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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
四章:翠竜討伐編
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52.国家転覆 I

投稿遅れました、すみません!


国家転覆、始めました。

 レーナの同意を得られた事だし、始めるとするか。僕は無詠唱で魔法を発動させ、牢屋を破壊する。牢屋は容易く破壊できた。


「よし、出よう。」


 僕達は順に牢から出た。罠なども仕掛けられていないようだ。恐らくあの逆転者(チェンジャー)はしないだろうが、何事にも一応の確認は必要である。辺りを見回って罠が無いことをしっかりと確認する。


『アデル、どこに行くの?』


 国家転覆する事は話したが、実際にどのように動くかは伝えていなかった。それについても話さなくてはならない。


「まずは現在地を知りたいんだ。外に出る。」


『分かった。』


 僕達は道なりに進んだ。この施設自体は大きいようだが、人が全くいない。それどころか施設自体が埃を被っていて、長年使われていなかったようだ。逆転者が勝手に使った廃墟のようだ。


 そうしている内に外へ着いた。今まで薄暗い部屋の中にいたからだろう。外が眩しい。辺りを見回すと、隣に巨大な壁があった。どうやらここは王都の端であるらしい。潜り込めているらしい。


「じゃあ簡単にここからの事を説明するよ。まずは王宮を目指す。そして乗り込む。道中の兵士は出来るだけ殺さないようにして。途中で合流しよう。そこで次の作戦を伝える。ここからは三人で別行動だ。」


「了解。」『分かったよ。』


 ルカとレーナも頷く。王都に入れた事で最大の難関が潜り抜けられたようだ。後は王宮に入るだけ。しかし、事態はそう簡単には動かないらしい。


逆転者(チェンジャー)……やってくれたな。」


 僕らを取り囲むように騎士団が次々と集まっていた。逆転者が密告したらしい。逆転者の嫌がらせだろう。あまり規模は広くないようだ。騎士の口伝で伝わっているからか、人数は大して多くない。これならば行けるだろう。


「ルカとレーナは上から行けるかい(・・・・・・・・)?」


 僕は笑みを浮かべる。不敵な笑みというやつだ。出来ると確信している。案の定、二人は頷いた。


「二人は二方向から行ってくれ。僕は正面突破だ。合図は向こう側が突撃してきたら────」


「突撃ィィィ!!」


「……じゃあ、行こうか。」


 嬉しくないタイミングで言われたが、それは仕方が無いことだろう。取り敢えず僕は二人に先に行かせる。騎士団と僕までの差は数十メートルまだ余裕がある。


 その間にルカとレーナは壁を登り始めた。壁を登ると言っても、一段ずつ登っていく訳では無い。壁を走るのだ(・・・・・・)


「なっ!」


 騎士団がその行動に若干驚いて動きが止まった。頃合だろう。僕は自分とルカ、レーナに対して【速度強化】の魔法を発動させる。加えて自分に対して【硬度強化】の魔法を発動させる。これで人とぶつかっても大丈夫だろう。騎士団が再び動き出すと同時に僕も動く。


「来たぞ!!構えろ!」


 騎士団が構えの体制を取る。しかし今は無い。騎士団とぶつかる寸前、僕は飛び上がった。


「上だっ!後方に下がって降りてきた所を叩けぇ!」


 僕が自身を【重力】の魔法を使用した高等技術で騎士団を先導する。騎士団の数はいつの間にか数千人にも登っていた。駐屯所の騎士を巻き込んだらしい。中には休日の国家魔術師だろう。魔法を放ってくる輩もいる。


「まだ降りないのか!」


 下からはお偉いさんの怒鳴り声が聞こえる。そう言われて降りる訳が無い。降りるのは余程の阿呆だけだろう。


 ここでギアを上げる。突然の速度上昇に騎士団がドミノ倒しのように転ける。騎士団ともあろう者がみっともない。その間にも僕は王宮へと近付いていた。


 王宮が見えてきている。大きい。流石王家と言う訳か。王宮からは国家魔術師団が飛行中の僕を落とそうと現れた。そして一斉に魔法詠唱をする。僕は一旦停止し【防御】の魔法を発動。五重にしておいた。


