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「鳥顔」
鳥顔の男が湖畔に佇む
鳥顔の女はそれを見てる
鳥顔のヤツらは、トリトリしている
だから寡黙な連中ばかりなんだ
鳥顔の男が枝を啄む
鳥顔の女はそれを見てる
鳥顔のヤツらは、トリトリしている
だから気難しそうなのばかりなんだ
鳥顔の男は哲学書を読む
鳥顔の女は日焼け止めを塗る
両者揃って水浴みすることなく
ただ突っ立って向こう側を視てる
鳥顔のヤツら、やっぱりトリトリしている
あの男と女も、トリトリしていた
だから他者からの評判が芳しくないんだ
だから首元をすぐ痛めるんだ
だから夜になると目が悪くなるんだ
だから人生ってよくわからないものだ




