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最強魔王の異世界単身赴任  作者: 怪ジーン
第一部 自宅にて
3/15

自宅二話 外出チャーンス! 到来

「やっと開けてくれましたです。まだか、まだかと待ちくたびれたです。

もしかしたらこのまま忘れ去られるのではないかと。あー、そうそう手土産持って来たんで食べてくだ──あ、ちょっと!」


 ワシはウサギの耳を鷲掴みして持ち上げた。どっからどうみてもウサギ。

ただし、ウサギは燕尾服など着ないし、喋らんがな。


「貴様、何者だ! ここをワシの家と知っての狼藉か!?」


 少し脅してやろうと睨み付けてやった。

なのにこのウサギ「耳! 耳千切れるです!!」と叫びながら暴れるだけ。

しかも、本当に耳が千切れるのではないかというくらいに暴れやがる。


 ワシはひとまずコイツをゴミ箱に捨てた。あとで、ゴブリンの使用人に捨てさせよう。


「ちょっと、ちょっと。ゴミ箱にワイを捨ててどこ行くつもりなのですか!?」


 ワシは無視して部屋を出ようと扉に手をかける。


「わー! わー! せめて話くらい聞いてください! お願いします。魔王の名が泣きますよ。あほ、狭量、すかぽんたん」


 よし、コイツ殺すか。ワシに向かってアホとは。

大体話を聞いて貰う態度じゃないだろ。


「よし、話を聞いてやる。素焼きがいいか、蒸し焼きがいいか、どっちだ?」

「え? ご馳走してくれるのですか? ありがとうございます。ワイは、やっぱり素材を活かした素焼きが……あ」


 コイツ馬鹿なのか? 自分の食べ方を選ばしただけなのに。だが、流石に気づいたようだな。


「最近太ったので、脂を落とした蒸し焼きもいいです」


 ワシは何だか馬鹿馬鹿しくなってくる。さて、ワシは忙しいのだ。そろそろナツが目を覚ます。目覚めの紅茶を淹れなければ。


「ちょっと、待っていろ。今、嫁に紅茶を淹れてくるから。お前の調理はその後だ」


 ワシは自室にウサギを置いて部屋を出る。

自室の扉を閉めた瞬間に、一目散に寝室に向かい走り出す。

ナツが起きていないか心配だ。寝室の前に着いたワシは扉の隙間から覗き込む。


「大丈夫……だな。よし」


 何事も無いように寝室に入ると、ゴブリンが持って来ていた紅茶セットが枕元に置かれていた。


 ワシは早速紅茶の用意をし始める。仄かに薫る茶葉の匂いが心地よい。

ワシが紅茶を注ぎ始めると、ナツが目を覚ます。

タイミング、バッチリ。流石、ワシ。


「おはよう、ナツ」


 起きたばかりのナツの額にキスをする。

寝起きのキス、紅茶、着替えの用意。

これが、起きたナツへの三種の神器。

ワシは紅茶のカップをソーサーごとナツに差し出す。

ナツは紅茶を口にすると、手を止めて紅茶をワシに返してくる。

あれ? もしかしてやっちまったか、ワシ。


「獣臭い……」


 は? 獣? あ、アイツか! しまった、アイツの匂いが紅茶に移ったのか。

ナツが不機嫌な顔をするので、どうしてやろうかと寝室を出ようとする。

しかし、ワシのガウンをナツが掴んで、それを阻んできた。


「どうした?」


 不機嫌だと思っていたが寂しげな目をするナツ。

ワシのガウンの裾を掴む様な甘える仕草を見せるのは珍しい。

思わず口元が緩んでしまうではないか。


「家に居るのに、どうして獣の匂いがつくの? 浮気?」


 甘える為ではなく尋問の為の引き止めだったみたいだ。

しかも、思わずニヤけてしまった。

尋問中にニヤけるなどもっての他だ。

 ナツはベッド脇の紐を引く。そんな紐あったか? と考える間もなく、ザンッ! と音と共に天井からベッドに剣が突き刺さった。


 ちょっと待て。そこワシがいつも寝る位置ではないか。いや、確かに昨日寝る時には無かったぞ。

いつ仕掛けたのだ。


「ウケケケケケッ!!」


 そして、またワシはナツに斬られる。折角の高級ガウンもビリビリだ。

ワシの頭の中は、あのウサギをどうしてやろうかとばかり考えていた。



◇◇◇



 全部、あのウサギのせいだ。

ワシは寝室から飛び出て、自室に居る筈のウサギに、一言文句を言うべく足早に向かう。

どこかに行ってないだろうな。


 力強く叩きつける様に扉を開けると、視界にいまだゴミ箱に入ったウサギがいた。


「なんで、全裸なのですか?」

「うるさい! お前のせいだ!」


 ガウンが破られ全裸のままのワシは、ウサギの耳を鷲掴みするとゴミ箱ごと机の上に載せ、椅子に深々と座った。


「話は聞いてやる。冥土の土産にな」

「そんな……ご馳走だけじゃなくお土産まで頂けないです」


 会話が通じんのか、コイツは。苛立ちが増してくるではないか。


「いいから、話せ」

「はい、それじゃ失礼して。あれ……取れないな……ふん! あれ?」


 ゴミ箱から抜けようと試みているが抜けんらしいな。


「まぁ、あとでいいです。まず自己紹介を。

ワイは次元ウサギのタツオって者です。

実は此処とは別の世界サザービの魔王から助けを求めてやって来たんです」


 普通のウサギではないのはわかったが、次元ウサギ? 聞いたことないな。それに別の世界の魔王だと?

少し興味の出たワシは、ひじ掛けに片肘をついて顎を乗せる。


「なるほど。別世界の魔王に追われておるのか」

「へ? あ、違うです、違うです。サザービの魔王が助けを求めてるのです。その、勇者パーティーが異様に強すぎて……」


 何!? 魔王のクセに助けを? 情けない!! 同じ魔王だった者として、説教してやりたいわ!

それに異様に強い勇者か……ワシの場合、消化不良だったからな。

少し、興味はある。


「うむ……行ってやりたいのは山々なのだが、ワシは嫁に外出を禁止されとるしなぁ」

「だったら、説得してくださいです! お願いします!! かわいい娘も用意してあるのです! 是非!」


 説得? ワシが? 嫁に? コイツはワシに死ねと言ってるのか!?

元魔王ガルドラ


レベル999


体力9999

魔力9999

物理攻撃力7999

魔法攻撃力9990

物理防御力9500

魔法防御力9999


スキル


物理耐性99 魔法耐性99 物理貫通 魔法貫通


闇魔法 光魔法 四属性魔法(火、水、風、土)


詠唱破棄 同時詠唱4 超速回復(体力・魔力)


万能言語 鑑定 纏炎

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