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異世界アパート『異世界邸』の日常  作者: カオスを愛する有志一同
続・百鬼夜行
127/169

一応の収束、そして……【part山】

 貴文が精神世界から異世界邸の少女にいざなわれて現実世界の風鈴家に戻ると、すでに瘴り神は姿を消し、その代わりに二人の少女が人魔入り混じる人垣に囲まれて横たわっていた。

 片や黒翼を背に生やした烏天狗、片や黒いセーラー服に前髪で目元を隠した人間の少女。

「よかった、上手くいったんだな」

『『『…………』』』

 ほっと一息吐く貴文。

 しかし二人を囲む人影からは、未だにピリピリとした緊張感が漂っている。

「あれ?」

「……管理人、それが……」

 と、代表して管理人補佐のアリスが声を上げる。

「引き剥がしには確かに成功したのです。ただ二人とも、()()()()()()()()()()()()()

「は?」

 貴文も覗き込む。

 すると確かに、二人の少女が寝息を立てて床に横たえられているのだが、まるで水中で目を開けた時のように、いまいち輪郭が捉えられない。特に二人のうち近い方の半身が特に顕著で、もう少しでも近ければ混ざってしまいそうだった。

「お、おい、これ大丈夫なのか!? もう少し離した方が……!」

「離したいのは山々なのです」

「でも下手に触るとまた混ざっちゃいそうでこえーんだなコレが♪」

 と、右目の魔方陣を起動させながらセシルが言葉を引き継いだ。

「元々一体の破壊神だった天逆毎をカミサマが無理やり二つに分けて弱体化させて転生させたのがこの子たちなわけだ♪ それがバグったとはいえ一度は混ぜて一体の存在に戻しちゃったわけだからね☆ 二つに分けても今度は世界の摂理に従ってお互いに引き合っちゃう――今度こそ正真正銘の天逆毎になっちゃうわけだ♡」

「はあ!? それじゃあ俺たちがやったのは無駄だったってことか!?」

「無駄じゃあないよ♪ 少なくとも瘴り神(バグ)消去(デリート)できたわけだから大きな成果だ☆ 問題は復活した天逆毎が世界を滅ぼすかもしれないってだけで♡」

「大問題じゃねえか!!」

 一難去ってまた一難。問題が片付いたと思ったらまた大きな問題が降りかかる。今回の件については異世界邸はマジで巻き込まれただけなのに、この湯水のごとく湧き出る問題についてはもう異世界邸の呪いとしか思えない。人型に実体化した異世界邸もよく見れば呪い人形に見えてくる。

『……不敬を感知』

「心を読むな」

 睨まれてしまった。

 いや、などとじゃれあっている場合ではない。

 どうするんだと声を荒げるのは容易だが、このメンツで最も魔術分野に特化しているセシルでさえ下手に触りたくないという。ここは背に腹は代えられない、麓に救援を呼ぶべきか。いや、そもそも時間的猶予はどれくらい――


『小難しく考えすぎだぞ』


 ぞわり、と脳内に直接声が響く。

 はっとして顔を上げると目の前の空間に歪みが生じ、そこからえんじ色のジャージを身に纏った変態羊が姿を現した。

 鞍馬の天狗の対処に当たっているとは聞いたが、右手には……何だアレ?

「え、何それ」

『ああ、コレか』

 羊が手にしていたのは、なんか低画質なモザイク状の物体。そしてそれを隠すようにやけにコミカルな羊のキャラクターが「見せられないぞ!」というカンペを持って宙に浮いている。どういう理屈か、どんなに見る角度を変えても羊のキャラクターは貴文の視線を遮るようにモザイク物体を隠し続ける。

『鞍馬天狗の小娘だ』

「ボッコボコじゃねえか!? そんな物体こののに見せるな!?」

『であるからこのように()()()()処理をしたうえで愛らしい偶像で隠しているのだろう』

 言って羊が物体を床に転がすと、ぐちゃっと生々しい音が聞こえた。そしてうめき声のように「……ウマレテキテゴメンナサイ……」と聞こえてきた。心もボッキボキじゃねえか。

『存在根源を書き換えて力を封じてやった故、当分は何もできまいよ』

「お、おう……いやちょっと待て! そいつならこの二人を完全な形で分離できたんじゃないのか!? 力封じちまったらダメだろ!?」

『何を言っているのやら……』

 はあ、と溜息を吐く変態羊。こいつに呆れられるとすげえ腹が立つ。

『既に分離は完了しているだろう。この小娘の力など不要であろう』

「だから、分離はできたけどすぐにまた混ざりそう――」

『ならば混ざらないように固定化すれば良かろう』

「それが出来たら苦労は……!」

『できる』

 と、羊が自身の角を撫でながら大きく欠伸をする。

『やつがれの知り合いに曖昧概念の魔王がおってな。こういう事象は何度も見た。存在の境界が曖昧なのであれば、存在の根幹を奮い立たせ、確立させれば良いだけだろう』

「あ、あぁ……?」

 何を言っているのかいまいちピンとこない。何か専門的な話なのかとセシルに視線を向けるが、彼女も「はあ?」という顔で羊を眺めている。

『はあ……だからうぬらは小難しく考えすぎなのだ。この現象は本来実に簡素なのだよ。うぬらにも分かりやすく言葉を噛み砕くとするならば――そやつらを()()()()()させればよい』

