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     宴会 -バーベキュー- 肆

 太一に続いて、南までもが供助を化け物認定する。

 供助の底知れぬ霊力量。底見えぬ潜在力。知れぬ、見れぬからこそ際立つ、その規格外。

 いつになったら追い付けるやらと、南は呆気に取られながらチビリとビールの飲むのだった。

 そこに呆れはあっても、諦めの感情が無いのは南らしい。


「供助の霊力量には私も度々驚かされる。特に不巫怨口女の時の底力には目を疑う程であった」


 供助達が通う高校に現れた、怨みに囚われた巫女。上半身は女で、下半身は巨大な蛇の体躯に、ムカデの様に人の手足が生えた妖――不巫怨口女。

 何度も窮地の陥り、何度も危機に晒された。しかし、その度に強く湧いてくる霊力。底が見えない量に、あの時の猫又も驚愕していたのを覚えている。


「確か、その時に協力したのがお前達なんだっけ?」

「そうですそうです。あん時はマジで怖かったし、ヤバかったよなー」

「本当だよ。あんな事が起きたのも信じられなかったし、体には全然力が入らなかったし……」


 南が聞くと、太一と祥太郎は当時の事を思い出して苦笑いする。

 自分達が知っていた常識とは掛け離れ、自分達が居た日常から逸した世界。

 今では受け入れているが、あの時はどこまでが現実なのか、目に見える殆どを疑ってしまいたくなる状況だった。


「予想外のアクシデントにイレギュラーが重なって、まさかあたしが通っていた高校にあんなバケモンが解き放たれるたぁ思ってなかったぜ」


 南はその時、別の依頼があって近くにはいなかった。

 そのせいで駆けつける事は叶わず、後から供助が関わっていたのを知ったのだった。


「映像で少しだけ見たけど、確かにありゃ超ド級の化け物だ」

「む? 映像とな?」

「あぁ、あんま長くねぇけどな。全部で二十分くらいだったか? ドライブレコーダーの映像と、封印箱に固定してあったカメラの検証用に撮っていた映像の二つだな」

「検証用?」

「ああいう警戒レベルの高い封印物を運ぶ際は、不測の事態や不慮の事故が起きた時、後で霊的な原因や第三者の干渉が無かったか調べる為に録画しておくのが原則なんだよ」

「なるほどの。それで映像があった訳か」

「まぁ、不巫怨口女の封印が解かれた際の衝撃で映像は乱れたり、途中でカメラが壊れたりで映像の質は良くなかったけどな」


 少し前に焼いてあったイカの切り身に七味を掛け、一口で頬張る南。

 間髪入れず、ビールを一緒に流し込む。


「古々乃木先輩と猫又サン、あと護送に付いていた払い屋達と一緒に食い止めてたんだろ? そこまで人数も居なかったのに、よくまぁ出来たもんだ」

「他の払い屋……まぁ外で結界を張ってた人もいたらしいからのぅ。一緒っちゃ一緒か」

「んだ、その含んだ言い方は」

「ぶっちゃけ、実際に不巫怨口女と戦った払い屋は私と供助の二人だけだからの」

「ふーん、そりゃあ大変だっ――ブフッ!?」


 もう一口、ビールを飲もうとした南は。

 相槌しながら口に入れたビールを、盛大に勢い良く噴き出した。


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