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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
三章:遺跡編
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24.巨大迷宮 Ⅱ

月曜日は投稿できませんでした。

すみません。

 分岐路。巨大迷宮の長い一本道を途中、罠に掛かりながらも連携してどうにか潜り抜けた。そして次に立ちはだかるものが分岐路である。三つの道から一つの道を選ぶ必要がある。今までの悪質な罠からも道を外れれば、どうなるかは予想も付かない。最悪、死ぬだろう。


 以前、僕は〈千里眼〉という魔道具を所持していた。しかし旅にはあまり使えず、使い道があったが〈魔物探査(モンスターサーチ)〉の方が使い勝手が良いので、実質使い道が無かった。


 さらに見えすぎるというのも災難を起こす原因となる。だからこそ、僕はそれを手放す決断をした。しかし今の状況ほど〈千里眼〉が欲しいと思ったことは無い。終わってしまった事はやり直せないのだが。


 僕は当てずっぽうに右を選ぶ事にした。上にある水の女神の遺跡でも右に行き続けた結果、最奥の間まで辿り着くことが出来たからだ。根拠も何も無いが、今はこれしか方法がない。無力な自分が悲しい。


「まずは右に行ってみよう。」


 僕達は右へと進んだ。そちらには全く仕掛けが無かった。再び分岐路が現れる。


「これは正解なのかな……。取り敢えず戻って他の道も見てみよう。」


 虱潰しに決めたので僕達は全ての道を当たることにした。まずは一つ目の分岐路に外れが無いか調べる。外れがあれば消去法で本当の道が分かる。


 真ん中と左に行った結果だが、どちらも右を行った時と大差なかった。どこも更なる分岐路になるのだ。これを全パターン辿っていれば、いくら時間があっても足りないだろう。何年か掛かる事になる。


 恐らくこの迷宮は何年も掛かって制覇するものでは無い筈だ。女神の残した財産があるという事は制覇できないとおかしい。要するに何かヒントがあるのだろう。僕は初めの分岐路に戻って、それを考える事にした。他の二人には休憩してもらっている。


 しかし考えた所で結果は出ない。僕は思い当たった事をして見る事にした。まずはこの迷宮が上にある遺跡のようにどれくらいの魔法が発動状態にあるか、だ。


 ……道を破壊してみる。すぐに修復された。魔法は発動しているようだ。だが修復しても壊れることは分かった。もう一つ試してみよう。


 僕は分岐路の真ん中を真っ直ぐ進み、次の分岐路へ行った。分岐路から分岐路の距離はあまり無い。という事は分岐路を右や左に進んだ先にある分岐路が近くにある筈なのだ。それを確かめる。


「ハァ!」


 取り敢えず右側を破壊する。そこには分岐路があった。恐らくこれは右側に進んだ先にある分岐路で間違いないだろう。逆側はどうか。同じく破壊してみると、こちらには分岐路が無かった。……これが仕掛けだ。左側に進んだ先の分岐路は違うのだ。魔法が発動して別の分岐路に行っている。もう一度、左側の分岐路を進んでみよう。


 再び初めの分岐路まで戻り、左に行く。そして次の分岐路に付いて、左右を破壊する。右には何も無かったが、左には分岐路があった。これは右側に進んだ分岐路だ。これで納得した。左に進んでも右に進んでも同じ道に着く。


 これで選択肢は二つになった。真ん中か左右の道。同じことをさらに奥の分岐路でも行ってみる。


 真ん中の道を進み、現れた分岐路を更に真ん中へ行く。奥も分岐路だった。そして、左右を破壊する。右にも左にも道は無い。左、右の道でも左右を破壊したが、道は無かった。要するにこの分岐路はどこを進んでも同じだという事だ。


 その次は最初の分岐路を左右どちらかに進み、その奥の分岐路へ。真ん中の分岐路を進み、左右を破壊する。左には道が見えたが、右には道が無かった。左では右にのみ、道が。右でも右にのみ道があった。要するに再び左右の道が一緒だという事だ。


 紛らわしいが、仕掛けがこのようになっている事で自然と一つの道になるようだ。僕は一つずつこれを検証して、奥へ奥へと進んで行った。


「ふぅ……。」


 分岐路を十個ほど進み続けた先で僕達は一度休憩した。言ってしまえば、ルカやミシェルは何もしていない。僕だけがひたすら頑張っている。だけど、それは言ってはいけない事だ。何しろ僕の試練であるのだから。〈女神の祝福者〉は僕だけだからね。


 そして遂に分岐路は一つになった。途中、最初まで戻ったりする事態も起こったが、意外な特技として記憶力の良かったミシェルのお陰で、僕は手早く進む事が出来た。ミシェルには関係無いのに助けてもらって感謝しかない。ルカも鉄球の件では助けられた。僕がすべき事を助けてもらうなんて……僕は弱いな。


 それがどのような称号持ちであれ、弱い者は弱い。強いという言葉は単に力を表した言葉ではなく、様々な形での強さを表している。それは心の強さであったり、様々な技能であったり。単に力だけを驕る者はいつしか朽ちてゆく。これが自然の摂理であり、常世なのだ。


 だからこそ僕は自分の称号が『初代勇者』と思い出しても、それを言いふらし、驕るつもりもないし、実際していない。僕は自分が弱いと思っている。


「……着いたね。」


 巨大迷宮の奥。僕達の目の前に立ちはだかるのは巨大な扉だった。その先に僕らを待ち構える、女神の残した財産があるのだろう。僕はそれをこの目に焼き付けたい。そして欲を言うならば手に入れたいのだ。

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