しとなります。ありがとうございました。」


店員さんが然り気無く割り箸を入れてくれ買い物を袋詰めをしてくれたので助かった。


「どうもありがとう。」


「ありがとうございました。たまお越しください。」


凄く丁寧な店員さんだった。スーパーマーケットの帰り際後ろから声を掛けられた。


「もしかして沢本直哉君?」


振り返るとどこか懐かしい顔の薄手のセーターにジーンズを着て履いたスレンダーで中々のお胸のボリューミーな美人さんが両手に買い物袋を持って立っていた。見覚えがある。確か名前は。


「えーと…山城…加奈子ちゃん?」


「うん!そう!山城加奈子!やっぱり直哉君やった~。高校の頃とあんま変わらんね~!元気しちょった?」


「ははははは、そういう加奈子ちゃんも変わらない…いや、ますます美人さんになったね。驚いたよ。」


お胸に目が行きそうになるのを我慢して加奈子ちゃんの顔を見て話す。


「もう~♪美人さんとかやめて~。恥ずかしいやん。おばさんば~い。」


「いやいや、美人さんは美人さんだよ。うん。そうしたら俺もおじさんだね」


「そうやね、あはは。直哉君、東京やなかったん?」


「うん、仕事辞めちゃってね。ゆっくりしようと思って帰ってきた。東京に一人で住むには物価が高いからね。田舎で楽に隠居生活をしようと思ってね。」


「いい男なんに結婚せんやったと?」


「うーん、彼女はいたよ?同棲もしたことあるよ。でもね少しの間だけ長くて3年くらいの付き合いだったかな。同棲をしたり別れたりを何人か繰り返してたよ。仕事を優先にし過ぎていたからかな?ははははは。」


「あら、じゃあ今、独身貴族?あらあら。あっ、そうだ。今週の土曜日空いちょう?」


「うん、空いてる。」


「懐かしい顔が揃うよ。5~6人のこまい同窓会やるんよ。やき直哉君もおいで。皆喜ぶと思うし♪。」


「ほう~同窓会かぁ。そういえば出たこと無かったなぁ。OK予定に入れておく。タクシーで向かうからお店を教えて?」


「えっ、車やないと?直哉君歩いて買い物に来たと?」


「うん、この道を歩いて4~5分の所のマンションだから。」


「えっ!あそこの半年前に出来たばかりの所?」


「そうなんだ。まぁ、俺の退職金とうちの親の遺産があったからね。使い勝手が良さそうだから買ったんだ。」


「マジで独身貴族やん。良いとこ住んじょるね~!あっそうだ送って行くき。車こっち。」


「お~助かる~♪お言葉に甘えさせて貰うね。」


加奈子ちゃんの車は黒紫の大型のワンボックスだった。綺麗に掃除もしてある。真新し新車の様だ。


「へぇー。大きな車を運転しているんだね。」


「…ファミリーカーやし。買い物行くにも荷物載せられるきね。やからこれ買ったと。」


「なるほど、ファミリーカーか。大きな車いるよね。」


「…うん、…そう。あ、そうやんあたしが土曜日迎えに来ようか?」


「お~♪マジで~よろしくお願いしま~す。」


「直哉君電話番号交換しとこう。サクネやっちょる?」


「サクネ?あ~サークルネットか。うんやってる。」


「後でサークルに誘うね♪」


「OK了解」


「直哉君それっちお昼の分だけなん?買い物」


「うん、まだ家電が無いからさ買溜め出来なくてね。明日にでも家電量販店に買いに行くつもり。」


「そうなん。えっ、今日帰ってきたばっかやったと?」


「うん、家具はある程度配置をしてもらってるから住める状態には一応はなってるよ。」


「そうなんたい。あたしもこの先の坂道を登った先の建て売り住宅に住んじょんよ~。結構近いっちゃ~♪。今度うちにおいで。夜こまい同窓会するときに集まったりするっちゃんね」


「ほらほう了解、その時はお呼ばれしま~す。あっ、そこでの路肩で。加奈子ちゃん送ってくれてありがとうね~。」


「いいよ~♪あ、あ、電話番号とサクネ交換しちょこう!」


「おっとっと、危ない危ない忘れる所だった。」


加奈子ちゃんと電話番号とサクネのアドレスを交換して車を降りた。


「じゃあ、直哉君またね~♪」


「うん、加奈子ちゃんまたね。送ってくれてありがとう。運転気を付けてね~」


「はーい、じゃあね~♪」


加奈子ちゃんは去り際にクラクションを軽く二回鳴らして帰って言った。高校の卒業式以来だったが加奈子ちゃんは加奈子ちゃんのままだった。変わらない物も在るんだなと考えてエレベーターに乗り15階のボタンを押す。俺がここを買う時に空いてる部屋は最上階だった。眺めも良いし高さが有るから車の音も気にならい。しっかりした造りだから下の階の生活音も聞こえない。

