お休みを頂きましょう。
手紙が届く喜び。まで、多少なりとも改稿させていただいています。
アスワドから初めての返事を受け取ってからカタリナは何度も手紙を書いた。その度にアスワドからは喜びの詰まった返事が来る。一度便箋が尽きてしまったたが、すぐに真新しい便箋が送られてきた。
寝る前の少しの時間、カタリナも便箋に向かい幸せなひと時を過ごすのだった。
そうして季節が過ぎていき、夏休みを目前に控えたある日ルッツィからアスワドが帰ってきたら一日休みをもらうと言ってきた。
「1日だけでいいんですか?」
「ああ、ちょっと実家に野暮用だからね。1日も掛からないと思いますよ。カタリナこそここへ来てから休みを取ってないでしょう?」
そういえば・・・・。休みの申請って誰にするんだろう?
「あの、お休みの申請ってどなたに?」
「あぁ、そうだね。君は離れ専属だからヒイラギ様がお留守の間は私か・・・ごめんごめん、失念していたよ。どう?早速休みたい日はあるかい?」
どうしよう、お給料も使わないから貯まっている。でも1人で出かけるのは心細い。大体出かける服がない、アスワドが買ってくれたのは冬物の服だったのだ、今は季節も変わっている。
「あの、本邸のマーサさんに聞いて休みを合わせたいのでまた後でお願いします。」
「わかったよ、決まったら教えておくれ。」
ルッツィはそう言うと本邸の方へ消えていった。カタリナはホッと息をつく。外出着はマーサさんに借りよう。その夜マーサの使用人部屋を訪ねて計画を話した。マーサは二つ返事で喜んで引き受けてくれた。この2つ年上の先輩侍女は何かと頼りになるのだ。
「良かった、マーサさんが付き合ってくれて。」
その二日後、カタリナは休みを貰った。
「ねぇ?あんたちゃんと食べてるの。」
「食べてますよ。」
「ふーん?全然お肉がついてこないわね。まぁ、あたし達本邸の使用人はお菓子の残りだとか何だかんだ言いながら余計に食べてるけどさ。」
シュヴァリエ家を出てからマーサが聞いてくる。どうやらカタリナがあまりに細すぎる事に気に入らないらしい。もっと食べろだの、お菓子を差し入れるだの、どうしてももう少し肉付き良くしたいらしい。それにクスクス笑いながらカタリナがマーサの後を追う。やがて目当ての店に着き中に入ると、カタリナは目を回す。
「ね、ねぇマーサさん。私に合う服なんてあるのかな?すごいよこのお店、帽子とかバッグまで置いてる。
」
「大丈夫よ、この店は古着屋だからあんたのお給料ならたっぷり服が買えるわ。ほら、これなんかどう?」
マーサが一着のワンピースを見せる。
「素敵!でも私のサイズに合うかしら?」
「大丈夫よ、子供服の中から選んでるから。」
それから靴を選び何着かの洋服を選ぶと2人は街へ繰り出し今評判のお菓子を買って帰ったのだった。