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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
四章:翠竜討伐編
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39.作戦会議

遅れました……。

「アデルさんとルカさんは何を企んでいるんですか?」


 ミシェルは単刀直入に切り込んできた。どうやら蒼き竜からか、それとも別口からか分からないが、情報を入手したらしい。僕は何も隠すことなく、全てを話す。


「僕達は……翠竜を討伐する。」


「はい、知っています。」


 知っていたんだ。じゃあ、これは知っているだろうか。


「僕はもう一つ目的がある。それはルカの喉を治すこと。」


「そうだろうと思いました。」


 どこまで知っているんだ……この人(ミシェル)


「ミシェル。どこでそれを知ったの?」


「話せば長くなるけど良い?」


 僕は頷き、ミシェルは話し始めた。


 ミシェルは二年前に家族と狼人種の村に戻って、嘗ての生活を取り戻した。そこからはミシェルは魔術練習を本格的に始めた。その生活の途中で何度も旅に出た。旅と言ってもあまり遠くには行っていないが、それでも王都付近までは行った。


 様々な人と知り合った。様々な人に助けられた。様々な人を助けた。老若男女、人種も様々だ。旅人として独自の魔法を使用して、依頼業務などをした。とある人の手助けで何でも屋のようなものを開業したらしい。


 独自の魔法による解決は従来の魔法とは異なる魔法であり、本来の魔法では解決出来ない事をミシェルの何でも屋に依頼することによって、ミシェルが解決する。勿論、依頼料は徴収した。


 この業務によって、ミシェルは財産を築いたようだ。蒼き竜に鍛えられていたミシェルはさらに独自の魔術を進化させていった。


 それから何でも屋は沢山の街に噂が広がっていった。情報が広がり、さらに顧客は増えていった。結果、依頼数が増えすぎた事でミシェル一人では仕事が追いつかなくなってしまった。


「それが一年前です。」


『ミシェル、凄い。』


 ルカがポツリと呟いた。念話で、だが。僕も同感だ。どう頑張れば、そこまでの資産を得られるのか。その商売の才能を僕も欲しいよ。どうやら今は不自由無く、幸せに暮らしているようだ。良かった。


「話を続けますね。」


 ミシェルは話を続ける。


 仕事が大量に増えたミシェルは仕事量を減らすために人員を増やす事に決めた。開業の手助けをしてもらった人に再び助けてもらい、二人雇ったらしい。その二人は魔法の才能がある者で、ミシェルの指導をすぐに飲み込んでいった。これでミシェルの仕事は大分楽になったそうだ。


 それに加えて、ますますミシェルの会社は儲ける。アルグランデの中でも大企業になったようだ。それでも勢いは止まらなかった。顧客層はいつしか王都に住む貴族にまで移っていた。国民では滅多に会えないであろう、大貴族までもが訪れたそうだ。それに対してもミシェルは緊張に負けることなくやり遂げたそうだ。


「お陰で沢山の部下が出来ました。」


 そう言ってミシェルは苦笑いを浮かべる。それに釣られて僕達も苦笑いを浮かべた。凄い、という一言しか出ない。どう頑張れば、そういう結果に辿り着けるのだろうか。魔法にそのような使い方がある事すらも考えたことが無かった。ミシェルの開業の手助けをした、その人に教えを仰ぎたい。まあ、無理だろうけども。


「その部下の中で最初から私の元で働いてくれていた人がいたんですが、その人が既に私でも気配が掴めないんです。」


 ミシェルの部下には危険な人が大勢いるらしい。関わりたくない。その中でも最も強い者が今、ミシェルが言った人らしい。気配を消すことに長けていて、情報収集を主に担当するらしい。


「その人が僕達の情報を?」


「はい。大街道と小街道の境にある宿場町にいましたよね?そこでも情報収集したそうですよ。」


 僕達がいた所を辿って、情報を収集したらしい。突然、背後に現れて情報が欲しいと言われれば、怖くて答えられなさそうだ。僕もそんな反応をしそうな気がする。


「アデルさんは翠竜について旅人達に聞いてたみたいですから、討伐するのかな、と予想を立てた訳です。」


 ああ、納得した。翠竜討伐自体は知らなかったのだ。集められた情報から考え出した結論だったのだろう。それが合致したという訳だ。その洞察力にも驚かされるが、もう驚くことにも疲れた。


「あれ……ルカの事は?」


「そちらは本当にただの感です。」


 ルカの喉を治すことについては何の根拠も無く、ただミシェルが考えていたらしい。やはりミシェルの洞察力が恐ろしい。僕の脳内でも読み取っているのだろうか。今度それとなく聞き出そう。うん、そうしよう。


 こうして、僕達はミシェルと六年の間の話が止まなかった。いつの間にか本題を逸れていたが、気にしない。僕達は六年前を懐かしみ、再会を喜びたいだけなのだ。そして、漸く僕達は今後の作戦を立てることになったのである。

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