「……???」

 ダメだ、やっぱり意味が分からない。もういっそこんな変態羊の言葉など真に受けず、麓までひとっ走り行って専門家を連れてきた方が早いか――と、貴文が思い始めた時。

「キャラ立ち……キャラ立ち……? ……え、もしかしてそういう……?」

 周囲の視線が、そう呟いたチャラ男――神ン野悪十郎に集まる。

「なんだ悪十郎、何か気付いたのか!?」

「ええ、まあ、九朗サン。ちょっと試してみる価値はあるかと。あー、無角サンもちょいといいっスか?」

「む?」

 ちょいちょいと九朗左衛門と無角童子を手招きする悪十郎。一体なんだなんだと周囲が訝しげに見ている中、悪十郎は二人に耳打ちをする。

 すると九朗左衛門は心の底から嫌そうな表情を浮かべて「正気か!?」と声を荒げた。

「考え直せ悪十郎! もっと他に良い手があるはずだ!!」

「時間がないんスよ! ダメで元々、やるしかないっス! 無角サンもいいっスね!?」

「……いや、我は問題ないが……貴様はそれでいいのか……?」

「天逆毎なんて明らかにヤベーもんが復活すンのに比べたら幾分かマシでしょーよ! 九朗サンもさっさと覚悟決める!」

「……っ! ええい、どうなっても知らんぞ!」

 血管ブチ切れたんかとこちらが心配してしまうほど顔を赤くする九朗左衛門。一体何をするつもりなのかと貴文は身構えながら見守っていると、悪十郎がおもむろに上着を脱ぎ棄てて引き締まった上半身を露にした。それを見て意を決したように、九朗左衛門も継裃の襟を崩して鍛え抜かれた筋骨隆々の肉体を曝け出した。

「くぅ……! ええい、散れ! 散れ貴様ら! 見世物ではない! こっちを見るな!」

「…………」

 顔を真っ赤にして唾を飛ばす九朗左衛門とは対照的に、なぜか声をかけられた無角童子は、じっと横たわる鴉天狗に目を向ける。その視線は彼が来る地獄の業火も生温く感じる鬼火とは打って変わった、永久凍土も震え上がりそうな冷ややかな物だった。

 そして――


「いつまでそうやって寝ている。貴様は我だけの玩具であろう――いい加減目を覚ませ。骨の髄が砕けるまで踏んでやる」


「九朗サン……///」

「悪十郎っ……///」


「ボクは無角様だけの奴隷ですぅー!(´Д`*)ハアハア」「┌(┌ ^o^)┐ホモォ…」


『『『…………』』』

 片や飛び起きて空中で三回転くらいしたと思ったら、絶対零度の視線の無角童子の足元に涎を垂らし息を荒くしながらすり寄る鴉天狗。

 片や半裸で抱き合い顔を赤らめる二鬼に向かってねっとりと這い寄る天真子。

 そしてそれを何と言い表したらいいのか分からずただただ茫然と眺めるその他大勢。


 ――パチパチパチ


 と、誰かが拍手をした。見ると、変態羊だった。

『うむ。よい()()()()()である。天晴!』

「…………」

 キャラ立ちって、そういうことでいいのか?

 誰もがそう思ったが、口にしたら負けな気がした。


『これにて決着! めでたしめでたしよ!』

「お前がシメるんかい」


 そうして長かった夜が明けた――



          * * *



「はあ……つ、疲れた……!」

「貴文、お疲れ様なのじゃ」

 数時間後。

 諸々の後片付けのため、休まず駆けずり回った貴文はようやく管理人室に戻ってきた。すでに目の下にはクマが浮き上がっていたし、眠気と疲労で眩暈までしていた。

 とは言え、今回の事件で異世界邸としてのダメージは実質ほぼゼロに等しかった。那亜に求婚しに攻め入ってきた無角童子と、その取り巻きの妖怪たちによって怪我人は大勢出たが、それくらいならば日常茶飯事である。そのため貴文が気付いた時には全員医療班の処置を受けてベッドの上でいびきをかいて眠っていた。


