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     予勘 ‐ヨカン‐ 弐

「やっぱなんかあるんすね」

『ま、ね。依頼自体の事で話す事があるんじゃなく、正しくはその原因に関してだ』

「原因?」


 何かがある事に勘付きはしたが、その内容までは気付きはしない。

 供助は返ってきた言葉に、眉間に薄く皺を作る。


『今日頼んだ依頼といい、この間の依頼といい……急過ぎると思わなかった?』

「そういや……そうですね。いつもは連絡が来てから三日くらいは依頼の日まで間があるのに、ここ最近は急でしたね」


 ついさっき受けた依頼も今夜の仕事で、この間のジェットババアの時も連絡が来たのが前日。

 しかも、ジェットババアの時は夜間じゃなく昼間に除霊をした。

 言われて気付いたが、確かに最近の依頼は急なものが多かった。


『ここのところ、奇妙な事が起きていてね』

「奇妙、ですか?」

『実は二週間位前から、ある一定範囲の地域からの依頼が異様に増えているのよ。その地域の中に、供助君が住んでいる五日折市も含まれている』

「ああ、なるほど。最近の依頼が急だったのは……」

『そ。飛び込みで入ってきたりして大変なのよ。なんとかやりくりしてるけど、このまま依頼が増えたらパンクしちゃうよ、うち』

「どれだけ増えているんですか?」

『例年の三倍を超えそうな勢い』

「そんなに!?」


 予想以上の数に、供助は驚く。

 それだけ増加しているなら猫又を離したくないのも頷ける。


『けどまぁ、人喰い捜索の為に五日折市を中心に多くの払い屋を配置しといたのが助かったよ。お陰で素早く対応出来てる』

「今は人喰いが現れていないからいいですけど、いざ現れた時に手薄になってたら意味無いですよ?」

『大丈夫だって、その事も考えてちゃんと配分してるから』

「ならいいんすけどね」


 供助は肩を小さく上下させ、息を吐く。

 人喰いがいかに危険で凶悪かは身をもって知ってる。

 奴に止めを刺すのは自分だと誓っている。仇を討つのも自分だと。

 だからこそ、周りの協力が必要だ。一人では限界がある。

 父と母が二人掛かりでも倒せなかった人喰い。それを一人で倒せる程強くない事を、知っている。

 自分はまだ弱い事を――――供助は、知っている。


『ただ、俺が気に掛けてるのは依頼の増加だけじゃなくてねぇ』

「まだ何かあるんですか?」

『タイミングがね……合い過ぎじゃないかと』

「タイミング、ってぇと?」

『依頼が増え始めたのが二週間位前からって言ったでしょ』


 真っ直ぐ問いに返さず、遠回しな言い方。

 それでも供助は、すぐにピンときた。


「……猫又がこの街に来たのと同じ、って事か」

『そゆこと。考え過ぎかもしれないけど疑っちゃうでしょ、やっぱ』

「疑いますね、そりゃあ」


 横田の言葉に合わせて、供助は返す。


『一緒に住んでいる供助君から見て、どう?』

「特におかしなとこも怪しい動きも無いですけどね。家に居る時は漫画ばっかり読んでますし」

『そっかぁ。でも、すぐに白だと決めるのは早計かもしれんし、ちょっと様子見してみた方がいいかもね』

「まぁ、真っ黒だしな、あいつ」


 真っ黒と言っても犯人かどうかのクロではなく、見た目の事。

 あとどうでもいいが、猫又が今一番ハマっている漫画はグラップラーザキだそうで。


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