表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
五章:追憶編
61/66

60.逃亡生活

久しぶりの投稿です。

話の展開を練っている為、

更新が遅くなっています。ご了承下さい。

 魔種の背中に乗ったまま、僕は過ぎ行く景色を見ていた。そこに惜別の気持ちは存在していない。無感情に遠くなった街を、家を見ていた。


「魔種の男を追えっ!!!」


 人間種の兵達は数キロメートル離れているが、まだ追い続けていた。何か報酬が用意されているのかもしれない。兵達の目は欲望に飲まれているのが分かる。


「まだ追って来ますか。アデル、掴まって下さい。速度を上げます。」


「うん、分かった。」


 魔種の肩を掴むと、魔種は更に足を速める。だが、息切れする様子は無い。魔法を発動しているのかもしれない。【身体強化】か何かだろう。


 そのまま雪道を走った。積もった雪には足跡が残るが、雪が降っている為、暫くすれば足跡は綺麗さっぱりなくなっている。徐々に兵達の声も遠ざかっていく。振り返るとそこに兵達の姿は無かった。追い掛けるのは諦めたようだ。


「もう少し進んで休憩しましょう。寒いですからね。」


 僕は頷く。魔種は速度を落とすと歩き出した。雪を踏む音が心地良い。兵達の声が聞こえなくなった頃。僕は魔種に問い掛けをした。


「これからどうするの?」


「取り敢えず人間種に見つからないように過ごします。当初は私だけが逃げる予定だったので、〈ウイルダル〉に行くつもりでした。ですが、アデルを連れているので行けません。暫くは国内で身を隠すことになりそうです。」


「僕のせいだよね。ごめんなさい。」


「過ぎたことです。今はこれからの事を考えましょう。」


 僕は魔種の背から降りた。そして隣を歩く。


「あのさ、あなたのこと、何て呼べばいい?」


「何でもいいですよ。お好きなように。」


「じゃあ、シロ!僕はその白髪が好きだから!」


 僕は魔種の髪の毛を指さして言った。するとシロは笑った。そのままですね、と。その時、本当はどう思っていたのだろう。僕はとても気になった。


 ***


「ここらで休憩しましょう。そこに丁度良さそうな洞穴があります。」


 シロは先に中の様子を確認して、安全なことを確認すると僕の手を引いて洞穴に入った。洞穴の中は温かった。外が雪が降っているとは思えないぐらい。シロの方を見ると、何やら唱えていた。恐らく、魔法だ。聞いたことのない魔法。現代には忘れ去られてしまったのか、魔族しか知らないのか。


 シロが魔法を唱え終わると、何かの空間魔法が発動した。高度な魔法だ。ルカが使っていた亜空間魔法とまではいかないが、普通の魔法使いでは一生使えないであろう魔法だ。収納量に制限のあるアイテムボックスと言ったところだろうか。


「これを食べてください。体が温まりますよ。」


 僕はシロが取り出したスープを飲む。温かくて美味しい。心が休まるような味だった。それが果たして外の気候のせいなのか、シロが料理上手だからかは分からなかったが、どちらでも良い。そしてスープを飲み終わった僕は寝てしまった。既に時刻は真夜中だ。疲れていたのもあるのだろう。夢は見なかった。


「アデル、起きて下さい。」


 そんな声に促されて朝起きると、シロが横にいた。僕を洞穴に置いたまま、逃げようとはしなかったらしい。やはり、シロは優しいのだ。魔種かどうかなど関係ない。元は同じ、神様によって創り出された存在なのだ。そこに感情の違いは無い。あるとすれば少しばかりの能力と姿形だけだ。


「今日はどうするの?」


 目を擦りながら僕はシロに尋ねた。シロは少し迷った後、こう言った。


「そうですね。今日は近くにある街に行きます。そこでアデルの服を変えましょう。」


 そう言われて気付いたが、僕は寝巻のままだった。逃げてきたのだから仕方は無いのだが、流石にこのままでは動きづらいのだ。そして、寒い。風邪をひいては元も子もない。有り難くその提案に乗ることにした。


 洞穴を出ると、雪は止んでいた。鳥の声が聞こえる。春の訪れは近いようだ。春になれば僕達も動きやすくなるが、同時に人間種の動きも活発になるだろう。人間種は恐らく、どこまでも追いかけてくる。


「寒いとは思いますが、水で顔を洗ってください。」


 シロが指さす先を見れば、川があった。昨日は暗いため気付かなかったが、近くには川が流れていたようだ。川は所々凍っている。凍ってない水を掬うと、とても冷たかった。


「冷たっ!」


「我慢してください。眠気もよく冷めますよ。」


 シロは水で顔を洗っているが文句の一つも言わない。我儘を言い続けるのもどうかと思ったので、大人しく顔を洗った。手の感覚が無くなる。でもシロの言った通り、眠気はすっかり無くなっていた。


 顔を洗うとシロは立ち上がり、僕が立ち上がるのを手伝ってくれた。慣れない所で寝たからだろう。疲れが隠せていなかったのかもしれない。シロと手を繋いで、僕達は雪原を一歩ずつ歩いていった。


 僕は見た事の無い景色に興味が湧き、左に右に視線を動かし、少しでも多くの景色を見ようとした。その様子をシロは微笑ましく見ている。僕が気付いた時には既に街に着いていたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【 他の連載作品 】

廃墟世界の大改革

【 お知らせ 】
ありがとうございます!

◇始祖の竜神と平凡の僕◇
4000PV達成しました!

◇廃墟世界の大改革◇
100PV達成しました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