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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
五章:追憶編
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57.原初文明 Ⅱ

 幼い僕に向かって、〈原初文明(プリミティブ)〉と呼ばれる文明を説明する。恐らくは一方的な話なのだろう。知らなくても良いと言うことなのだろうか。


 だけど僕は夢で思い出した。これはどういう事なのだろうか。何か深い訳がある気がした。そして、それを探らなければならないとも思った。


『〈原初文明〉と称されたその文明で、神様はまずそこに住まう者達を創り出そうと考えました。神様は自分の創り上げた世界を見るのが大好きなのです。その為にはそこに住まう者達も大切なのです。


 この世界には既に生物は住んでいました。しかし、どの生物も本能のままに行動し、食物連鎖は保たれていましたが、自立した生物がいない、と神様にとっては何とも味気ない世界だったのです。


 神様が最初に作り出した種族〈五大種族(オリジナル)〉は、人間種(ヒューマン)精霊種(エルフ)獣種(ビースト)幻像種(ファントム)、そして魔種(ウィッチ)でした。』


 最初の三種族は有名だ。勿論、今も現存しているからだ。恐らく人間種と獣種は繁殖力が高いから。精霊種は寿命が長いからなのだろう。だが、幻像種は知らない。太古の文明にのみ存在してい、という事だろうか。


 だが、問題はそこではない。確かに〈魔種〉と言ったのだ。魔種は現存しているが、魔族として扱われているのだ。


 種と族という考え方は難しいが、実際は簡単だ。似ているようで違うものだからだ。それは人種と民族が違うように。


 人間種はサルから進化した生物と言われているが、実際にそうなのではないかと僕は思っている。恐らくその神様が作ったのはサルの生態を模倣したものでは無いか?だが、それが創り出された存在であるがために、独自の進化を遂げた、と考えているのだ。それが今の人間種だと。


 だからこそ、分類学において人間は生物として数えられるが、種族的考え方はこれとは異なる。人間種がサルから創造されている為、分類学的考え方に該当してしまうが、本来はその〈五大種族(オリジナル)〉とやらとは違う概念の分類なのだ。分類学的考え方には適合しない。


 種族的考え方では最上位の分類を〈種〉とし、その下位の分類として〈族〉がある。これだけだ。種族という分け方は、あまり細かく分類しないからだ。


 しかも現在の種族は全く違うものになっている。まず〈五大種族(オリジナル)〉で残っているのは、人間種(ヒューマン)精霊種(エルフ)、‎獣種(ビースト)のみだ。魔種(ウィッチ)は族に格下げされている。幻像種(ファントム)は滅びたのか、種族として分類されていないのかのどちらかだろう。魔法的な何かであれば、魔法現象として扱われて相手にされていない可能性もある。


 更に現在では半人種(デミヒューマン)が存在する。名の通り、半人であり、人間種と他種の混血である。ミシェルは半人種の狼人族(ウルフヒューマン)だ。


 そして、禁忌種(リミテーション)。魔族はここに含まれる。人類の敵と考えられている種族はここに該当させられている。魔族は好戦的だが、人間に対しては危害を加えていない。人間の魔法が長けている種族に対する妬みの結果なのだ。


『そして争いが好きだった神様は〈魔物〉を生み出しました。これは古代生物の突然変異であり、魔力を操りました。繁殖力がとても高い魔物はたちまち〈五大種族〉の天敵となったのです。


 その五つの種族は徐々に数を増してゆき、世界を五等分しました。互いに関わらないとしたのです。神様は文明を栄えさせるために利口な知能を与えました。それが戦争をしないという賢明な判断に至らせたのですが、神様はそれを良しとはしません。……あ。』


 僕の意識はそこで途切れていた。どうやら眠ってしまったらしい。誰かにさすられているような気がする。


 記憶は飛び、次は翌日の記憶だった。その誰かは再び僕に話をする。昨日の続きのようだ。僕も興味津々のようだ。少し気が昂っている。


『それでは昨日の続きから話しましょう。……神様は平和になってしまった世界をいつしか憎むようになっていました。それは自業自得とも呼べる所業ではありましたが、神様は自分の権力を利用して、世界を沢山の生物にとって悪い方向へと傾けていくのでした。


 神様が初めにしたことは多くの種族にとっての共通の敵を作ることでした。そこに都合よく利用されたのが当時の魔種(ウィッチ)でした。魔法力の強かった魔種は、神様の陰謀によりいつしか嫉妬の対象となっていたのです。それにいち早く気づいた魔種の者は全て神様の使徒に暗殺されてしまったために、それを知るのはもっと後のことでした。当然、他の種族の者達は誰も知りません。知っていた人も神様の怒りに触れるのを恐れ、口には出さなかったのでしょう。


 最初は仲が良かった種族同士ですら、魔種が一旦敵視されるようになると、互いに並々ならぬ怒りを持つようになりました。これも当然、神様の仕業です。大混乱となった世界は、戦争直前の状態になりました。


 そして、その数年後。遂に動き出してしまいました。最初に動いたのは人間種(ヒューマン)でした。どの種族よりも力という概念に憧れ、嫉妬をしてたのはこの種族だったのです。


 人間種は独自に生み出した、万物の理から外れ、〈科学〉という力に手を染めてしまいました。その力は絶対だったのです。失敗しない限りは何よりも強い力。どの種族も防ぐことのできない力。加えて、人間達が何よりも欲していた強い力。まさに望み通りの力を手に入れてしまったのです。


 他の種族は人間の科学という名の脅威に太刀打ちできませんでした。唯一の対抗策は先手を取ること。速度で挑んだとしても人間は科学の力で肉眼の数兆倍の能力になり、勝つことはできませんでした。人間達は魔種の力なき者達を次々に惨殺していきました。それは街一つが赤く染まったという言い伝えもある程でした。』


 僕は一度、唾を飲み込んだ。幼い僕はその意味を理解は出来ずとも、話の深刻さは声の調子、話し方などから察したのかもしれない。声は一息つくと再び語り始めるのであった。

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