魔法省の仕事
あれから色々とあり(特にパートナー問題)、アスワドは毎日の様に魔法省に入り浸っていた。彼の仕事は式場の照明係だった。仕事内容はごく簡単なもので音楽に合わせて照明を変えるぐらいの事しかない。果たして本当にアスワドが必要なのか魔法師が余る程いる中疑問が湧いて出た。しかし、ここで下手に逆らうと将来に響く、アスワドは大人しく周りの魔法師に従った。
「変なんですよルッツィさん。」
「何がですか?」
「あの仕事場にホントに僕が必要なんだろうかと思いまして。あれくらいなら力の強さ関係なく誰でも出来る魔法ですよ。」
「ほう、それはちょっと疑問ですね。あぁ、センスの問題では?」
「センスだったら女性とか他のモテ男の方が断然いいですよ。自分で好きな様に出来るならまだしも、他の魔法師の指示通りに色を変えて行くだけなんで、ホントに僕じゃなきゃいけなかったのか不思議なんですよ。僕、なんかやらかしたかなぁ。儀式に出られない様にされただけなんじゃないかなぁ?」
「それは考えすぎでしょう。まぁ、言われるままに出来るのも仕事のうちですよ。」
若い執事はそう言って彼の主を慰めた。しかし、ルッツィにも引っかかる所がある。いくら力が強いとはいえ、さっきの話の内容からすると確かにアスワドでなくてもいいのでは?と思えてくる、第一魔法省の人員不足でもあるまいになぜわざわざアスワドを借り出すのかまるで成年の儀から遠ざけている様だ・・・。
「いや、まさかな。考えすぎだ。」
カタリナはその話を聞いて憤慨した。
「そんなの失礼ですよ‼︎大事な成年の儀を欠席してまで手伝おうと言うのに、誰でも出来る仕事だなんて!
私、アスワド様の成年の儀を本っ当に楽しみにしていたんですからね‼︎」
プンスカとむくれ顔の可愛い侍女にアスワドは笑うしかなかった。
「アスワド様は悔しくないんですか?一生に一度の儀式ですよ、今からでも儀式に参加する様お願いできないんですか?」
「それは、多分できないな。向こうも僕をわざわざ呼んだって事は何か意図があるんだろうし。」
「む〜、ホントに悔しいです。後はお仕事頑張って下さい。」
ぷぅっと頬っぺたを膨らます、彼がこの上なく可愛がる歳下の侍女に慰められアスワドはホッとする。
「大丈夫だよ、2年後には君の成年の儀だからね。その時はパートナーを務めさせて貰うのが楽しみだ。」
「私の成年の儀は教会で行うんですよ?パートナーなんて必要ですか?」
「王都の成年の儀だからね、少しは派手にやる所もあるんだよ。君を着飾らせて隣を歩くのはかなりの優越感だろうね。」
そう言われてカタリナは顔を真っ赤にしてようやく絞り出した声はか細く
「アスワド様は私を買い被り過ぎです。」