表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
始祖の竜神と平凡の僕。  作者: 秋色空
二章:旅路編
10/66

10.簡単お手軽!魔法講座!

投稿は不定期っ!

すぐに投稿すると思ったかっ!



……すみません、遅れました。

「じゃあ、魔法を覚えようか。」


 それは僕の一言から始まった。何をする訳でもなく景色を見ていた僕達三人。傍から見ればとても悲しい人達だけど気にしない。だけど景色も辺り一面が岩肌になれば、少し寂しくなる。そこで急遽魔法講座を始める事にしたのである。


「分かった……。」


 ミシェルは少なくない気合の入りようである。魔法を使う事に人々は憧れる。これは誰でもだ。それだけ魔法という技術は人々の暮らしに根付いているのだ。


「ルカ、魔法と魔術の違いって何か知ってる?」


 僕はまず聞く。これはよく勘違いしている人がいる内容だ。ルカは竜神だから知らない筈はない。肝心なのはそれをミシェルが理解してくれるか、だ。


「当然。魔術は魔法を使う事。魔法は自然界に存在する魔力から様々なものを作り出す事。」


 魔法はその分野全体を指した言葉でもあるが、それは言葉では説明しづらいから気にする必要は無い。この世界にはあらゆる場所に魔力が存在する。魔力は目に見えないが、魔法使いは魔力を感じる事が出来る。五感では感じ取れない魔力を感じるには俗に呼ばれる第六感(シックスセンス)を使う必要がある。


「まずは魔力を感じてみようか。魔力は目には見えない。五感に頼ろうとしてはいけない。後はその人の才能だ。それは運でしかない。」


 第六感(シックスセンス)をどうやれと言われるのなら心で感じろ、と言うしかないだろう。魔力は〈心〉言い換えるのなら〈魂〉に反応し、共鳴する。これは才能がある者しか分からない。


「……こうじゃない?……こうかな。……あっ、出来た!」


 どうやらミシェルは出来たようだ。


「魔力はどんな感じ?」


「分からない……温かい?何か温もりのようなものを感じる。」


「それに正解はないよ。人によって感じ方は違うんだ。求めるものなそのまま現れる。」


 ミシェルが魔力を温かいと感じたのであれば、ミシェルは温かみを求めているのだろう。ミシェルの両親をいち早く探してあげたい。それは一旦置いておいて。


「第一関門はクリアだよ。第二関門はイメージすることだ。」


「イメージ?」


 魔法とは魔力を様々な性質に変換すること。変換する際にはイメージが重要となる。但し、イメージで魔法が出来るようであれば、日常的に魔法が誤発してしまう。魔力変換の際には同時にもう一つのステップが大事となる。


「そして魔導だ。これが魔法で最も重要なポイントだから気を付けて。イメージを魔導によって様々な性質に変える。こんな感じだ。」


 魔法が魔導と呼ばれる由縁はここにある。魔法は魔力を導くことであり、イメージ通りに魔力を導く事が重要なのだ。ミシェルに僕が見せたのは最も簡単な初級魔法。火魔法が一つ【火玉】の魔法。


「【燃やせ】【ファイアーボール】。」


 僕の掌の上に小さな火の玉が出来る。これが【火玉】の魔法。魔法を覚える際には皆が通る道である。


「この時には頭の中で火の玉を思い浮かべるんだ。と同時に掌の上に魔力を集める。魔力を集めるのもイメージで出来るよ。」


 結論を言えば魔導さえもイメージでなんとかなるのだ。二重のイメージを必要にする事で誤発を防ぐだけで実質、魔導は魔法に慣れれば無意識下ですることが出来る。ミシェルもすぐに出来るはずだ。


「……魔力を集める。……玉の形にする?……火の玉、火の玉……。こうかな……?」


 ミシェルは悪戦苦闘しているようだ。魔導も自分の感覚で掴んでもらうしかない。ここが一番時間が掛かるだろう。僕とルカはそれを見守るだけだ。


「……【燃やせ】【ファイアーボール】。……あ、出来た!」


 十分後。ミシェルは掌の上に火の玉が完成していた。大きさも掌からはみ出ない程に留まっている。魔導制御もしっかりと出来ているようだ。ミシェルは魔法の才能がある。


「よし、それで最後はその【火玉】を飛ばす。それもイメージだ。どこに飛ばすかをイメージするだけでいい。……実際に投げる必要はないよ。」


 僕が最後訂正するまではミシェルは【火玉】を投げようとしていた。天然かよっ!但し、これはミシェルには苦にはならなかったようだ。近くの木へ飛ばす事が出来た。【火玉】が当たった木は燃え、崩れ落ちた。成功だ。


「その一通りの作業を魔術と言うんだ。詠唱は難しい魔法になるほど長くなる。まあ、詠唱は徐々に覚えていこう。」


 ミシェルは嬉しそうだ。気付いていないだろうがミシェルは恐らく魔法適正が高い。だからこそ魔導制御も上手いのであろう。僕はミシェルほどの魔法適正は無い。今後は後衛が付くことで戦闘が楽になりそうだ。


 僕がそんな事を考えているとコンパスが反応した。魔物が近くにいるようだ。距離は数十メートル。数は一体。種類は月蝙蝠(ムーンバッド)。身体が小さくて敏捷性が高い。魔法が当たりにくい相手だ。ミシェルには厳しいだろう。でも経験は大事だ。一度挑戦させよう。


「前から魔物だ。相手は動きが速いから魔法が当てにくい。ミシェル一回戦ってみる?魔法が当たらないようだったら僕が加勢するから。」


「……分かった。」


 初めての戦闘。ミシェルは少し緊張しているようだ。まあ、適度な緊張は必要である。頑張ってもらおう。


「……来たよ。」


「【燃やせ】【ファイアーボール】!」


 すぐにミシェルの頭上には火の玉が完成する。応用もできているようだ。そして発射。【火玉】は月蝙蝠(ムーンバッド)を狙う──が、外れてしまった。月蝙蝠(ムーンバッド)は狙いをミシェルに定める。


月蝙蝠(ムーンバッド)はやっぱり速かったね。魔法発射速度も練習しようか。」


 僕はそう言いながら光魔法が一つ【閃光】の魔法を当てた。


「え……?無詠唱?」


 ミシェルとルカは唖然としていた。どうしたんだろう……あ、今まで無詠唱は見せてなかったな……。まあ、いいか。


 月蝙蝠(ムーンバッド)は【光線】で撃ち抜かれ、倒れた。素早く解体を済ませ、血抜き。こいつは美味しくないから燃やしておく。勿論、無詠唱だ。


「アデル。」


「……ルカ、なんだい?」


 何やらご立腹のルカさん。ど、どうしたんだい?


「どうして無詠唱が使えるの?」


「あーそれか。そんな難しい事じゃないよ。イメージ力が強くなれば詠唱は必要ないんだ。僕のこれまでの旅は無詠唱の技術を完成する旅だったんだけどね。五、六年掛かってしまったよ。」


 ミシェルは口が開いたまま閉じていない。そんなに驚きだったのか……。まあ、無詠唱の技術はまだ誰も成し遂げてない技術ではあるけど、実際そんなに難しくない。イメージの仕方が少し違うだけだ。……それも教えていけば許してくれるだろう。


 そんなこんなで僕達の旅はまだまだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【 他の連載作品 】

廃墟世界の大改革

【 お知らせ 】
ありがとうございます!

◇始祖の竜神と平凡の僕◇
4000PV達成しました!

◇廃墟世界の大改革◇
100PV達成しました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