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称されるに、チワワ

作者: 緑木 琥珀


「先生って、チワワみたいね」


その生徒は唐突に私にそう言った。

私は高校で英語教師をしているのだが、生徒にそんなことを言われたのは勿論初めてだった。


「先生は元気があってパワフルで、生徒よりも精神年齢が若い感じがするわ。パーンと声が出て、その声が高いからチワワがキャンキャン吠えてるのをイメージするの。先生、背が小さくて可愛いし」


三十路も過ぎたおばさんに「可愛い」はないだろう。


話しかけてきたのは授業中に発言することもなく、静かな印象の女子生徒だった。私は彼女の担任ではないし、授業でしか顔を合わせることはなかったはずだ。

私は彼女にそんなことを言われる筋合いも意味も分からず、侮辱されているのか誉められているのかも曖昧だ。犬に例えられていい気分はしないが、彼女が私にプラスのイメージを持ってくれているというのは何となく伝わった。


「花にしたら、向日葵ね。眩しいくらい明るい黄色。レモンみたいな爽やかな感じ。『青春』ってこんな感じなのかな、って先生を見ていて思うの」


小さく微笑んだ彼女は、その一週間後に自宅のマンションから飛び下りた。特に遺書などは見つからず、『中高生に多く見られるタイプの自殺』として処理された。




結局、彼女が私に何を伝えたかったのかわからない。

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