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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
四章:翠竜討伐編
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48.二体の魔物

 僕達は翠竜との初戦を終えた。正確にはルカが二回目だが、僕達三人としては初めてだからそれで良いだろう。


 王都付近の村から北に回る為には一度大街道に出る必要がある。しかし、大街道には騎士が駐屯している。恐らく途中で止められるだろう。小街道を通ってアルグランテへ一度戻る。そこでミシェルと再び会議の場を設けた方が良いだろう。


 騎士団、国家魔術師団から逃げる道中で見つけた洞穴で休憩したのだが、その時に話し合った。ミシェルとも念話を通して連絡している。アルグランテではミシェルの力が強いから、騎士が介入する事は出来ないだろう。


「じゃあ、出発しようか。」


 一泊して洞穴を後にする。夜の間は交代で見張っていたが、騎士団や国家魔術師団の気配は無かった。僕達に魔法が掛けられている兆候も無かったので大丈夫だろう。後は僕の策が通用するだけだが、それは時間が掛かるだろう。今は置いておこう。


 洞穴から小街道に行くまでの間は森を抜ける。道のない所を歩くため、想定以上に時間を要する。さらに魔物まで現れる。魔物自体は、誰かが一撃で仕留める。攻撃を浴びることはまずない。それを食料にして、時々休憩を挟む。


 二時間ほど経った頃だろうか、僕達は漸く小街道へと出た。その頃には全身が草まみれ、泥まみれだった。【洗濯】と【乾燥】という便利な魔法を使って、服を綺麗にした。これは服を着た状態でも身体が濡れずに服のみが綺麗になるため、重宝している。


「やっとだね。」


 レーナが溜息をつく。流石にこれだけの森道は体にこたえたのかもしれない。疲労が溜まっているのだろう。早めにアルグランテに着きたいところだ。再び足を進める。


 のんびりと小街道を進むが、一向にアルグランテは現れない。既に数週間歩いているのだ。あまり特段変わったことがないため、流れるように時間が過ぎているが、実際は長い時間を要している。不思議と違和感を覚えてきた。


「……そう言えば〈魔物探査(モンスターサーチ)〉が一回も反応していない気がする。」


 その違和感にはすぐに気付いた。ここまでに何度も魔物は撃破しきたが、一度たりとも〈魔物探査(モンスターサーチ)〉が反応したことが無い。これは魔道具だ。壊れない。魔術干渉による機能の衰えや破壊は有り得るが、そういう訳ではないようだ。


「まさか魔物が何かをしているのか?────待てよ?そんな魔物がいた気がする。」


「私、知ってる。これが幻だとしたら、大貘(ビッグテイパー)だと思う。夢を食べる魔物。」


 レーナは説明した。確かにそれだったら魔道具が反応しない訳にも頷ける。だが────


「でも僕達には魔物の攻撃に抵抗できると思うよ。」


『魔物の攻撃を喰らう前に多分防ぐよね。』


 しかし幻を見せる魔物は決して多い訳では無い。大貘(ビッグテイパー)などはその一種である。他の魔物で幻を見せる魔物というのは聞いたことがない。


「あ……でも、あれなら。」


 どうやらレーナに何か心当たりがあるらしい。


「不確定でも良いから、一応教えてくれる?」


「分かった。────多分逆転者(チェンジャー)だと思う。」


 そう言われると僕も分かる。逆転者(チェンジャー)は人型の魔物で、強敵と戦う時、その敵との力差に応じて強くなるのだ。これならば、僕達でも大貘(ビッグテイパー)の攻撃が通用する可能性がある。但し、これには二体の協力が必要なのだ。本当かどうかは疑わしい。


『取り敢えずこれが幻だったら、この魔法を破壊しない?』


「そう……だね。対処法が分からないから強い衝撃を与えようかな。そうすれば起きるかもしれない。」


 幻であれば、どれだけ魔力を使っても大丈夫だろうと、至高魔法を発動させる。【爆炎】の魔法。周囲一帯を全て炎で包み込み、さらに爆発を多数起こす。そこに人がいれば、魔法発動後には身体の欠片すら残っていないだろう。


「アデル、大丈夫なの?」


「大丈夫だよ。」


 僕は二人に言う。お陰で幻は解けたようだ。景色は一変し、

 戻った場所は洞穴の中。これまでの数週間が全て幻だったのだ。そして目の前には二体の魔物。片や幻を見せる魔物、大貘(ビッグテイパー)。片や強さを誇る魔物、逆転者(チェンジャー)


 さて、動機を聞き出すとしよう。多少手荒な真似をしても。

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