 そしてその襲撃の張本人である無角童子はというと、鴉天狗やその他妖怪たちを連れていつの間にやら異世界邸から姿を消していた。


「鬼道丸にはきちんとお説教しましたのでもう大丈夫ですよ。……まあ私としては、事前にきちんと連絡をしたうえで、手土産持参で訪ねてくる分には追い返すわけにもいきませんから、もしかしたらそのうちひょっこり顔を見せるかもしれませんが」


 そう言って悪戯っぽく笑う那亜に、貴文は何も言い返すことはできなかった。


 そして今回の騒動の発端である二鬼の魔王――山ン本九朗左衛門と神ン野悪十郎は、麓から訪ねてきた「知識屋の魔女」によって拘束され、しょっ引かれていった。

 異世界邸管理人としては、しれっと再び結界を潜り抜けてやって来た「魔女」に文句を言いたいところだったのだが、貴文としても対処に困っていた九朗左衛門と悪十郎を引き取りに来たという彼女に手のひらを返し、ウィリアムがコレクションしていた邸で一番いい紅茶を出してもてなしてやった。

 そして意外なことに、どう見ても我の強そうな二鬼は気味が悪いほどに従順に「魔女」に従って「首輪」を嵌められたのだ。


「まあ今回、あの二人は完全に負け戦なわけだからね。元々義理は通す血筋だし、敗将としての分は弁えているんだろう。とはいえ話を聞く限り、瘴り神の対処の功績があるらしいから悪いようにするつもりはないよ。そうだね、しばらく知人のところに奉公にでも出そうかな」


「魔女」はそう言ってチェシャ猫のような笑みを浮かべたが、麓でもまだまだ後片付けが大量に残っているらしく明らかに無理をして言うのが見て取れた。貴文はそれに何となく仲間意識を感じてしまい、送り出す時に手土産に胃薬の予備を渡してやった。


「……ウマレテキテゴメンナサイ……」


 そして今回の事件の諸悪の根源――鞍馬の大天狗の転生体である馬帆はというと、その処遇と管理を「魔女」と風精霊・誘薙に依頼されていた。

「まあ元々彼女は彼女の存在意義に従って動いただけなので、それについては僕からは何も言うつもりもないんですがねぇ。でもそれに付随してやらかしてくれたことについてはちょっと看過できないと言いますかぁ。なので今回一番被害を被った異世界邸サイドに一任したいなぁ、なんて思ったり」

『そういうことならばやつがれに任せてもらおうか』

 誘薙との会話をどこから聞いていたのか、真っ先に名乗り出たのは馬帆を心身ともにボッキボキにへし折った変態羊だった。

 一体何をするのかと貴文が身構えると、未だにモザイク処理と隠しが取れないままだった馬帆に『せいっ!』という掛け声とともに何やら怪しげな光線を発射した。

 そしてボフン! と煙が上がり、後に残されたのは――一台のガラケー、いや、PHSだった。

「……なんですかぁ、それ?」

 世界の管理者たる誘薙でさえ目の前の現象に理解が及ばず、呆けた口調で羊に問うた。

『この小娘は我が君の迷宮に無断で干渉してきた不届き者であるからな。存在根源の書き換えだけではやつがれが納得できんかったのでな。故に()()()()()()()()()()()()

 そう鼻息を荒げながら羊がPHSの画面を見せる。

 するとそこには、滅茶苦茶荒いドット絵で描かれた馬帆の姿が映し出されていた。当然ながらモノクロだった。心なしかドット絵が魘されているように見える。

「……ここまでのことをされることはしてないと思うんですがねぇ……」

 この処遇に、流石の誘薙でさえ冷や汗を浮かべながら渇いた笑みを浮かべていた。


「まあ何はともあれ、とりあえず区切りかな」


 そう呟きながら、貴文は管理人執務席へと向かう。

 そこには異世界邸を迷宮に取り込むことで消滅を回避させ、一時的に管理人権限を担っていた功労者――迷宮の魔王グリメルが座っていた。

「グリメル、お疲れさん。今回は助かったぞ」

「……ん。んん……! っぷはあ、終わったのか?」

 ぎゅっと目をつぶり、眉間にしわを寄せて腕組みしていたグリメルが伸びをする。力を酷使して凝り固まった全身の筋と関節をぐりぐりと動かしながら、グリメルがニパッと魔王とは思えない無邪気な笑みを浮かべた。

「しかしアレだな。お前の力があれば異世界邸が吹き飛んでもすぐに建て直せるんじゃないのか?」

「今回は特別なのだ。そう何度もできる荒業じゃないし、そもそも建て直すたびに管理人権限を余に与えるつもりか?」

「あー、そりゃ確かに困る」

「そうなのだ」

 ひょいとグリメルが椅子から飛び降りる。その勢いでクルリと回ったのを手で押さえ、貴文は「やれやれ」と溜息を吐きながら腰掛け――


「ちょっと管理人お待ちなさああああああああああああああああっ!!??」


 ちゅどおおおおおおおおおおん!!


