第15話 ペアと噂(後篇)
お待たせしました。
今回、いよいよペアが決まります。
「おいっ!」
教室に入るなり、詰め寄ってきたのは功樹であった。
功樹の表情は殺気だっていた。
「な、なんだよ」
「お前まだペアを決めてねえのかっ!!」
功樹の怒気に押される俺を、一気にまくしたてる。
「他のクラスで噂になってんだよ! 『3組は戦うのが怖いから棄権をする』とな。貴様、まさか本気で棄権を狙っているのではあるまいな?」
「そ、そんなことあるはずないだろ」
俺は、功樹の怒りに押されながらも、何とか答えることが出来た。
不戦敗を狙うほど、俺は馬鹿ではない。
「だったら―――」
「そこまでにしとけ」
功樹の声を遮ったのは、隆だった。
「何だ、邪魔するな!」
「お前が怒る気持ちも分かるが、問い詰めたところで何も変わらない。逆に悪化させるだけだ」
功樹の怒気にも揺らがずに、隆は意見を言う。
すごいと思ったのは心の中でとどめておこう。
……なんとなく。
「だがッ――」
「功樹」
「………わあったよ」
隆の一言に、功樹はそう言うとどこかに行った。
「信じてるからな。圭一」
そして隆はただ一言そう告げて、去って行った。
(ちゃんとしないとな)
俺は、隆の背中を見ながら、そう心に決めるのであった。
矛盾の魔法使い 第15話「ペアと噂(後編)」
変な話だが、すでに俺はペアを決めていた。
だが、どうしてもあの噂が気になって言い出しづらかったのだ。
だからこそ……
(今日こそは、言わないと)
もう時間はないのだ。
だから俺は、一世一代の賭けに出ることにした。
放課後、それぞれが下校の準備をする中、俺はある人物に声をかけた。
「なに? 尾崎君」
「話がある。付いて来てほしい」
その人物は、中井さんだった。
「う、うん………」
俺の突然の言葉に、中井さんは不安げな様子で答える。
俺は、そんな彼女に背を向けて歩き出した。
そして俺達が向かった場所は屋上だ。
今までいた場所とは違って、ここの屋上は開放されているらしい。
「悪い、いきなり呼び出して」
「気にしないで。話しづらい内容だったんでしょ?」
俺が頭を下げて謝ると、中井さんはそう言ってくれた。
どうやら彼女にはバレバレのようだ。
「もしよかったら、中井さんにペアになってほしい」
「………良いよ」
「そうだよね駄目だ………って、良いの!?」
断られると思っていた俺は、予想外の中井さんの答えに思わず突っ込み口調になってしまった。
「うん。そりゃ、あの噂があるから少しだけ意識しちゃうけど、でも尾崎君ならそんなにがっつかないから」
「………あ、ありがとう」
何だか微妙に俺は男っぽくないと言われているような気がしたが、それはさておくことにした。
そして、中井さんにペア登録書に名前を書いて貰い、それを田土先生に提出するのであった。
その時『棄権するのかと思ってひやひやしたわ』と言われたのは、ご愛嬌だ。
こうして、魔法戦のペアが決まったのであった。




