第12話 夕食
大変お待たせしました。
第12話です。
周りからの称賛の声におろおろしながら、放課後を迎えた。
俺は隆たちが準備できる前に、逃げるように教室を後にした。
「もう少しどっしりと構えた方がいいぜ?」
「そうだよ」
というのが隆と中井さんの言葉だ。
俺は難しいなと思いつつ
「善処します」
と答えた。
そんなこんなで、寮に戻って夕食となった。
矛盾の魔法使い 第12話「夕食」
「それでは……」
『頂きます』
ダイニングに集まった寮で暮らしている学生たちが集まり、各々が料理に手を付ける。
「あ、尾崎さんの事聞きました」
向かい側に座っていた松井さんが、思い出したように切り出した。
「あー、松井さんまで知ってるのか」
「はい! もう学園中有名ですよ!! 転校生がそのクラスの中で一番強い人を倒したって」
(あ、功樹は一番強かったのか)
俺は、そんな事を思っていた。
「いや………どうして知ってるんだよ」
「そんなの当然の事ですわ」
「え!?」
突然聞こえた女性の声に、俺は慌てて声のした方を見た。
そこにいたのは、赤い髪をサイドポニーでまとめている女子学生だった。
「アーネット先輩、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりね。松井さん」
彼女を見た松井さんが、立ち上がって挨拶をした。
「アーネットさん、今日は早かったのね」
「ええ、田土先生。今日はいつもより仕事量は少なかったので、早く帰ることが出来ました」
田土先生は笑顔で話し掛けると、女子学生も笑顔で答えた。
「それで……」
話を区切ると、女子学生は俺の方を向いた。
「私は106のソフィア・アーネットよ。初めましてね、圭一君」
「え? どうして俺の名前を」
アーネットさんが、俺の名前を知っていたことに驚きを隠せなかった俺は、思わずそう聞いてしまった。
「ああ、彼女は鳴神学園の生徒会なのよ」
「せ、生徒会!?」
「役職は書記よ。魔法使いの卵たちを束ねる故、生徒全員の魔法資質や名簿には逐一目を通しているのよ。まさかあなたが反射魔法を使用できるとは、思ってもいなかったけど」
驚く俺をしり目に、アーネットさんは補足説明をした。
そんなこんなで夕食は終わった。
「あ、私の部屋は105だよ」
そんな松井さんの言葉を聞きながら。
「出来損ないの魔法使い……か」
予習を終えた俺は、部屋の明かりを消してベッドにもぐりこむと、もう一度自分に掛けられた負の称号を口に出してみた。
「魔法が使えないのに魔法使いとか、矛盾してるよな本当に」
俺は思わず苦笑いを浮かべてしまった。
幼いころ、魔法資質なしと判断された俺は、捨てられる羽目になった。
そんな時に、俺を拾ってくれたのが尾崎 総一郎だった。
父親同然に俺を育ててくれて、さらには様々な分野の魔法の知識と、体術に剣道や柔道などを学んだ。
それが、今効果を発揮しているのだろう。
そして、魔力があることが分かった時に、ためしにやって使えるようになった反射魔法。
さらには周囲の魔法を打ち消す魔法無効化領域。
俺の武器はその三つだ。
だがいずれは、この武器を打ち破る存在が現れるだろう。
(だからこそ、俺は永遠の出来損ないさ)
そう思いながら、俺は眠りについた。




