表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
382/457

      牙跡 -コンダク- 陸

「南、横田の連絡先は知っておるかの!?」

「ああ、知ってる。けど、こんな時間だ。出てくれりゃいいが」

「出るまで鳴らせ! 供助の命が掛かっておる!」

「わかってんよ。頼むぞぉ、こんな時に海外出張で繋がらないとかやめてくれよぉ……!」


 南はスマホをポケットから取り出し、横田へ電話を掛ける。

 コール音が鳴った事に安心し、次は横田が電話に出るのを祈る。

 士官はもう深夜。スマホをサイレンとモードにして寝ていたら、電話に気付いてくれないだろう。

 そこはもう運任せ。神頼み。コール音が五回目に入った時、鳴っていたコール音が止まった。


『もしもーし』

「よっしゃ、出たっ!」

『え、なに? なんでそんな喜んでんの?』


 予想していなかった電話口先の反応に、横田の声は狼狽(うろた)えていた。


「南、私に代われ」

「あいよ」


 そんな横田を気にも留めず、南は即座に猫又にスマホを渡す。


「もしもし、横田か? 猫又だの」

『え、猫又ちゃん? どったのよ、こんな夜中に』

「すまんが、急ぎで真面目な話だの」

『……何かあったのかい?』

「経緯は省く。供助が妖怪に噛まれ、毒に侵された。治療技術を持つ払い屋を手配して欲しい」

『その言い方だと、普通の毒ではなく妖毒の類か』

「そうだの。噛まれたのは大体、一時間ほど前。遅効性だったらしく、今になって急に症状が現れた」

『今から解毒が可能な部下に連絡をする。電話を切らずに、少しだけ待っててくれ』

「うむ、わかったの」


 猫又は話しながら供助へと目を向けると、着替えが終わってソファに横たわっている。

 今も息は荒く、半袖から見える腕には紫色の痣が少しずつ広がっていた。


「猫又サン、横田さんはなんて?」

「今から解毒が出来る部下に連絡するとから、このまま電話を切らずに待っとれ。だそうだの」

「近くに居てすぐに来れる払い屋が居りゃあいいんだけどな……」

「そこは運に頼る他ないだろうの」

『もしもし? 猫又ちゃん、聞こえる?』

「む?」


 一分も待たずして。早くもスマホから横田の声が聞こえて来た。


「聞こえておるの」

『そこに南ちゃんも居るよね? 一緒に話を聞いて欲しいから、スピーカーをオンにしてもらえる?』

「わかった。南、すまんがスピーカーをオンにして周りにも聞こえるようにしてほしいの」


 猫又はそう言って、持っていたスマホを南に返す。

 スマホを持っていない猫又は通話くらいは出来るが、細かな操作は解らない。


「横田さん、スピーカーにしたぜ」

『お、南ちゃんの声。喋って大丈夫そうね』


 南はスピーカーに設定したスマホを、近くのテーブルに置いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