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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
四章:翠竜討伐編
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47.翠竜 vs アデル IV

 翠竜を前にして、その背後に騎士団と国家魔術師団が並ぶ。酷い状況だ。僕は百個近い〈魔石〉を持っているが、それでもこれだけの魔法使いを相手にするのは無謀なのだ。伊達に国家魔術師団では無い。


 また、騎士団も数人に一人は剣術に魔術を組み合わせた、魔道剣術を使用する者がいる。これが最も厄介だ。流石に力比べでは勝てる気がしない。


 僕は取り敢えず、僕の背後にいる二人に念話で指示をする。


『魔法発動範囲に入らないぐらいに下がって。』


『傍受されてるよ。』


 レーナが言う。そんな事は分かっている。それを想定した上で重要な事は伝えていない。単純な指示だけだ。しかし、その単純な指示のみでも騎士団、国家魔術師団は動き出した。


「騎士団第二、第三、第四小隊!大罪者の背後にいる共犯者を捕らえよ!」


「国家魔術師団火魔法小隊はそれを援護せよ!」


 指示が飛び交う。動き出したのは数千人だ。それでも僕の前には数十万人がいる。明らかに前々から動き出す準備をしていたようだ。これだけの人数がすぐに揃うはずがない。それよりも王都は大丈夫なのだろうか。事件が起こっても誰も止めに入れないのではないだろうか。


 そんなことを考えつつも背後にいる二人に近付かせない。僕は妨害対策として無詠唱で広範囲の【防御】を展開した。


「【防御】の魔法だ!破壊せよ!」


 一斉に火魔法小隊とやらが魔法詠唱を開始した。恐らく一点集中型の魔法だろう。【防御】にはそれが最も効果的である。だが、それを見逃すはずもない。僕はさらに〈魔石〉を五個消費して、【防御】を十枚重ねる。これで暫くは持つだろう。


「今のうちに下がれ!」


 僕は念話をするまでもなく、二人に指示を出す。どうせ傍受されるのだ。念話する意味が無い。魔力の無駄である。二人は頷くと全力で下がり始めた。僕は【防御】に【水膜】という水魔法の中級魔法を発動した。単純に水の膜を作り出す。国家魔術師団は火魔法小隊と言っていたので、水魔法で火魔法の威力軽減を考えたのだ。


「小癪なっ!」


 国家魔術師団の誰かが吼える。だが、こちらとて犯罪者扱いされているのだ。村を襲っているのはどちらだ、という話なのだが。まあ、聞かないのだろう。翠竜を操っている正体を薄々気付いているのではないだろうか。


「翠竜を倒す邪魔をしないでもらいたい。」


 僕は翠竜と騎士団、国家魔術師団の間に壁を作ろうとする。土の壁を作っただけでは脆いため、土の壁ではない他の属性魔法の壁にするつもりだ。


「【吹き荒らせ、渦巻く嵐よ】【フォーティス・トルネード】」


 上級魔法の風魔法が一つ【竜巻】の魔法。これで風の壁を作り出した。同じ魔法を何度か発動し、重ねて壁を厚くする。【竜巻】ほどの暴風の中では、魔法のエネルギーが勝つことは出来ないだろう。掻き消されるのがオチである。


 騎士団と国家魔術師団を近付けないようにしつつ、翠竜を見やる。そちらは未だに破壊されていない【重力】の魔法に苦しむ翠竜。予想だが、騎士団と国家魔術師団では翠竜を操れないのかもしれない。だからこそ向こう側にとっても都合が良いのではないか?


 で、あればこれは使えるかもしれない。僕は一つの仮説を思いついた。これは念話でも言えば、すぐに筒抜けになるだろう。僕だけの心の中で止めるとしよう。そして、今の間にそれを実行する。


 一旦、翠竜討伐は諦めることにした。翠竜を徹底的に利用して、王国側の黒幕を暴き出そう。そうすれば一気に解決するだろう。僕は翠竜に対して、無詠唱でとある魔法を放つ。翠竜は自身に発動された別の魔法に抵抗しようとするが、既に殆どのスタミナを使い切っていた。まもなく翠竜に対してその魔法が完全に発動しきった。


 しっかりと魔法の効き目があるのか確認したい所だが、そろそろ【竜巻】の魔法が破壊されそうなので、見えない隙に退散するとしよう。念話で傍受される事も危惧して、単独で逃走を開始した。


 途中自身に【重力】を発動して、発動しておいた【防御】を乗り越える。気付かれてはいないようだ。そこから空中を駆ける。レーナとルカはどこまで逃げたか分からない。兎に角、遠くに離れるとしよう。


 僕は念話傍受範囲外に出た事を確認すると、二人に念話を送った。


『どこにいる?』


『アデルは?』


『僕は今、二人が逃げた方向と同じ向きに逃げているから、二人はそこで一旦待っててくれる?』


 レーナとルカからの『分かった』という返事を聞くと、僕は念話を切った。そして、再び空中を駆ける。恐らく方向を変更したなどは無いはずだ。真っ直ぐに進めば、いつかは合流する。僕はひたすら駆け続けた。結果、数分して合流することになった。


『アデル!』


 ルカが僕を呼ぶ。【重力】で自身に掛かる重力を少しずつ強めていく。そして、地面に降り立つと共に元の重力に戻した。少し足の感覚が鈍るが、短い時間であればすぐに治る。話していれば、自然と治っているだろう。


「大丈夫だった?」


「うん、追っ手はいないみたい。」


 気配の察知も長けているレーナが言うのだ。そうなのだろう。僕は疑うことも無く、それを信じる。まあ何事も疑っていては、事態は何も進まないのだが。


「騎士団と国家魔術師団が追跡する可能性があるから、進み続けよう。ここから大きく迂回して、王都の反対側に行こう。」


 僕は二人に伝える。そうすれば恐らく追跡の目は逃れられるのでは無いだろうか。根拠は無いが、簡単には見つからないだろう。


「じゃあ、次の地点に向けて出発するとしよう。」


 そして僕達は再び歩き始める。

翠竜とのバトルは一旦終了です。

次回、北の大都市へ。

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