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矛盾の魔法使い  作者: 龍夜
第4章『予兆』
30/31

第30話 転校生

大変長らくお待たせしました。

第30話になります。


今回より新たな人物が登場します。

地味にこの人物が今後の話を大きく左右させうる重要なキーパーソンだったりします。


次話公開までまた時間がかかるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。

俺たちに降ってわいた謎の襲撃事件。

田土先生に襲撃された旨の話をしたところ、ひどく動揺した様子で俺達の身を案じてくれた。

その慌てようと来たら、まるで自分の子供がけがをして帰ってきたのを心配する母親のような印象を受けた。

田土先生が生徒から慕われている理由が、なんとなくわかったような気がした。

その後は、教師たちから色々と事情を聴かれたりはしたが、特にこれと言って問題などはなかった。

問題だったのは、翌日のことだった。



矛盾の魔法使い   第30話「転校生」



「おはよう」

「おはよう、尾崎君」


どうやら、共有スペースであるリビングに入った俺が最後だったらしく、すでに寮に住んでいる全員が揃っていた。

いつも通り(いつも寝坊しているわけじゃない)の朝だったが、それは中井さんの挨拶までだった。


「だ、大丈夫ですか先輩!?」

「な、何事!?」


突然大きな声とともに衝撃を受けた俺は思わず驚いてしまった。


「せ、先輩方が暴漢に襲われて尾崎先輩が大怪我を負ったと野崎先輩から聞いて、心配で」

「隆から?」


松井さんの言葉に、俺は隆の方へと視線を送る。


「き、今日の朝ごはんは何かなー?」


あからさまに話題をそらしていた。


「お前はいったい何を吹き込んでるんだよ!」

「別にいいじゃねえか。しっぽ巻いて逃げたって言ってねえんだし」

「そりゃそうだけどさ」


俺の反論も隆の言葉で弱くなってしまった。


「とにかく、俺も中井さんも大したけがはしてないから、大丈夫だ」


俺にできたのは、誤解してしまっている松井さんの誤解を解くことをすることにした。


「そうですか。安心しました」

「心配してくれてありがとな」


誤解の上とは言え、心配してくれるのは非常にうれしいことだ。

俺は松井さんに安心した様子の松井さんに、そうお礼を述べた。


「いえいえー」

「お二人とも、ご飯の支度ができましたよ」


話もひと段落がついたところで、寮長の田土先生の一声で松井さんは席に着いた。

俺もそれに続いて席に着く。

そんな中、ふと視線を感じたので横を見ると、


「……」


中井さんは若干不機嫌な面持ちで俺のことを見ていた(正確には睨みつけていると言ったほうが正しいか)。


「な、なんだ? どうかしたのか?」

「え?! な、なんでもないよ」


俺が声を掛けると、中井さんは慌てた様子で返事を返すと俺から視線を外した。

何だか顔が赤かったようにも見えたのだが、大丈夫なのだろうか?

不安に思う彼女の様子だが、一旦それを頭の片隅に追いやり、視線を戻すと朝食を口にするのであった。











そんなこんなで、数日ほどが経ったある日の朝のHRでのこと。

よくよく考えれば、この日は朝から何かがおかしかった。

主な例を挙げると、寮長の田土先生が朝から寮にいなかったりとか、机の数が増えていたりとか。


(なんか、嫌な予感がする)


そんな当たってほしくない予感を感じていると、担任である田土先生が教室にやってきた。


「それでは、HRを始めます」


いつもの一言で、簡単な連絡事項が告げられる。

後はいつもの締めの言葉でHRは終わる。


「それと、今日転校生が来ます」


だが、いつものHRはその一言で崩れ去った。

転校生の言葉に、クラス中がざわつきだす。


「はいはい。気持ちは分かるけど落ち着いてね」


そんなクラスの人たちに、田土先生は手を打ち鳴らせることで静まらせた。


「それじゃ、転校生の人を紹介するわね。入っておいで」

「はい。失礼いたします」


田土先生の呼びかけに、礼儀正しく答えた声は少女のものであった。

そして、閉じられていたドアが開くと、声の主が姿を現した。

それと同時に、再びこれまでよりも大きいざわめきが走る。

その少女は腰まで伸びる銀色の髪に、くっきりとした青い目、そして整った顔立ちだった。


「初めまして。私は神谷(かみや) 敦子(あつこ)と申します。右も左も分かりませんが、よろしくお願いします」


そして、少女は人当たりのいい表情で名前を述べると深々とお辞儀をするのであった。


「っ!」


思わず俺は息をのんでしまった。

その人物は、俺にとっては会いたくない人物の一人だったのだ。

こうして、俺の前に現れた一人の少女の姿に、俺はこの先の生活は波乱に満ちたものになるというこれまた当たってほしくない予感を感じるのであった。

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