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Chapter1-14 敏感な体

※GL描写があります。

 案内された先は、居住区エリアの外れにある一軒屋。ヴィーラさんの家は思いの外広かった。居間の大きさや部屋の数を考えると、四人家族が無理なく住めるような感じだ。人じゃなくてエルフだと四エルフ家族?


 それはいいとして。ヴィーラさんだけで住むには広すぎるような気がしたので、それとなく住んだ理由を聞いてみた。ヴィーラさんが言うには、たまたま安く売り出されていたから買っただけとのこと。安いと言っても、この広さだとそれなりの値段がしたと思う。

 今日ぼくたちに使っていたお金のことを考えると、ヴィーラさんは結構なお金持ちなのかもしれない。


 部屋に案内されたけど、掃除が行き届いているようで綺麗に片付いていた。気になったのは何故か・・・既にベッドメイクされていたことだ。シアの部屋も同じだったとのことだ。あれ、ヴィーラさんだけしか住んでいない、はずだよね?

 違和感を感じながらも、ヴィーラさんに聞くことはしなかった。

 


 居間に戻りシアとくつろいでいると、お風呂の準備ができたから入ってほしいと言われた。家主より先に入るのは申し訳ないと思ったけど、ヴィーラさんはやることがあるそうで、気にしないでと言っていた。

 疲れが出ていたぼくは、もう少し居間で休みたいと考え先にシアに入ってもらうことにした。ソファでくつろいでいたぼくは、疲れからか次第に瞼が落ちていき――。



 どうやら、うとうとしてしまっていたようだ。シアはもう風呂からあがっているのか気になり、目をこすりながら脱衣所へ向かう。


 脱衣所のドアをノックしてみたけど、反応はなかった。ゆっくりとドアを開くと、やはり誰もいない。風呂場も誰もいないようだった。ぼくはもう全員がお風呂からあがってしまったと考え、服を脱ぎ風呂場へと入った。


 風呂場の大きさは、エリーの家より少し広いようだ。浴槽も少し広く、男でも楽に足が伸ばせそうだ。

 ひとまず、いつものようにシャワーで体を流す。置いてあるものも同じかと思ったら、ぼくの手の大きさぐらいの直方体があった。見た目的に石鹸みたいだ。石鹸いらずなエルフの体だけど、あるのなら使おうと手を伸ばしたその瞬間。


「ああー、それは使わない方がいいわよー」


 後ろから間延びした声が聞こえた。振り向くとヴィーラさんがそこにいた。――裸で。

 ぼくの目に映ったのは、巨大なメロン並のおっぱいが二つ。ちょうど目線の位置にそれがあったからだ。

 ぼくはそれから目を逸らして浴槽へと逃げこんだ。なるべくヴィーラさんを見ないようにして――。


「ちょ、ちょっと何で入ってくるんですか!」

「何でって、一緒に入りたかったからよー」


 おかしい。長老の紹介状を見たヴィーラさんは、エリーの中身が男だってことは分かってるはず。いや、紹介状の中身は直接見てないけど、もしかして書いてなかった――?


「そ、そういう意味じゃなくて……。あの、わたしのこと・・、分かってますよね?」

「うんー? ……今は女の子なんだし別に気にしないわよー」


(いや、気にしてくれないとぼくの精神的に……)


 そんな心の声は、ヴィーラさんに届くはずもなく。出て行ってくれそうにはないので、とりあえず話題を替える。


「……さっきの、使わない方がいいってどういう意味ですか?」

「エルフ族の肌には合わないのよー。かぶれるまではいかないけど、肌が赤くなっちゃうのよー」


 エリーの家にこれがなかったのは、そのせいなのか。

 あれ、じゃあなんで同じエルフのヴィーラさんの家には、これがあるんだろう?