 国家魔術師団が魔法を発動して、それが【防御】に当たる瞬間に僕はそれを避けるように周りから突っ込む。僕の姿は【防御】に当たった魔法で見えなくなっているはずだ。


 視界が晴れ、次に国家魔術師が見た景色はただの空だった。僕の姿は既に無い。その頃には僕は国家魔術師団の背後にいたのだった。


「おやすみ。」


 全体に【催眠】の魔法を発動。国家魔術師団の抵抗力でも反応に遅れた魔法を発動は防げない。全員が寝てしまった。


「よし、中に入るか。」


 僕は王宮の中に入った。


 ***


 私はアデルに言われた通りに、王都の外壁から王宮を目指す。流石に騎士団でも外壁を登ることは想定していなかったようだ。私とルカの所業に驚愕していた。騎士団はそんな事も出来ないらしい。脳筋なのだろう。


 どうやらアデルが私とルカに【速度強化】の魔法を発動したようだ。突然、速度が上昇する。その勢いで外壁を登りきる。外壁の上からの街の風景は絶景であった。が、それも今は置いておく。


「私は東側から行く。ルカは反対側から行って。」


『気を付けてね。』


「言われなくても!」


 言葉を返して再び走り始める。【速度強化】が相成って普段の数倍は速い。相変わらずアデルの魔法には驚かされる。


 王宮は反対側。王都を通った方が早いが、王都の中は私達を狙う騎士団が沢山いる。全員が敵だ。みすみす捕まる訳にはいかない。


「敵……。」


 どうやら私達を無視してくれる訳でもなさそうだ。騎士団と思われる騎士が外壁を登ってきた。放っておけば次々と登ってきそうだ。殺すな、とは言われたけどどうすれば良いものか。外壁は二人がギリギリ通れるほどの広さしかない。流石に騎士でもこの高さから落ちれば死ぬ可能性が高い。


「飛び越えようかな。」


 止まらずに走り続ける。騎士が壁に登りこちらを見た時には、私は既に空中。騎士の上にいる。惚けている内に私は離れていく。それでも構えている騎士には同じようにはいかない。徐々に騎士が前方に集まっていた。


「それでも通る……!」


 上を飛び越えられないのなら(がいへき)を通ればいい。私は騎士団と当たる寸前に外壁を走り始めた。流石に騎士でも外壁の横での戦闘は不可能だ。焦っている間に私は過ぎ去っていった。


 人に言わせれば狡い作戦なのかもしれない。だけどそれが私の本気。何もしないぐらいなら何か一つでもした方が良い。


 長蛇の列を作っていた騎士団を通り越した後には、王宮が目の前になっていた。私は再び外壁を降りる。途中でアデルが王宮に入るのが見えた。王宮前の魔術師は全員倒れている。流石だ。後について行くように私は中に入った。


 ***


 私も外壁を走る。どうやら【速度強化】の魔法を発動してくれたらしい。流石、アデル。自分以外の事も気にかけてくれる。私としてはもう少し自分自身の事を考えて欲しいけど。アデルの優しさには感謝してばかりだ。


 外壁を登ることは騎士団も想定していなかったみたいだ。私達と敵対するのならいつでも想定外を想定していなくては絶対に勝てない。私達にはそれだけの力があると理解している。


 外壁の上は絶景だった。王都の外と中。その自然の風景と街の風景が良いバランスで絶景を生み出している。思わず見蕩れてしまう。そんな私にリーナは言った。


「私は東側から行く。ルカは反対側から行って。」


 レーナはいつだって先の事を考えている。私とは大違いだ。その才能は素晴らしいと思える。私も欲しいと思ってしまう。


『気を付けてね。』


 私に出来るのは心配だけだ。そんな自分が悔しいが、今の自分にはしなければならないことがある。それを果たすまでだ。


「言われなくても!」


 レーナは返事をすると駆け出した。行動も速い。私も行かなくちゃ。


 そうして私も走り始める。外壁は高く、風が冷たい。体が冷えるが、竜である私には大した効果も無い。伊達に竜じゃない。


 ふとレーナの方を見ると、騎士団が待ち構えているようだ。それを飛び越えたり、外壁を走ったりすることで避けつつ通っている。あのアクロバティックな動きは何なのだろう。魔法なのかな。


 そうこうしている内に私の前にも騎士団が。流石にそこまでアクロバティックな動きが出来る訳では無い私には、避けるという手段は無い。精々攻撃を躱す程度だ。であれば気絶させるしかない。


 私は無詠唱で【催眠】を発動させてゆく。その時に外壁から落ちないようにしなければならないため、少しコツがいる。大変だ。


 レーナが駆け抜けて行くからか、そちらよりも私の方に騎士団が偏っているような気もする。魔力は有り余っているが、早めにアデルと合流したい。少し私も頑張ろう。


 ────頑張っているといつの間にか王宮だった。

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