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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
五章:追憶編
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58.原初文明 Ⅲ

遅れました……。

原初文明(プリミティブ)〉のお話はここで終わりです。

 声は語る。


『いつしか人間種は、神様にとって思いがけない全種族の敵となっていたのです。それは人間種にとっても思いがけないことでした。人間種が科学という力を生み出したのはあくまでも魔種を倒すため、そう思っていたからです。


 神様は思いかけない事態に世界に干渉しようかとも思いましたが、少し考えてそれもまた面白いと干渉することをしませんでした。それが世界にとっては最悪への転換点だったのかもしれません。


 世界は三つに分割されることになりました。魔種と人間種と他の種族と。他の種族達の間でもいざこざは少なからずありましたが、どれも大事に至る前に権力者によって沈められました。だからこそ一定の関係を保てていたのでしょう。三つに分割したと言ってもこれは三等分とは到底言えないものでした。


 元来より繁殖力が高い人間種。反対に魔法力があるために繁殖力が全種族の中でも随一に低い魔種。世界は人間種:他種族:魔種でおおよそ6:3:1に分けられました。ここが妥協点だったのでしょう。しかし、生物は貪欲なのです。私達がそうであるように。人間種は世界の10分の6の土地では全く満足しませんでした。更に貪欲に。同時に科学という力もまた貪欲に進化していったのです。


 いつしか科学という力は魔法に代わるものとして、他種族の間では魔法と言われてましたが、それはまた別の話です。人間種はその科学という力を存分に使用しました。


 ですが他種族はそれにみすみす負けるわけにはいきません。負けた先にあるのは死のみだったからです。人間種は他種族に対して同情の欠片すらなかったのです。


 他種族が人間種に勝つ手段は唯一。先手を打つこと。他種族は頭を悩ませながら、時に姑息な手も使いながら人間種に対抗していったのです。その間、そのどちらにも属さない魔種は何もしていたのか。それは鍛錬でした。魔法の鍛錬です。精霊種(エルフ)の協力者と共に魔法を人間種と同じく進化させようとしていました。


 精霊種の魔法に対する知識は、神様より与えられたという事もあり、大変素晴らしいものでした。魔種は一つ一つと知識を付けていく事に確かに力をつけていったのです。


 ────決着。そういう機会が訪れるのはそう遠くない事だったのです。』


 突然、声は止んだ。僕を気にしているようだ。だが、今日の僕はどうやら眠りにつくのが遅かったらしい。まだ元気に話を聞いていた。その様子を確認したのか、声は再び語り始めた。


『三つの勢力の争いは終わりが見えてきました。それは神様の企みが始まって数千年が経った時の事です。勢力が三つに分かれてからは数百年の事です。


 人間種は最も悲惨と言われた、科学の一種の最終形態である〈核兵器〉を作り出しました。魔種は精霊種の協力者と共に最も残酷と言われた、魔法の一種の最終形態である〈終焉魔法〉を編み出しました。そして、他の種族はそれを抵抗する術はありませんでした。


 結果は明らか。人間種と魔種の均衡でした。魔種は人間種に科学という力で負けていましたが、魔法を進化させる事によって人間種に追い付いたのです。どちらの種族もすぐに互いの奥の手を出しました。それだけ互いは均衡していたのです。


 二つの種族が争っていたのは〈原初文明〉において〈始まりの地〉と呼ばれる場所でした。ここで五大種族が先祖が創造されたのです。〈始まりの地〉は広い草原であり、それを南北に分けて二つの種族は戦っていました。


 草原に流れるのは神様によって、悲劇に見舞われた罪なき人達の血。勿論、戦う者達の中には戦意があり、相手を恨んでいる者もいました。


 しかし、農民兵など全く恨みを持たないまま、ろくな戦意も持たないままに戦う者達もいました。そのような者達も命を散らしていったのです。神様の思うままに。


 その戦いは数日、数週間と続き、いつしか数十年経っていました。互いに疲弊し、死者も数千万人に上っていました。世界の人口は、一割未満も残っていなかったのです。生存者は僅か数千人。それも戦う者のみでした。悲惨で残酷な兵器を作り出した者達も全員死にました。戦えと指揮を執った者も全員死にました。


 戦う者達は戦う目的を失っていたのです。何のために戦っているのか。それを知らずに。


 その戦争が集結したのはそれから数日後。


 とある一人の兵が言いました。こんな戦いはもううんざりだ、と。そう言う兵に対してふざけるな、と斬り付けようとした兵がいましたが、その兵は別の兵によって止められました。戦意をなくしたのは最初に声を上げた一人だけではありません。


 次々と戦っていた兵達は戦いを止め、武器を捨てました。初めて見えた終わりの兆しだったのです。人間種も魔種も互いを恨む気持ちはなくなっていませんでしたが。


 神様は当に満足していました。滑稽だ、滑稽だと言うとその世界を〈視る〉事を終えたのです。つまり、その世界は神に見捨てられた世界となりました。同時に救われた世界にもなったのです。


 元よりこの世界は竜神によって作られた世界。他の神様が離れていったとしても何ら不都合は無かったのです。本当の意味で世界は救われました。同時に始まりの文明〈原初文明(プリミティブ)〉はここに終わりを告げました。


 そして、世界は移り変わっていくのです。文明が一つ終わっても世界の種族は途絶えていなかったのです。五大種族はそれぞれが生き残った者達と共に集まり、新たな文明を徐々に築いていったのです。その新たな文明をこう言うのです────〈五国文明(ディヴァイディング)〉と。』

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