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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
四章:翠竜討伐編
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53.国家転覆 Ⅱ

長期間投稿していませんでした。すみません……

今週からは徐々に連載再開します。

 臣下が異常事態に騒ぎ回る中、王は考え込んでいた。


「王、急いでご決断を!」


 そんな王に対して宰相や臣下らは急げ急げと喚き続ける。王も流石に我慢の限界を超え、吠える。


「黙れ! 儂は考えているのだ! 貴様らは黙れぬのか!」


 これは無茶である。王国建国以来、このような異常事態は何千年も起こっていない。誰が想定しただろうか。いや、建国当初は想定していたのかもしれない。それでも平和が訪れ掛けていた近現代では、人々の記録にも残っていない。


「王!」


 そんな中、王の怒声にも挫けずに勇敢にも声を挙げた臣下がいた。身分は高くないが、その能力故にここまで成り上がった若き才能である。その才能が王にとっては恨めしかった。


「黙れ! 反逆罪でその者の首をはねよ!」


 臣下達はすぐに黙った。自分の首もはねられてはたまったものでは無いと考えたからだ。そうしている内に騎士二人がその臣下を捕らえ、三人目の騎士が剣を抜いて首をはねた。


 飛んだ首が臣下達の元へ転がる。


「うわぁぁぁっ!。」


 驚きで何人かが飛び退くが、王はそれを気にも留めていなかった。ただ呟くだけだ。


「逆らうから悪いのだ……逆らうから……儂は王じゃ。誰にも文句を言われる筋合いは無い……。」


 臣下の中には絶望して泣いている者もいる。何人かは逃げ出した。悪政に耐えられなくなったのだろう。王宮は普段の三分の二程度の人数しか残っていなかった。それでも千人以上はいるが。


 その時だった。一人の騎士が王の元へ寄る。


「……どうした?」


 王は怪訝な顔をして、騎士を見た。一段と畏まった騎士は報告した。報告内容は魔物二体が王に用事があると言って面会を求めている、ということだ。王はそれに見覚えがあり、許可をする。


 許可をされるかされないかの瀬戸際で勝手に扉は開かれた。魔物である。大きな音を立てて鳴る扉の開閉音に臣下達の注目はそちらに向いた。中には二体の魔物が入る。


「ま、ま、魔物だっ!」


「うわぁぁぁぁああ!!」


 臣下達は戦き、少しでも魔物から離れようとする。ここにいるのは戦えないものばかり。騎士はいるが、いざ魔物が動き始めれば騎士が辿り着く頃には数人が死んでいるだろう。地理的には魔物の方が有利であった。


「待て、そこの魔物には儂が用がある。貴様らは口を挟むな。」


 王は命令した。再び臣下達から絶望した声が挙がるが、やはり王は気にも留めていなかった。


「何の用だ? 魔物。」


「お久しぶり~? ちょっと用があった~?」


 この魔物、名は逆転者(チェンジャー)。魔物のくせして話す事が出来る。本人は偶然などと言っているが、そんな筈があるものか。どうせ人間が変装しているだけなのだろう。あの姿形であれば、人間が変装するのも難しくはない。そこそこ知能があるようだが、話し方は気に食わない。


「さっさと要件を話さんか。」


「分かった~? 要件は同盟関係を破棄するって事だけ~?」


 何ということだろうか。口外してはならない事をこの逆転者は話したのだ。途端に臣下達が慌てふためく。その臣下の一人が言った。


「王! このような魔物と同盟を組んだなどと本当ですか!?」


「煩い、黙れ。儂の判断じゃ。貴様らに文句を言われる筋合いは無い。それとも貴様も死にたいか?」


「い、いえ……。」


 流石に死刑を突きつけられては、言葉を続ける事は出来なかった。臣下達は黙ったが、王はそちらを見るまでもなく、逆転者に対して問い掛けた。


「何故、同盟を破棄する?」


「用事が出来た~?でも翡竜を預けるから大丈夫~?」


「ふむ……」


 王は逆転者に提案に暫し考え込んだ。既に騒ぎ立てる部下もいない。偶に騎士が大罪者の事を報告するが、それも耳には入ってこない。今はただ、逆転者の提案が良いものかを判断している。だが、結果はすぐに出た。答えは────