良い物件を買えた物だ。椅子に座り買ってきた弁当などの食べ物を袋から出してグラスにお茶を注ぎ入れる。


「いただきます。」


面倒くさいので手は合わせない。割り箸を割り食べ始める。


「一人だとモグモグ、やっぱり広いな。モグモグ」


リビングダイニングで20畳位、ウォークインクローゼットとクイーンサイズのベッドが余裕で入る広い寝室が二つとあと八畳程の部屋が二つ。広めの風呂と無駄に広いトイレ、バルコニーもかなり広い。…ジャグジーもあるのだが…一応囲ってはある。同じ高さの建物は無いからな見えないだろうが…庭のようなバルコニー。ガーデニングが楽々出来そうだ。やらないけど。虫が嫌いだし鳩も来るらしいから前もってネットを張って貰っている。家電品さえ揃えば普通に生活出来る。人生最高の終の住処を俺は手に入れた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


あたしは嬉しさと驚きを隠せずにいた。久しぶりに同窓生の沢本直哉君に会えた。しかも二人きりで車に乗った。高校生の時に他の高校の女子達にまで名前を知られている有名人だった沢本直哉君とだ。あたしの事も覚えていてくれた。しかも!しかも美人さんだって言ってくれた♪サイコーじゃん~♪休日に買い物に行った甲斐があった♪身長も高くスラッとしてて格好いいままの直哉君だった。電話番号もサクネのアドレスも交換したんだよ~♪この自慢をサークルメール回さねば。


kana

・緊急報告!今度の土曜日の

プチ同窓会にゲストが来ます!!



暫くして石田智子ちゃんから返信が来た。


tomomo

・何?またチワワの赤ちゃん産まれた?

土曜日のお店は居酒屋さんだから

ペット駄目だからね?


…もう!ペットじゃないし、ターチャンは死んじゃったし。


kana

・ターチャンはもう半年前に

お亡くなりになったよ…


tomomo

・あ、そうだったねごめん。



akimasa

・ゲスト?


棚田明雅君から返信。


kana

・うん!雅君も驚くビッグゲスト~♪


akimasa

・ほう~♪それは楽しみだな。


tetuya

・雅君、期待薄いぞ。

加奈ちゃんが鼻息荒い時は

大概男だぞ。


石田哲也君から返信。


akimasa

・な・ん・だ・と!?なんだ男か…


kana

・…テッチャン確かに!確かに

男の人だけど絶対皆驚くよ!

あっ!忘れてた。

サークルに誘うって言ったのに。

今から誘うね~♪


tomomo

・えっ!サークルに誘うほどの人!?


kana

・うんうん!絶対誘わなきゃ行けない

って思ってサクネのアドレスと

電話番号交換した。


tomomo

・加奈ちゃん積極的だ…

ターチャンをペットショップで

見付けた時以来じゃない…


《naoyaが入室しました。》


naoya

・…ヤホ。お久し振り…

大丈夫かな?沢本直哉です。

覚えている?


akimasa

・!!直哉ーーーー!


tetuya

・なおちゃんーーーー!


tomomo

・嘘ー!本当に沢本君!?


naoya

・うん、えーと、色々ご無沙汰してた。

今日帰って来た。


akimasa

・お前ー!たまには帰って来とけよー!


naoya

・あ~…もうこっちに帰って来たから

こっちに住む。


tetuya

・ま・じ・で・?(喜)


naoya

・マ・ジ・で(本気)

だからよろしく♪


kana

・智ちゃんどうしたの?いるよね?


tomomo

・驚き過ぎてスマホ見つめてた。

沢本君、私、川野智子覚えてる?


naoya

・あ~、軽音部に来てテッチャンと

イチャイチャしてた智ちゃん?


tomomo

・覚えてくれてた~でも、

なんか恥ずかしい覚えられ方ー!


kana

・直哉君、二人は今でも

イチャイチャしてるよ。


akimasa

・うんうん。今でもたっぷり

イチャイチャしてる。間違いない。


tetuya

・雅君ー!


tomomo

・雅君ー!


akimasa

・違うか?


tetuya

・間違いありません。


tomomo

・間違い無いです。


naoya

・ふむ、その辺りは通常運転だな。

ウンウン。


kana

・直哉君、今何かしてた?


naoya

・いや、さっき買ってきた飯を

食べ終わってソファーで

ゴロゴロして動画見てた。


kana

・あっ、テレビとか無いんだっけ?


naoya

・そそ、エアコンは天井設置型のが

付いてた。でもスマホのプラグは

買いに行かなきゃ駄目っぽいな。


kana

・マジで?


naoya

・うん、充電出来てないっぽい。

ちょっと出かけて来る。

じゃ、またね、皆。


kana

・はーい、またね~♪

気を付けて行ってらっしゃい~♪


akimasa

・おう。またな直哉!


tetuya

・なおちゃんまたね~♪


tomomo

・沢本君またね~♪


kana

・ドヤッ!ビッグなゲストでしょ?

