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      悶絶 -ショウキ- 弐

 供助の戦意に呼応するように、全身から放たれる霊気。

 尽きぬ霊気、留まらない霊力。どこから湧いて来るのか、どうして練り出せるのか。

 供助の強さの骨頂である、打たれ強さと霊力(スタミナ)の多さが発揮される。


「なん、と……まだこれ程の霊力を捻り出せるだせるとは……!」


 長く戦闘を行い、体も傷付き、万全には程遠い状態だと言うのに。

 全く衰えず、むしろ増大する供助の霊力に……猫又は舌を巻く。

 予想していた限界量を圧倒的に超え、減衰しない底力。ただただ驚くしかなかった。


「っはぁ、ふぅ……」


 しかし、つい先程まで痛めつけられ、(はた)からは痩せ我慢にしか見えないだろう。

 供助の足取りは覚束無(おぼつかな)なく、身体はフラついている。ボクシングだったらタオルを投げられても可笑しくない、そんな状態。


「アアァァァァァァァァアアァァ……」


 呻き声をさせ、うねうねと伸び始める不巫怨口女の手足。

 一本、二本、三本、四本……沢山。その凶手凶足が、獲物を掴み殺さんと襲い掛かる。

 狙われるは当然、最寄りに居る人間。衰弱する太一と祥太郎は恰好の餌食。

 喰らってしまおうと、噛み殺そうと。過去から蘇った化物は小銭に群がる乞食の如く。

 凶悪な細腕と華奢な足を――――。


「おいおい」


 ――――め、ぎ。


「せっかく格好付けたんだ、ちったぁ俺に付き合えよ」


 数本を裏拳で払い、また数本を平手で払い落とし、素通りしようとする二本を掴み。不敵な笑みを浮かべて、供助は言った。

 傷付こうがフラつこうが、威力は衰えず。馬鹿力は相変わらず。


 めぎめぎめ、ぎ……べきん。


「なぁ?」


 掴む不巫怨口女の腕と足の骨を、握力のみでへし折り。ぶっきらぼうに投げ捨てる。

 喰いたいなら喰えばいい。殺したいなら殺せばいい。ただ……俺は全力で邪魔ぁするけどな、と。

 供助は片手で垂れてきた前髪を掻き上げた。


「アアァアァァァァァイィィィ……」


 空に弾かれ、地に落とされ、骨を折られた手足は元の長さに戻っていき。

 代わりに無傷の手足をまたも、不巫怨口女は伸ばし始める。


「学習しねぇな、おめぇ。ま、俺も人の事言えねぇか」


 前髪を掻き上げた手でそのまま、頭をぼりぼりと掻いて。

 馬鹿の一つ覚えのように同じ攻撃しかしてこない相手に、供助は鼻で笑った。


「邪魔くせぇ!」


 先程同様、同じ攻撃をしてくるならば同じ方法で払い除けるだけ。

 払い、叩き、弾き、落とす。相当の霊力を込めた供助の腕手ならば、強く叩かなくとも軽く払うだけでも十分に跳ね返せる。

 後ろに居る友人達に、文字通り手も足も出させないと。襲い掛かる魔手から自らを盾として全てを弾き返す。


「おっ?」


 次々と払い落とし、弾き返し、殴り折られる不巫怨口女の手足。

 そして、第二波の最後の二本。矢のように飛んできた二本の手を、供助はガッシリを掴み止める。


「細腕にしちゃあ力があるよなぁ……握力の方はどうだ?」


 供助は唇の片端を吊り上げ、僅かに白い歯を覗かせて。掴む手に力を入れる。

 手と手が握り合い、指と指が絡み合い、力と力がぶつかり合う。


「力比べと行こうじゃねぇか……!」


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