「条件を呑む。」


「分かった~?じゃあここに翡竜を置くね~?来てくれる~?」


 逆転者が呼び掛けると、竜の咆哮が遠くで聞こえた。翡竜のものだろう。不安は拭えないが、それでも背に腹はかえられない。瞬く間に竜は扉を破って現れた。


 再び竜は咆哮する。その波動は空気を振動させる。これが竜の力。王は不覚にも数歩退きそうになる。だが、王として退く事は許されない。退く時、その時は王としての資格を完全に失うからだ。王たる者、いつ何時も先を見通さなければならない。


 翡竜を操る為には特別な道具などが必要になる訳ではないようだ。ただ、操作権を譲与されただけだ。それで操作が可能になる。これであの大罪者が攻めてきても大丈夫だ。


 王は一人安堵した。臣下は竜に畏怖の感情を抱き続けることになる。


 *****


 僕は王宮に入った。まず最初に入ったのは僕だった。それに続くようにルカとレイナも着いてくる。一同は一旦、中で合流した。場の制圧は既に済んでいる。僕が全てを【催眠】で解決した。


『じゃあ、行こう。ここからの会話は傍受があるかもしれないけど最低限しか聞かれないように念話で頼む。』


『『分かった。』』


 二人は頷く。僕はそれを確認して、先を見る。王宮の入口から王がいる部屋までは長い。今回の僕のような襲撃に備えた造りにされている。要するに中が迷路のような仕組みになっているのだ。これは襲撃者を惑わせる要塞と化している。


 しかしそれは余り意味が無い。僕は近くで眠らせずにしておいた一人の兵に近付く。既に逃走手段、武器は奪っている。手荒な事はしていないが、足と手はしっかりと縄で結んでいる。


 僕はその兵に魔法を発動させた。その魔法は【錯乱】。精神に干渉する魔法で褒められたものでは無いが、今回は致し方がない。非常事態と思っておこう。これからはなるべく使わないようにする。


 この【錯乱】という魔法は相手を文字通り錯乱状態に陥れる。これにより相手を意のままに操る事を可能にし、情報を引き出す時などには有用な手段となる。僕がこの魔法を選んだのもそれが理由だ。


「王がいるのは何処だ?」


 兵は尋ねられた当初はまだ反応していなかったが、錯乱状態が馴染んだのか、徐々に語り始める。


「……王の間には許可されていない者は入れません。……入るには特別な魔法が必要です。」


「特別な魔法……?」


 特別な魔法とは何だろうか。そのような魔法は聞いたことが無い。いや、あれ(・・)を魔法と言うのであればそうなのかもしれない。


『今からこの兵の魂を読み取る。もしかしたら呪い(・・)が掛けられているかもしれない。』


 呪い────呪術は時に魔法の一種と数えられる。その理由は簡単で効果が似ているからだ。非科学的なものであり、不可思議な現象が起こるという考え方をすれば、魔法も呪術も似たようなものだ。考え方は人それぞれではあるが。


 僕はこの兵に魂を読み取る魔法である【解読】を発動した。これは特殊な魔法で魂などを読み取る際に使用する。この魔法を最も使用するのは治療師であり、呪いや状態異常の類に患者が掛かっていないかを確かめる際に使う。


「……これか。」


 それはすぐに見つかった。やはり呪術であった。それも心臓に刻み込まれた呪いだ。予想はしていたが、魂に呪いを掛けただけでは呪いが掛けられたか掛けられていないかを判別するのは難しい。体の一部に刻み込まれていれば、いとも容易く判別する事が出来る。


 王宮で大勢が行き来するような場所に高度な魔法を発動させるのは難しいだろう、と考えたのである。


 一方でそれは非常に危険でもある。心臓とは最も魂に近いとされていて、呪いが生命に干渉する為、忌避されている。呪いを発動させた場合や呪いが抵抗した場合に最悪死ぬ場合もある。簡単に使うにはあまりにも危険な方法であった。


「よく分かったよ……やはりこの国の王政は腐っていたみたいだ。」


 僕は改めて国家転覆の必要性を感じた。

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