 爆音とともに管理人室の扉が吹っ飛んだ。

 重い金属製の扉が貴文の脳天をかすめ、窓を突き破って外へと飛んでいく。

「フォルミーカ!? 何しやがる!!」

「ちょっとその椅子に座るのはお待ちになって!?」

 扉を吹き飛ばした犯人――白いドレスの白蟻の魔王フォルミーカは、半透明の異世界邸の少女を小脇に抱えていた。

「あ、いっけね。ごたごたしてて忘れてた」

『……不服。此方は其方のことを一度たりとも失念したことなど皆無』

「貴文……? やはりお主、この童女と浮気かえ……?」

「断じて違うぞ神久夜!? お前も話をややこしくするような言い方はやめろ!!」

「そんなことより管理人! その椅子に座るのは――」

「だから何なんだよフォルミーカ。この椅子が何だってんだ」

 ていうか座る直前にフォルミーカが乱入してきてそのままの姿勢なのでいい加減腰が痛い。そもそもあれから数時間休みなしで動き続けていたため視界がフラフラする。なので貴文はついうっかり、フォルミーカの制止も虚しく、異世界邸管理人執務席の椅子に――迷宮の魔王が数秒前まで君臨していた玉座に、腰掛けてしまった。


 ゴッ!!


「あ」

『……あ』

「あーあ……」

 グリメルが、異世界邸の少女が、そしてフォルミーカが、思わず声を漏らす。

 貴文が椅子に腰かけた瞬間、貴文の元から底の知れない魔力が感知できないほどの規模で膨れ上がった。

「……え」

 貴文もまた事態についていけずに呆けた声を上げる。

 魔力が跳ね上がった。何やら自身の奥底に未知の力も感じる。しかしそれはどちらかというと、瘴り神と戦った時に異世界邸から力を付与された時の感覚に似ている。最も、その力の規模は比ではないが。

「はー……わたくし、知ーらない」

「ちょっと待て説明していけ!?」

 頭を抱えて管理人室から出ようとするフォルミーカ。それを引き留めようと貴文が手を出すと


 どんっ!


「きゃっ!?」

 吹っ飛んだはずの扉が、フォルミーカの目の前に出現した。

「…………」

 訳がわからず呆然とする貴文。ぎこちない動作で振り返り、さきほど窓の外に飛んで行った扉を目線で探す。

 フォルミーカの怪力でひしゃげ、べっこべこになった扉ははるか数十メートル先の地面に突き刺さっていた。

「えっと……」

 もう一度振り返り、フォルミーカの行く手を拒んだ扉を見る。

 やはり、そこにある。

 まるで無から創り上げられたかのように、扉は何食わぬ顔でそこに立っていた。

「やっぱり……」

 じとーっと赤い目を細めて貴文を見るフォルミーカ。訳が分からないが、とにかく自分が何か取り返しのつかないことをしてしまったのだと察し、全身からどばどばと冷や汗が流れる。

「……事例はほぼないですし、わたくしも噂程度でしか聞いたことがありませんが」

 と、フォルミーカがため息交じりに説明する。

「魔王の玉座とは、ある意味において特別な存在でもありますの。そうですわね……魔王を魔王たらしめる魔王因子の次くらいに重要なファクターですわ。今回、迷宮の魔王グリメルが異世界邸を取り込み、管理者権限を一時的に奪った際にその椅子から総てを統括していたことからも分かるでしょう」

「えっと……」

「要するに、魔王の玉座に腰掛けることができるのは魔王だけですわ。そしてそこに座す者が変わるということは――それすなわち、魔王の交代を意味しますの」

「…………」

 フォルミーカの言葉が遠くに感じる。喉がからからにひび割れ、眼球が勝手にぎょろぎょろと泳ぎ出す。

 だがフォルミーカの次の一言で、貴文は現実を突きつけられるのだった。


「まあ何が言いたいかと申しますと……魔王就任、おめでとうございますわ」


「げぶらぁっ!?」

「貴文ぃ!?」

 喉の奥から血が湧きだし、口から溢れ出る。それを見て神久夜が駆け寄ってくるが、その声は既に徐々に遠のき始めていた。

「あー……玉座のこと、すっかり忘れていたのだ。てへぺろっ」

「まあ、あなたの魔王因子が消滅していたのがせめてもの救いですわね。あんなものまでまで継承されていたらと思うと流石に背筋が凍りますわね」

『……管理人が魔王となるとは此方の長い歴史でも初。今代の隠世邸、もとい異世界邸は実に比興』

「貴文! しっかりするのじゃ貴文! 今先生を呼んでくるのじゃ!」

 そんな声を遠くの方で聞きながら、貴文は薄れていく意識の端でこんなことを考えていた。


 魔王も胃痛で気を失うこともあるんだな、と。



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