拍子抜け?
無事といえるかは分からないが、フラウとも契約は完了した。
私は元々フラウに契約を持ち掛けるつもりはなかった。
その力さえ借りられれそれでいいと思っていた。
それでも彼女に契約の話を持ち掛けてしまったのは、私自身がこの世界にやってきたことを想像以上に心細いと感じていたからだろう。
本来ならこんなところで出会えるはずのないキャラだが、彼女は私の知るフラウそのまんまで何一つイメージと違わなかった。
子供のように……というか子供なのだが、無邪気な笑顔や心からの優しさを感じ、手放したくない、一緒にいたいと思ってしまう私がいたのだろう。
そんな彼女も今となっては私の契約精霊。
現在は私と手を繋ぎ、隣でスキップしている。
フラウは迷いの森で迷ってしまい、偶然にも私の家を見つけてやってきた。
出口を探していて疲れてしまったとのことから、森を出ようとしていたのは分かるんだけど、私の精霊になったことで私の傍が彼女の居場所になってしまった。
つまり、どうにかして森を抜けようという急ぎの気持ちはもう彼女にはないのだが、私は外を出歩いてこの世界を探索してみたいので、フラウとお散歩といった形で森を歩いている。
フラウは私を信頼してくれているようで、ゲームでのマップ知識しかない私の言葉を疑うこともせずに付いてきてくれる。
正直言って無事に森を抜けられるか自信はにないが、フラウと一緒なら大丈夫な気がする。
そう思っていたのだが。
「なんだか不気味なくらいするする通れてる……?」
「さっきと違って風の流れも変な感じしないし、道もこっちで合ってるよ」
私は記憶の中のマップを頼りに迷子上等の覚悟で歩いていたが、特に迷うようなことはないし、フラウも風の力で道を把握できるというため私もやってみると確かに分かった。
モンスターの姿も見当たらないし、拍子抜けしてしまう。
私はなんだか森に意思があって導かれているような感じがしてならない。
まるで森が私の味方をしてくれているような……。
「ルナおねーさん? 難しい顔してどうしたの?」
この森についても分からないことばかりで、ついつい考え事に耽ってしまいそうになるが、フラウの呼びかけに私ははっとする。
「ごめんごめん。私達がまた迷子にならないように気を付けてただけだよ。ここは迷いの森。ちょっと油断するとすぐ道に迷っちゃうから、フラウも風で道の確認お願いね」
私がそういうとフラウは迷子で心細くなっていた時のことを思い出してしまったのか少し青ざめて、風を使って辺りを把握し始めた。
しかし、そんな警戒も杞憂だったようで、しばらく歩き続けていると道が開けてきて、森の出口へとたどり着いた。