「ヴィーラさんもエルフ族ですよね? 石鹸を使っても大丈夫なんですか?」

「私はねー、エルフはエルフだけど頭にハーフが付くエルフなのよー。だから大丈夫ー」

「……ハーフエルフ?」

「そうそうー。パパが人族でママがエルフ族なのよー」


 話を聞いてみると、見た目はエルフとほとんど変わらないとのこと。実際に言われるまで、ぼくも気づかなかったぐらいだ。

 寿命は、エルフ族と比べると少し短いらしい。魔力もエルフ族と比べて少し少ないとか。

 精霊術が使えるかどうかは血の濃さ・・・・で決まるらしい。ヴィーラさんは使えるとのこと。


 そんな話を聞かされたあと、ヴィーラさんに髪を洗われることになった。そこまでしなくてもいいとは言ったのだけど。


「エルフ族の髪は傷みにくいけどねー、女の子なんだから丁寧に洗わないとだめよー。洗い方、ちゃんと分かってるのー?」


 そう言われると、かなり不安になる。自分では丁寧に洗っているつもりではあるけど、それが合っているかどうかなんて分からないからだ。

 結局ヴィーラさんに洗い方をレクチャーしてもらった。しっかり覚えたので、明日から実践してみよう。


「髪は洗い終わったし、じゃあ次は体ねー」


 さすがに体は色々とまずい気がする。ここはしっかりと断るべきだ。


「ちょっ……体は自分で洗いますから!」

「だめよー。これは”お願い”よー。」


 ……何も言えなくなってしまったぼくは、ヴィーラさんに体を洗われることとなった。



 ヴィーラさんから「準備をするから待って欲しい」と言われたので、ぼくは再び風呂に浸かっている。体を洗うだけなのに、一体何を準備するんだろう。

 ヴィーラさんが浴室の床に対して何やらぶつぶつと呟くと、床の一部分に淡い白い光が現れた。


「じゃあ、ここに寝転がってねー」

「……え?」


 体を洗うと言うのに、寝転がるってどういうことだろう。光の広さは、確かにぼくが寝転がれるぐらいはある。恐る恐るうつ伏せに寝転がってみると、弾力のあるものの上に乗っているような感覚に襲われる。これを何かに例えるとするなら、プールで使うような空気の入った浮具の上にいる感じだろう。


「ちょっと冷たいけど我慢してねー」

「……うひゃあ!?」


 ヴィーラさんはそう言うと、冷たい液体をぼくの背中に垂らしてきた。突然の感覚に、思わず変な声が出てしまう。うつ伏せになっているぼくは、何をされたのか見当もつかない。


「な、何をしたんですか!?」

「これよー」


 ヴィーラさんが見せてくれたのは、透明な瓶。中には透明な泡を含んだ液体が入っていた。それを手に垂らすと、すごく粘り気があってヌルヌルしているようだった。


「海藻が原料で、疲労回復の効果があるのよー。あ、エルフの肌にも合うものだから安心してねー。エリーちゃんがちょっと疲れてるみたいだったから、ちょうどいいかなと思ってねー。…………まあ、別の効果もあるけどねー」

「え? 最後なんか言いましたか?」

「なんでもないわよー」


 最後の方はよく聞き取れなかったけど、疲れが取れるというのはありがたい。さっきも疲れてたせいか、うとうとしてしまっていたし。


「それじゃ行くわねー」


 ヴィーラさんはさらに液体をかけたあと、手で全身にそれを伸ばしていく。独特な感触に「ひぅ」とか「んっ」など、自分の意志に反して声が出てしまう。


 なんだか、ヴィーラさんの手付きがおかしい気がする。普通に手のひらで伸ばすだけではなくて、指先でなぞるような動きをしてくることがある。その度に変な声が出てしまうのだ。


