第18話 襲撃
グダグダですが、どうぞ
クラス対抗まで残り3日。
放課後、俺と中井さんはいつものようにグラウンドで練習をしていた。
明日と明後日は休日の為練習が出来るのは今日が最後となるのだ。
尤も、田土先生に頼めば彼女の立会いの下での練習は可能だが、休日まで詰めるのではなくイメージトレーニングの方をしておこうということで話は決まっていた。
「はッ! よッ! せいッ!」
「ほっ! とっ! はぁ!」
今俺はグラウンドで攻撃の流れの最終確認をしている最中だ。
数日の猛練習のおかげか、数撃いれて別の場所に移動するという攻撃手段は、形になりつつあった。
「はぁッ!」
「ぐぅ!?」
そして、とうとうこの日、中井さんの一撃を食らうことになったのであった。
矛盾の魔法使い 第18話「襲撃」
「だ、大丈夫?」
「あ、ああ。何とか」
地面に大の字で倒れる俺に顔をのぞかせて聞いてくる中井さんに、俺は安心させるように笑顔で答えた。
中井さんの最後の一撃は頭にもろに当たったため、未だに目の前がぐらぐらと揺れているのだ。
(まあ、数分放置していれば大丈夫だろうけど)
あの人に鍛えて貰っていた時は、脳震盪なんて当たり前のようになっていた気がする。
あの人に鍛えて貰った効果がこんな所に出るだなんて思ってもいなかった。
まあ、それが普通ではないのは言うまでもないが。
数分後、ようやく立ち上がれるようになった俺は、先ほどの攻撃についての感想を口にした。
「取りあえず、魔法のプロセスとかもなんとか形になってきたし、もう大丈夫だとは思う」
「良かったぁ~色々な意味で」
俺の言葉に、ほっと胸を撫で下ろしながら中井さんが言った。
おそらくここ数日の練習風景を思い出しているのだろう。
俺がやった練習方法は単純だ。
彼女のいる場所に攻撃(とはいっても殴るだけだが)をするもの。
別の場所に移動しなければ直撃するので、避けているかどうかが分かり易くていいかと思ってしたものだった。
尤も、この日から鬼教官と言われるようになったが。
ここで、簡単ではあるが魔法プロセスについて説明したいと思う。
魔法を放つプロセスは、おもに魔法の基礎でもある基礎フレームを形成し、さらに詠唱フレームを構築したのちに魔力を注入して発現となる。
簡単に言っているが、この基礎フレームから詠唱フレームに掛けて魔法式という特殊な数式を立てているため、その難易度は扱う魔法の威力が高くなればなるほど増してくるのだ。
「ねえ、尾崎君」
「何だ?」
突然話し掛けてきた中井さんに、俺は用件を尋ねた。
「頑張ろうね」
「………ああ」
中井さんの言葉に驚きつつ、俺はそう頷くのであった。
Side out
3人称Side
二人が、話している中、少し離れた場所に金髪の男子学生がいた。
男子学生は、口元に不気味な笑みを浮かべ話している二人を見ていた。
「ククク、今この場で打ちのめしてくれる」
そして、男子学生は動き出すのであった。
Side out
それは突然の事だった。
「かはッ!?」
「うぐっ!?」
突然地面に叩き付けられたのだ。
まるで誰かに引っ張られているみたいに。
「な、中井さん。大丈夫か?」
「う、うん。でもこれ……」
顔を動かすことが出来ないため、無事かどうかは分からないが、声からして大丈夫だろうと一安心するのと同時に、今起こっている現象について考えをめぐらす。
(かすかに感じる魔力……ということは、これは魔法だな。しかも重力操作関係の闇属性か)
俺は、魔法の属性まで割り当てることに成功した。
魔法の属性では、さまざまな属性効果を有するのだ。
例えば、火属性ならば攻撃関係を水属性ならば回復関係を、闇属性ならば重力操作をと言った所だ。
「これは、闇属性の魔法だな。重力を掛けられたんだ。やられたな」
「………なるほど」
中井さんが納得したように頷く中、俺は後悔した。
襲撃されにくいとして選んだこの場所が、実は襲撃をしやすい状況だったのだ。
どこからでも見ることのできるこの場所は、襲撃者にとっても同じ。
おそらく、襲撃したやつは安全な場所でこの状況にほくそ笑んでいるだろう。
(この魔法を解くには相反する光属性の魔法を使うしかない。でも、俺にはそんなのは使えない)
俺は焦りの気持ちが高まってくるのを感じた。
この格好の状態を利用しないはずがない。
おそらくは……そう考えた時だった。
「ッ!?」
「尾崎君!」
突如感じた大きな魔力反応。
おそらくは攻撃魔法だろう。
もし放たれでもしたら俺達羽万事休すだ。
まともな防御もできない状態なのだから。
マジックセーブは、もう使わないだろうと思いカバンの中にしまっているのだ。
つまり、今攻撃が当たれば、俺はただでは済まないだろう。
(来るッ!!)
そう思って、来るであろう痛みに目を閉じて備えるが、いつまでたっても痛みが来ない。
確かに何かが破裂するような音はした。
それどころか
「あれ? 体が……」
「動く。でもなぜだ?」
今まで縛り付けるようにかかっていた重力はいつの間にか消えていた。
その理由はすぐに分かった。
そう、目の前に颯爽と立っている制服を着た女子学生によって。
その女子学生は赤い髪をサイドポニーにしていた。
そして、俺はその人物と一度会ったことがある。
「大丈夫? あなた達」
「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます。アーネット先輩」
俺達は、助けてくれたアーネット先輩にお礼を言った。
「いいのよ。ちょっとおかしな魔力反応があったから来てみれば………どうやら相手はあなた達を本気で潰そうとしているみたいね」
少しばかり考え込むアーネット先輩に、俺は思わず声をかけた。
「アーネット先輩?」
「あ、何でもないわ。それじゃ、気を付けなさいね」
そう告げると、アーネット先輩はそのまま俺達に背を向けて去って行くのであった。
「………取りあえず帰ろうか」
「そうだね」
ここにいたらまた同じ目に合うかもしれないと思い、俺達はその場を後にするのであった。
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