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矛盾の魔法使い  作者: 龍夜
第3章 『クラス対抗魔法戦』
16/31

第16話 宣戦布告

翌日のSHR


「―――ということで、魔法戦のペアは中井さんに決まりました」


田土先生の発表に、クラス中で拍手が湧き上がった。

一部に「負けた~」という悲鳴もあったが。

特にこれといった騒ぎにもならなかった。


「おい、圭一」

「ん?」


休み時間、声をかけたのは、功樹だった。

功樹の表情は非常に清々しい物だった。


「全くひやひやしたぜ」

「悪い。実は二日前には決めていたんだが、ちょっとばかし言い辛くてな」


功樹の皮肉が混じった言葉に、俺は手を合わせて功樹に謝った。


「お前って、すごいのかすごくないのか分かりづらいよな」

「あはは………」


功樹の言葉に、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「まあ、ここからが本当の勝負だ。一番の強豪は4組だ。あそこは代表が勘坂だからな」

「勘坂……」


功樹の出した名前に、俺は思わず声のトーンを下げてしまった。

勘坂。

そいつは、魔法使いだからという理由で自分より下の物を見下す男だ。

俺が一番嫌いな魔法使いのタイプだ。


「あいつは4月の基礎調査で、攻撃力に関して最も強いことを示す”攻撃マスター”の称号を持つほどの男だ。気を付けないと、すぐさま潰される」

「忠告ありがとう。気を付ける」


お礼を言うと、功樹は俺に背を向けると手をひらひらと振って去って行った。



矛盾の魔法使い   第16話「宣戦布告」



「圭一、食堂行こうぜ」

「尾崎君。なるべく急いでね」


昼休み、何時ものように隆と中井さんと共に食堂へと向かう。


「見せるな~圭一。あれだけ迷ってたと思ったら隣の席かー」

「言うな。これでもちゃんと考えてんだぞ」


からかってくる隆に、俺は反論する。

中井さんは攻撃が苦手だが、雷属性特有のスピードで勝負をするタイプだ。

であれば、様々な戦法が可能になる。

それを考えての決定だった。


「とか言って実は中井に気が――「野村君?」――い、いえ何でもありませんっ!!」


隆がさらにからかおうとした瞬間、中井さんの声によって遮られ、直立不動で言った。

その顔は恐怖に震えていた。

中井さんはとてもいい笑顔のはずが、何故か背筋が凍りつきそうな感じがした。

お、恐ろしい。

そんなこんなで、歩いている時だった。


「おい出来損ない」


背後から男の声が掛けられる。

俺の事を”出来損ない”と呼ぶやつは限られていた。


「何だ勘坂」

「ははは、俺様を呼び捨てとは大きく出たな、出来損ない」


振り返ると、勘坂は見下すような目で俺をあざ笑う。


「お前のクラスの強い奴を倒したとか噂になってるけど、どうせインチキでもしたんだろ?」

「尾崎君はそんなことはしないわっ!」


勘坂の言葉に反論其いたのは、中井さんだった。

その表情は怒りに染まっていた。


「さっきの言葉を撤回しなさい」

「はっ! 誰かと思えば出来損ないのペアか。出来損ないのペアだけあって弱そうだな。ま、顔だけはベッピンだろうけど。ゲハハハ!!」


いやらしい眼で中井の体を見て勘坂は鼻で笑いながら言い放つ。


「なッ!?」


その言葉に、中井さんが固まった。


「勘坂、そんな風に啖呵切っている暇でもあったら、魔法の練習でも白」

「何?」


俺の言葉に、勘坂の鋭い視線が俺を射ぬく。


「そんなんで初戦敗退だったら、ただの噛ませ犬だ」

「貴様………」


俺は動じないようにしているが、内心震えている。


勘坂から放たれる殺気は、それほどまでにきつい物だった。


「良いだろう。決勝戦で血祭りにあげてやる。決勝まで来いよ? ま、出来損ないには無理かもしれないがな」


勘坂はそう捨て台詞を吐いて、俺達の前から去って行った。


「ふぅ………」


勘坂が去ったのを確認した俺は、肩の力を抜く。


「尾崎君」


そんな時、中井さんが俺に声をかけてきた。


「何だ?」

「ありがとう、私をかばってくれて」


中井さんのお礼に、俺は少しばかり驚いた。


「別にかばったわけじゃ」

「圭一、あれは誰から見てもかばってる風にしか見えないぜ」


気づかれないと思ってたが、やはり気づかれてしまうらしい。


「さっきの尾崎君、とてもかっこよかったよ」

「そ、そうか」


中井さんの言葉に、俺は頬が熱くなるのを感じた。


「ははは、顔紅くしてら」

「隆っ!」


それを見ていた隆が俺をからかう。


「それはさておきだ。勘坂にケンカを振ったんだから、練習位はしといたほうがいいぞ?」

「そのつもりだ」

「私もよ。あんなこと言われて、黙っているほど私は馬鹿じゃないもの」


隆の忠告に、俺と中井さんはそう答える。

どうやら、さっきが中井さんの中にある何かに火をつけたようだ。

こうして、俺達の練習の日々が幕を開けるのであった。

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