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始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
三章:遺跡編
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23.巨大迷宮 I

昨日は投稿できませんでした。

すみません……。

 そこからは階段を急いで駆け下りた。罠すらスルーした。というよりも罠を発見し次第、それを全て破壊していった。少々魔力消費量が多かったが、第一極限解放後の僕であれば容易い。二人は魔力量に驚いていたが、それもスルーした。スルー三昧だ。


「ふぅ……やっと最深部に着いた。」


 階段を降りると、そこは少し明るかった。何方かと言えば、薄暗い。だが、僕達には目の前に広がる全貌が見えていた。巨大迷宮ジャイアンティックラビリンス。世界に十個も無いと言われているダンジョンだ。ここに巨大迷宮が広がるという事は、最も奥にはそれを管理する主、迷宮主が存在している事になる。恐らくそれが女神の残した財産になるのだろう。


「ここからは迷宮か。迷宮というだけあって、迷いやすい。絶対に離れないようにしてね。そして互いに互いの安否を確認すること。」


 迷宮攻略の最も基本的な内容だ。ルカやミシェルは迷宮は入るのが初めてのようなので一応説明しておいた。


「じゃあ行こう。」


 迷宮の入口は一つ。有り難くそこに入る事にした。この際、魔力消費量を気にせずに魔力探知を発動させ続けることにする。わざわざ『魔法扉』を仕掛けられていると大変だからだ。


 魔法扉とは魔法により隠された扉のこと。その魔法扉の中には様々な仕掛けがある為になるべく早めに発見した方が良い。最悪なパターンが魔物騒動(モンスターフェスタ)が発生する場合だ。あまり広くない迷宮で魔物が沢山発生すれば、流石に消耗戦になってしまう。それに連動して他の魔法扉の魔物騒動(モンスターフェスタ)が起こる場合があるので、これには本当に注意しなければならない。


 そうと言っているうちに早くも一つ目の魔法扉を発見する。


「戦う準備をしてて。」


 二人が頷くのを見て、僕は魔法扉に触れた。魔法扉を開けるには魔力を流し込めば良い。魔法扉が姿を現し、開いた。中には宝箱がある。あれは……。


「アデルさん!宝箱ですよ!」


「ミシェル待てっ!」


 宝箱を見ると、ミシェルが駆け出した。だが、あれは宝箱ではない。擬態した魔物(ミミック)だ。僕は焦って高威力の【業火】を発生させる。その前にミシェルに【防火】の魔法を発動させておいた為、ミシェルへのダメージは無い。


「あれは宝箱じゃなくてミミックっていう魔物だから気を付けてね。……よく見ると違いがあるんだよ。」


「違い……ですか?」


「ミミックだったら宝箱の鍵が開いているんだ。普通は魔法錠だから、魔力を流し込めば開くけど、ミミックだと錠が無いからね。」


 魔法錠。これも迷宮にある魔法の仕掛け。特に宝箱などを魔物が開かないように仕掛けられている。魔力を流し込む事で錠が開く。たまに魔物が勝手に開けている場合があるのは仕方が無い。


「危なかったです……。」


「古い遺跡だから何があるか分からないから気を付けて。」


「分かりました。」


 再び僕らは進んだ。まだ一本道だが、この先からは本当の迷路となる。その場合が大変だ。道を覚えなくてはならない。虱潰しになるだろう。


「残りの一本道には魔法扉は無さそうだ。」


 そう僕が言うとミシェルは安堵していた。やはり急な事態と言うものに苦手意識を持つ者は多いだろう。事前に準備しておいた方が安心できる。


「あーごめん。魔法扉は無いけど、五歩先に魔力探知が反応してる。多分(トラップ)だね。」


「……えー。」


 魔法扉は無くても、罠はある。どちらか一方だけを気を付けているだけでは足元を掬われる。油断大敵だ。魔法を使って、早めに仕掛けを作動させる。


「……何の音?」


 ゴロゴロゴロと何かが転がる音が後方から聞こえた。三人が振り返るとそこには巨大な鉄球が。迷路の仕掛けとしては定番メニューだろうが逃げるのは大変だ。左右に避けても避けきれない大きさである。逃げるしかない。


「……逃げるぞ!」


 ミシェルが先程からとても嫌そうな顔をしている。ごめんなさい。僕が行きたいと言いましたよね。取り敢えず勢いを止めるために【防御】の魔法を僕達と鉄球との間に発動する。


「今のうちに!」


 大変だなぁ、と思いながら走る。鉄球を確認すると【防御】の魔法を削っていた。あれは魔法が付与された鉄球だろう。魔法を破壊する魔法。だが時間が掛かるようだ。戦闘などには使えない魔法だろう。だがここではそれが強敵となる。


「もう一つ……っと!」


 僕はさらに【摩擦】の魔法を地面と鉄球の間に発動させる。これは防御力を無視して、摩擦を発生させる。要するに削れるのだ。それが何であれ。まあ、止まれば魔法の効果は無いが、回り続ける鉄球にその要求は無茶だろう。さっさと削れてくれ。


 迷宮の奥へ逃げつつ、後方を確認する。だからこそ前方を確認し忘れる。七転八倒だ。さらに鉄球が追加される。


「大変だな……。」


 最初に来た鉄球は大分小さくなっている。だが【防御】も【摩擦】も魔法が弱くなっている。大分鉄球による魔法ダメージが入ったようだ。さらに魔法を追加する。ついでに二個目の鉄球にも【摩擦】を発動。魔力を沢山持っていないと出来ない無茶な行為だ。魔力消費量が随分と多い。


「アデル……大丈夫?」


「あまり大丈夫じゃない。」


「じゃあ、私も手伝う。」


 そう言うとルカが魔法を発動させる。


「……【修正せよ】【ストラクチャルチェンジ】。」


 竜魔法が一つ【構造変化】の魔法。前回使ったのがいつだったかはもう覚えていないけど、対象の構造を変化させる魔法だった筈だ。恐らく鉄球に付与された魔法を消した。魔法を破壊する魔法を消したのだ。回り続ける魔法は【摩擦】を発動させる為に残してくれたらしい。


「ありがとう。」


 魔法を破壊する魔法が無くなると、すぐに【摩擦】の効果が現れる。壮絶な勢いで鉄球が小さくなっていく。


「これで大丈夫かな。一応、前方の魔力探知をしておくよ。」


 漸く前方の魔力探知を再開させる。すぐ近くに魔力探知が引っ掛かった。その上に【防御】の魔法を発動させて、踏んでも凹まないようにする。


「……削れ切りました。」


「これで一安心だ……と言いたい所だけど。」


 僕達は鉄球二つの地獄を潜り抜けると、次に待ち構えていたのは分岐路だった。ここからが本当の迷路となる。

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