ニヤニヤ


akimasa

・ビッグゲストより

びっくりゲストだわ加奈子(笑)


tetuya

・イヤー、マジで

びっくりゲストだった。


tomomo

・加奈ちゃん、お話があります。

サクネと電話番号を交換したって

一体をどこであったの?

全部吐きなさい。


kana

・うちから近いスーパーマーケットで。

買い物が終わってお店を出たら前を

直哉君が歩いてた。話し掛けて

あたしの車で直哉君の家まで送りました。


tomomo

・えっ、沢本君あの辺りに家あった?

ご両親いたよね?

凄く仲のいいお父さんとお母さん


tetuya

・智子、なおちゃんのご両親は8年前に

トラックが家に飛び込んだ事故で…


tomomo

・あっ…そっか…


akimasa

・直哉それから帰って来てないからな。

そこは直哉の触れちゃ行けない所かも

知れないからな。気を付けておけよ?


kana

・了解!


tomomo

・了解!


tetuya

・了解!


akimasa

・それじゃ俺は仕事に戻るわ。

加奈子また夜にな。じゃあな~♪


tetuya

・俺も仕事に戻る。じゃあね~♪

智子~♪愛してるよ~♪


tomomo

・テッチャン頑張ってね~♪

私も愛してるよ~♪


kana

・雅君ごめんね夜頼むねー!

はーい、またね~♪

はぁ…智ちゃんラブラブだね…


tomomo

・うん!良いでしょ~♪


kana

・うん、…はぁ、マジで離婚届に

サインと印鑑捺してくれるかな。


tomomo

・加奈ちゃんサクネ!

今サクネのサークル中!


kana

・おっと…ヤバいヤバい。


tomomo

・土曜日に毒いっぱい吐き出せ。

加奈ちゃん。

いい男で目の保養しませう。

ぐふふふふ♪


kana

・うん!土曜日にたっぷり

目の保養と耳の保養も出来たら

良いなぁ~♪


tomomo

・!!それだ~♪加奈ちゃん!!

それだ~♪沢本君で全てを癒そう!


kana

・うん!じゃあ!土曜日に!またね~♪


tomomo

・うん!土曜日に!またね~♪



あたしは土曜日に胸を膨らませて大いに期待した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今晩あの男が来たらサインと印鑑を捺して貰う。それであたしはあの男から離れられる。あの男は渋ってサインと印鑑を捺さない。自分の国税職員の立場がどうのこうの言っている。

あたしには関係の無いこと。あの男の立場なんて。


娘とあの男が親子以上の関係(・・)だと判ってから離婚を決断した。死んだ妻の連れ子を娘として引き取り男独りで育てているとあたしに紹介した。


今から5年前、結婚した当初、あの子は16歳だった。あたしにも直ぐに懐いて可愛いかった。その頃から二人が仲良くお風呂に入ったりしていてもあまり気にしていなかった。親子の仲が良いのだろうと思っていた。


先月のあの日あたしがまさかその時間に(・・・・・)帰って来るとは二人は思って無かった様だった。その日は18時までの仕事だったので仕事仲間と食事会に行って帰宅が遅れた。家に帰宅するとバスルームの方から娘の声が聞こえて来た。その声は娘と言うより女の悦ぶ声だった。二人がバスルームで何をしているか直ぐに理解出来た。あたしはスマホで録画しながらバスルームに向かい二人が言い逃れを出来ない様に行為をしている事を記録するためにバスルームのドアを開けた。二人は行為のまっ最中だった。二人をその日のうちに家から追い出した。


1週間後の日曜日に雅君とあたしがあの男を喫茶店に呼び出しあの男に裁判所に出て離婚調停をするか、離婚届にサインをするのかを選ばせて上げた。あの男はサインをする方を選んだ。だけどもう半月も待たされた。


だから今夜に刑事の雅君に頼みあたしの知り合いの弁護士さんの立ち会いであの男に離婚届にサインを記入させる。今夜あの男がどうしてもサインをしないのならあたしは裁判に訴え出る。今夜はあの男とあの子とさようならをしてあたしが一人に戻る事が出来る記念日になるはず。


自身の恋愛ではありません。全てフィクションです。地域名なども実際のモノではありません。

…多分。

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