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      最低 -ワタシ- 弐

 そのせいか気まずさが増して、なんて話しかけて良いのか分からない。

 しかし、この道を外れたら遠回りになる。歩く速度を抑えながら、祥太郎が悩んでいると。


「なんだろう、古々乃木君……」


 数メートル先に立っている供助の様子が、いつもと少し違った。

 いつもは落ち着いていて雰囲気なのに、今は妙に落ち着きがないと言うか。首を右左と、辺りをキョロキョロと見回している。

 そして、左右の次は後ろを見てきて。そこで祥太郎は、今日とバッチリ目が合ってしまった。


「あっ」

「……あぁ、お前か」


 少しの間があったのは、すぐに思い出せなかったからだろうか。

 供助は祥太郎の存在に気付き、いつもの気怠そうな表情をしていた。

 目が合った上に、向こうは祥太郎だと認識している。ここで何も話さなかったら、さらに気まずくなってしまう。

 祥太郎は小さく唾を飲み、必死に脳内で話題を探し出す。


「えっと……珍しいね、この道で帰るの。いつもこっちじゃないのに」

「いつもの道はちょっと面倒臭そうだったからな」

「面倒?」

「あーいや、なんでもねぇ」


 しかし、話してみれば何て事は無い。

 供助は前と変わらない調子で会話をして、祥太郎がここ数日話し掛けて来なかったのを気にしていた素振りすらない。

 そういう性格だったと再確認しつつ安堵した半面、祥太郎は自身の気にし過ぎを反省した。

 あと土壇場にならないと話しかけれない勇気の無さを。


「今日からその、登校してたね」

「あん? あぁ、いじめてきてた奴等か」


 今日は一瞬誰の事か考えたが、すぐに理解した。

 多勢に無勢で絡んできておいて、情けなく負けた奴等だ。多少は記憶に残っている。


「朝、教室で顔を見た時は怯えちゃったけど……今日は何もされなくて良かったよ。ずっとこうだといいなぁ」

「簡単に諦めて心を反省する奴等だと思うか? どうせなんか企んでるだろうよ」

「なんでわかるの?」

「勘」

「勘って……」

「けどまぁ、お前はもう大丈夫かもな」


 勘という根拠の無い理由。

 祥太郎は多少呆れつつズレた眼鏡を直すも、供助らしいと理由だと納得する部分もあった。


「またいじめられたくなかったら、俺に話し掛けんのはやめとけ」

「どういう事?」

「さぁな」


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