「それじゃ、次は前ねー」


 前ということは、仰向けにならないといけない。つまり、胸やら何やらを見せることになるということだ。どうせ断っても無駄なので、意を決して仰向けになる。

 でもどうしても恥ずかしい気持ちが残って、両腕を使って胸と股間を隠している状態だ。


「隠しちゃだめよー、塗れないじゃないー」


 思わず泣きそうになりながらも、しぶしぶ両腕をどける。胸は隠しようがないけど、股間は足を閉じることで最低限隠すことができた、と思う。


 かけるわよーとヴィーラさんが言うと、瓶を傾けて液体をぼくの体へとかけてきた。冷たい感触を伴って、ぬるぬるとした液体がぼくのお腹の上に広がっていく。

 ヴィーラさんは液体をお腹、手と塗り伸ばしていく。それが足へと差し掛かったとき――。


「足を開いてくれるかしらー。閉じてちゃ塗れないのよー」


 ヴィーラさんからそう言われてしまった。これはただ洗ってもらうだけだから、と自分に言い聞かせて、足の力を抜いた。

 ヴィーラさんはとても丁寧に洗ってくれた。足の指先から、太腿の内側まで。

 

 くすぐったい感覚に何とか声を出さないでいようと目をつむって耐えていると、ヴィーラさんの荒い息遣いが聞こえた。


「……? 大丈夫ですか? 息が荒いみたいですけど」

「……大丈夫よー。もうこれぐらいでいいかしらねー」


 どうやらやっと終わったようだ。よく体を流しておいてねと言われたので、体に塗られた液体をシャワーで洗い流す。

 変な感触で少し辛かったけれど、体の疲れは本当に取れたような気がした。恥ずかしかったけど、やってもらってよかったと思う。

 ぼくはヴィーラさんにお礼を言い、先に風呂場をあとにした。


 ☆


「う、う~……」


 恥ずかしさに思わず胸元を手で隠してしまう。別に誰かが見ているわけではないけど。今いるのはぼくに割り当てられた部屋だ。その部屋のベッドに腰掛けている。


 何故ぼくがこうしているのかというと、今ぼくが身に纏っている服――布のせいだ。いわゆるベビードールというやつだ。薄い布のみで構成されているそれは、とてもスケスケなのだ。下に着ているのはショーツだけだ。

 寝るときにブラをつけないということは、シアとの訓練・・で勉強済みだ。


 脱衣所にあった、ベビードールとショーツのピンクのセット。お風呂に入る前に着ていた服がなくなっていて、このセットしかなかったのだ。たぶんヴィーラさんの仕業だろうけど。着てみるとぼくにピッタリのサイズだった。


 いつの間に準備したのか分からないけど。ふと服飾店の時に何か手提げ袋を持っていたことを思い出した。この時に買っていたのかもしれない。

 あれ、このときってヴィーラさんの家へ泊まる話になっていたっけ?


 そんなことを考えていると、全身から汗がじんわりと出ていることに気付く。風呂あがりからやけに暑く感じる気がする。エルフはほとんど汗をかかないはず――。なおさら、こんな薄着をしているのに何かおかしい。

 もしかしてのぼせてしまったのかな、と思っていたその瞬間。ふいに部屋のドアが開き、現れたのはヴィーラさんだ。ぼくと同じような格好をしている。

 つまり、色々と見えている状態だ。


「ちょっ、ヴィーラさん!?」


 ぼくは驚き叫ぶがヴィーラさんはとくに反応せず、一歩一歩ぼくの方へ近づいてくる。顔は笑顔だけど、昼間見せていた笑顔とはどこか違う。

 何か嫌な予感がするけど、体がうまく動かない。そしてヴィーラさんはぼくの目の前にやってくると、肩を掴まれて後ろ――ベッドへと押し倒された。

 何が起こったか分からないぼく。混乱しているぼくをよそに、ヴィーラさんが耳元で語りかけてくる。


「エリーちゃんがかわいいから悪いのよー」


 どういう意味か分からない。だけど声を上げようとした瞬間に唇を塞がれてしまったのだった――。

次話、王都編最終話の予定です。……たぶん。


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お読みいただきありがとうございます。

ブックマーク・評価等、とても励みになっております。

誤字脱字等がありましたら、お知らせください。


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2016/05/22 表現・描写を追加ならびに修正

2016/07/03 全体(表現・描写)を改稿。詳細は後日活動報告にて。

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