40.別行動
遅れました……数分ですが。
今日も二回目の投稿です。
漸く作戦会議を始めることになった僕達だが、作戦会議と言えるのかも分からないような淡々としたものであった。
「アデルさん、翠竜討伐するんですよね?」
「うん。」
「じゃあ、王都に行きますよね?」
「うん。」
「では、私の部下を一人情報収集の役目として付き添わせます。」
「ありがとう。」
「頑張って下さい。」
「うん。────あれ?」
簡単に終わってしまった。確かに情報収集の役目をミシェルの部下に手伝ってもらえば、百人力以上の力が発揮出来るだろう。ミシェルが聞きたいのは何だったんだろう。
「ミシェルは僕達と一緒に行くの?」
僕は一度もミシェルが同行するという言葉を聞いていなかったのでこらちから尋ねることにした。ミシェルは視線を逸らす。あれ……?
「ミシェル……まさか。」
「アデルさん、すみません。私はこちらでの仕事が終わらないのです。お手伝いしたい気持ちは当然ありますが、こちらでの業務で私指名の依頼が多くあり、貴族の方々を待たせる訳にはいかないのです。」
そう言われればそうである。ミシェルは既に仕事をしているのだ。目的の無い旅人達とは異なる。僕達の目的に付き合わせる事がまずまず筋違いであったのだ。僕は一人よがりをしていたのかもしれない。
「……ですが、私はここから出来る限りの援助をさせて頂きます。魔法を使えば、連絡の取り合いは出来るので、それで情報交換などをしましょう。アデルさんとは別口でこちらも情報収集を進めることにします。」
「そうだね……ミシェルの情報収集力はかなりのものだから、僕達とは別で集めた方が沢山の情報を収集した方が良さそうだ。」
表面上では僕は納得していた。実際にそう発言している。但し、心の中は違った。ミシェルは今は違ったとしても、嘗ての旅仲間だったのだ。離れる、という事が想像できないのだ。僕の旅にはルカがいて……ミシェルがいて……これが当然である。そう思っていた。それが勝手な一人よがりであっても、僕はそう思わずにはいられなかった。だけど、それを口に出す勇気は僕には無かった。
ルカもそんなアデルの様子を心配そうに伺っていたが、口出しすることは迷惑だろう、と見守る事に決めた。ミシェルも同じくである。そのアデルの様子に雰囲気が飲まれ、妙に重苦しい雰囲気となっていた。
「お菓子食べませんか?」
ミシェルはそう言って僕達は休憩することにした。ミシェルが何やら部下の人に伝え、部下の人が部屋を去った。どうやらお菓子を持ってくるように頼んだらしい。僕は頭を冷やす。考えすぎは良くない。今は感情的な話をしている訳では無い。そう考えて、自分の気持ちを叩き切る。
「どうぞ。」
「あ……ありがとうございます。」
それでも僕は考えすぎていたらしい。いつの間にか横にメイドさんがいる事に気付いていなかった。ミシェルの雇う一流のメイドさんは僕の様子を気にも止めずに自分の業務を遂行した。やはり一流なのだろう。
「食べてみて下さい。」
ミシェルは毒味を兼ねて、自分で食べて見せた。そんな必要は無かったけど、僕達は好意に甘えて食べる事にした。お菓子の香ばしい匂いが食欲をそそる。僕とルカはお菓子を食べた。
『ん……!』
「あ……美味しい。」
そのお菓子はとても美味しかった。甘過ぎず、程よい甘さがお腹を満たした。これはどこのお菓子だろう。
「喜んでくれて嬉しいです。これは私達の会社の新しい取り組みなんですよ?」
どうやらミシェルの会社は依頼受注に加えて、新たな業務として王都の貴族達向けのお菓子作りを始めたらしい。他分野に手を伸ばそうとしているらしいが、ミシェルは寝ているのだろうか?
「ミシェルは睡眠時間はしっかりと取れてるの?」
「はい、大丈夫ですよ。私達の部下が優秀なので私はいつも定時に帰っています。」
どこまで優秀なのか分からないが、ミシェルの部下自体が他分野の知識、才能を持っているらしい。恐れを越して尊敬の念を抱きます。
そうして僕達はお菓子について話をしつつ、食べ終わった。ミシェルの気遣いによって、僕は頭を冷やす事が出来た。そして自分の気持ちを割り切る事が出来た。これで大丈夫だ。
「じゃあ、作戦会議の続きをしましょう。」
先程はミシェルの立ち位置であったが、これは大体定まった。後方支援である。信頼と実績を利用して、依頼者にそれとなく話を聞いたりするのだろう。
「ミシェルは今までに翠竜が現れた場所は全て分かる?」
「分かりますよ?」
「じゃあ、それを地図に全て記載して欲しいんだけど。」
「了解しました。────お願いしますね。」
ミシェルは資料と地図を部下に渡すと、部下が部屋を出た。別室で終わらせるらしい。
「僕の予想だけど、あたり構わず翠竜が襲っている訳では無い、と思ってる。二人はどう思う?」
僕は二人にも意見を求めた。これはかなり推測に近い。推測で行動するのは無謀な策だ。根拠を交えつつ、事実か照らし合わせる。
「……私も恐らくそうであると思います。」
ミシェルも同意のようだ。ルカを見ると、頷いていた。こちらも同意のようである。但し、これには根拠が無い。地図に襲撃場所を記載してもらえば分かるかもしれないが……。
そう考えて僕が扉の方を見ると、ミシェルの部下が入ってきた。どうやら記載は終わったらしい。これで何かが分かると良いのだが。
2000PV達成しました!
ありがとうございますっ!!
加えて四十話に到達しました。
これからもよろしくお願いします!




