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      幼馴 前 ‐オサナナジミ ゼン‐ 弐

「なかなか戻ってこないと思ったら、やっぱりサボってたな」


 少し眠気がやってきて、供助が意識を半ば失いかけていた時。

 呆れた声が聞こえてきて、供助の意識は現実に引き戻された。


「おう太一」

「おう、じゃないだろ。教室に戻ってこないと探してみれば案の定サボってやがって」

「サボりじゃねぇよ、個人的な休憩だ」

「馬鹿なクセに口が回るな」

「お前ぇも大して変わんねぇ馬鹿だろうが」

「クラスでドべのツートップだからな、俺達は」


 太一はケラケラ笑いながら、供助の隣に移動して手摺りに寄り掛かった。

 供助と太一はクラスで頭が悪いと有名で、いつもテストでクラスの平均点を下げる原因になっている。

 当然、二人揃って補習の常連。毎回どちらが赤点の数が少ないかで低レベルで競い合っている。ちなみに、もう一人の友人である祥太郎は優等生なので赤点なんか取った事は一度もない。


「なんでこっち来るんだよ。それに立ってると三階の廊下から見えんだろうが」

「せっかくだから俺も休憩」

「いいのか? 後で委員長が五月蝿ぇぞ」

「俺は供助と違って真面目に文化祭準備やってるからな、少しサボったくらい誤魔化せる」

「けっ、あーそうかい。毎度ガミガミ言われている俺からしたら羨ましいねぇ」

「供助がいつもサボったり不真面目なのが悪いんだろ。もう少し文化祭準備に協力的になれば委員長も静かになるんじゃないか?」

「人には向き不向きがあんだよ。俺ぁ人の顔を伺って生きんのは苦手でよ」

「小学校の時はクラスの中心になって周りと遊んでたのに、人は変わるもんだな」

「お前だって小学の時は鼻ったれの丸坊主だったのが、今じゃ耳にピアス開けた金髪のなんちゃってヤンキーだろうが」


 供助と太一は小学校が同じで、中学は別々だったが高校で再会した。

 なので、お互いに小さい頃の事を知っている。言うなら昔からの馴染み。幼馴染とも言えるだろう。

 お互いの家はそんなに近くはないが、小学校の頃はよく一緒に遊んでいた。


「でもよ、もうちょっと文化祭に対して意欲的になんないか?」

「んだよ、委員長の肩を持つのか?」

「そういう訳じゃないけどさ、文化祭まで一週間を切ってさらに慌ただしくなってるだろ?」

「そうだな。相変わらず進行具合が遅れ気味みてぇだし」

「なんか委員長が必要以上に気負ってるようでさ。お前が協力的になれば、委員長の気苦労も減ると思って」

「言ったろ、向き不向きがあるってよ。とてもじゃねぇが無理だろうな」

「でも、昔はこんなにいがみ合う事はなかっ――――っとと!」

「ん? どうした?」


 何かに気付き、慌てる太一。

 三階の廊下から見えないように、屈んで壁に体を隠す。


「委員長が来た。噂してて呼んじまったか?」

「バレてねぇだろうな」

「見付かる前に隠れたから大丈夫だ」


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