↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/457

第五十話 軍手 ‐ショウバイドウグ‐ 壱

「ただいま、っと」


 ガラガラと玄関の引き戸を開け、ようやく帰宅した供助。

 玄関の明かりは消されていて暗いが、戸が開けられたままの居間からは廊下に明かりが漏れていた。鍵を掛けてから靴を脱いで家に上がり、夕飯の到着を待ち侘びる居候がいる居間へと移動する。


「また漫画を読み散らかしやがって……ちゃんと片付けろよ」

「おぉ供助、帰ったか。お帰りだの」


 猫又は枕代わりに丸めた座布団を使い、仰向けに寝転がって漫画を読んでいた。

 テーブルには飲みかけのジュースに、テレビは点けっぱなしでバラエティ番組が流れている。

 なんともまぁ悠々自適な生活。こんな自堕落な生活を俺も送りたいもんだと、供助は脱力しながら思う。


「む? 供助、弁当はどうした? いつものレジ袋が見当たらんが……」

「鞄ン中に入れてある。持って歩くのが怠くてよ」


 いつもはレジ袋を手に持つ供助だったが、今日は中身がほぼ空だった学生鞄の中に入れていた。


「で、今夜の弁当は何かのぅ?」

「好きなの選べ。俺はどれでもいい」

「おおっ! 今日は種類豊富で迷ってしまうのぅ!」


 鞄のファスナーを開け、中からレジ袋ごと入れていた弁当を取り出す。それを起き上がった猫又が受け取り、テーブルの上で中身を広げだした。

 弁当は全部で四つ。からあげ弁当、チキンカツ弁当、アジフライ弁当、サバ味噌弁当。猫又はどれを食べようかと目移りさせながら悩む。


「よし、今晩はサバ味噌弁当にしようかのぅ!」

「ん? あれ?」

「どうした、供助。鞄の中を漁って、何か忘れ物でもしたかの?」

「いや、忘れ物っつーか……落とし物しちまったみてぇだ」

「落とし物とな? 財布でも落としたかの?」

「財布を落としていたら今頃は飯抜きになってるっつの」


 供助が鞄の中を何度も調べてみるも、探し物は見付からない。

 やはりどこかに落としてしまったと考えるべきだろう。


「では一体、何を落としたのかの?」

「商売道具だ」

「商売……あぁ、あの霊印を入れた軍手かの。学校にも持って行ってたのか」

「一応な。横田さんから急な依頼が来るかも知れねぇし」


 制服のズボンのポケットも確認してみるも、やはり商売道具の軍手は無い。


「ま、誰かが拾ってどうかなるもんでもねぇか。予備も無くなったし、新しいの作るか」

「前々から思っておったが、あれは自分で作っておったのか」

「まぁな。別段作るのが難しい訳でもねぇし」

「不器用な供助が自身の商売道具とは言え、物を作ると言うのは多少驚きだがの」

「軍手に霊力を込めた筆ペンで適当に書き殴るだけだしな。広告裏に落書きすんのと同じだ」


 数組セットで安売りしている軍手に、百均で買った筆ペンで文字というか、模様を書くだけ。軍手と筆ペンを合わせても五百円も掛からなく、なんとも安上がりな商売道具である。

 前に友恵にあげた霊札もどきも、この商売道具と同じ方法で作った。まぁもっとも、供助は不器用で霊具を作る才能は持っていない。

 効果の程はそうそう高くはなく、本職の人と比べると雲泥の差がある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。