第5話 挨拶
「もう少し早めに来てくれると、私の方も嬉しかったんだけどね」
「すみません」
俺は、担任の田土さんの言葉に只々謝るしかなかった。
職員室に到着して出てきたのが、田土さんだったので、驚いた。
彼女曰く、俺が行くクラスの担任らしい。
「ま、いいわ。っと、ここよ」
到着したのは、『1年3組』と言うプレートがある教室だった。
「合図をしたら、入ってくれる?」
「あ、はい」
田土先生は、俺にそう告げると、先に教室の中に入って行った。
『はい、みなさん静かにして。HRを始めるわよ』
田土先生の声が聞こえてくる。
俺は、深呼吸して落ち着く。
『お、沙月ちゃんは今日も可愛――――ブベラ!?』
『野村君、あまり調子に乗らないでね?』
なんか教室からすごい音がしたが、一体何があったんだ?
『では、今日はなんと転校生が来ています』
田土先生の言葉と同時に、クラス中がざわつく。
『それでは、どうぞ』
ついに来た。
ここでミスをすれば一生の笑いものだ。
そんなことになんないように、俺は深呼吸をすると、ドアを開けた。
矛盾の魔法使い 第5話「挨拶」
そこはごく普通の教室と同じだった。
だが、やはり魔法使いの育成機関と言うだけあって、壁に対魔力コーティングが施されている。
これがあれば、魔法の暴走が起きても校舎にダメージは入らないだろう。
そして俺は、教卓に立つと黒板に自分の名前を書く。
やがて書き終えた俺は、くるりと回転しクラスを見た。
「………」
「………」
そこには中井さんと隆の姿があった。
「尾崎 圭一です。訳合ってこちらに転校してきました。色々とご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします」
俺はそう言うと、静かに頭を下げた。
しばらくすると、拍手が沸き起こった。
「それじゃ、尾崎君は空いた席に座ってね」
「はい」
そして俺は空いていた席に着く。
隣にいる人物を確認した俺は、驚きを隠せなかった。
「宜しくね、尾崎君」
そこにはあのにこやかな笑顔で手を差し出す中井さんの姿があった。
俺は、その手を取り握手をする
「それでは、授業を始めますよ。教科書を出してくださいね」
田土先生はそう言うと、周りは教科書を取り出す。
俺もそれにならい教科書を取り出す。
俺の一日は、まだ始まったばっかりだ。




