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      結界 -メグラレ- 弐

「お前ら、引き返すぞ」


 悠一達の所へ駆け寄り、供助は単刀直入に言う。


「なんだよ供助、急に」

「嫌な予感がする」

「何言ってんだ。ここまで来たんだ、俺と結花は行く」

「いいから、さっさと戻るぞ」

「だから、俺達は先に行く。戻るなら戻りたいヤツだけ戻れよ」


 しかし、いや当然か。悠一には戻る意思は見せず、結花も同様だった。

 だがやはり、このやけに頑なな態度が二人への不信感を募らせていく。

 これは何かあったと気付いた祥太郎は、近付いてきた南へと小声で話しかける。


「南さん、もしかして何かあった?」

「嫌な気配が急に強くなった。祥太郎達はこの辺りから離れた方がいい」

「この先の工事現場に妖怪がいるの?」

「あぁ、いるだろうな。だから、この先はあたし等だけで行きてぇんだが……あの様子じゃあ簡単には動いてくれなさそうだ」


 南と祥太郎が話している間も、供助と悠一が言い合っている。

 事態を察した太一と和歌も仲裁に入っているが、なかなか納得してくれない。


「ここは僕に任せて」


 策はあると一歩前に出る祥太郎。


「ねぇ、悠一君。供助君の言う通り、やっぱり戻ろうよ。なんか気味が悪くて怖くなってきたし……」

「供助にも行ったけど、戻りたいヤツだけ戻れよ」

「出来ればそうしたいけど、悠一君がいないと帰り道がわからないよ」


 明るい時間帯なら景色や店などの目印で道を覚えれたが、今は夜中。ほとんどが暗くて景色も覚えにくい。

 ましてや初めての土地で道に詳しい筈もなく、祥太郎は自分達だけでは心細いと目で訴える。

 まぁ本当はしっかり道は覚えているのだが。祥太郎もなかなかの役者である。


「僕達、土地勘も無いし……それに誘拐犯が居るかもしれないから、尚さら怖くて。神社までで良いから付いてきて欲しいんだ」

「そんなの、スマホで調べればいいだろ!」


 しかし、それでも悠一は引かない。むしろ足止めを食らっている事に苛立ちさえ表して。

 そんな悠一を思い止まらせたのは彼女だった。


「悠一、戻ろう」

「結花!? なんで!?」

「私達の都合に皆を巻き込んじゃ駄目だよ。本当は戻った方が良いのは、悠一も理解しているでしょ?」

「――ッ!」

「一度みんなを帰してから来よう。それでもきっと大丈夫だから」

「……わかったよ」


 悠一の昇りかけていた頭の血が下って、結花の言い分に首を縦に振った。

 それでもまだ納得しきれていない顔をしているのは、理解は出来ても諦めきれない感情が残っている表れであった。


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