第11話 魔法と反響
大変お待たせしました。
矛盾の魔法使い、第11話です。
話の内容は全くないに等しいですが。
「いやー、すごかったぜ、模擬戦」
「うん、私も驚いちゃった」
昼食時、食堂でいつものサバ定食を食べる隆の称賛の声に続くように、ラーメンを食べている中井さんが俺をすごい物を見るような眼差しで見ながら言った。
「あれって、高難易度の魔法だろ?」
「うん、確か反射だったよね。すべての魔法を行使者に跳ね返す防御と攻撃を兼ね揃えた魔法だよね」
隆は、俺の使った魔法についておおよその見当がついていたのか殆ど確認するように聞いてきた。
そして、それを開設するように中井さんが説明する。
俺は、それを頷くことで答えた。
俺の使う唯一の魔法、それが反射魔法だ。
中井さんの言った通り、すべての魔法を跳ね返すことが出来る。
そのやり方は、媒体に向かってくる方向とは逆の方向のベクトルを駆けるといういたってシンプルなもの。
しかし、俺の場合はその反射に追跡の付加効果をかけ、さらには媒体を剣などの棒状のものにしているために、連盟機関が定めた魔法の難易度を示すクラス”S級”の反射魔法を使っていることになる。
「でも、それ以外の魔法は使えないんだから、そんなに強くないけど」
「何を言ってるんだ。あいつに止めを刺した奴があるじゃねえか。あれでも十分強いよ」
「そうだよ、尾崎君。もっと自分に自信を持って」
俺の言葉に、すかさず否定してくる二人。
「ありがと、二人とも」
「本当のことを言ったまでさ」
「うんうん」
お礼を言うと、隆は目を閉じて両腕を組み、中井さんは隆の言葉に頷いて答えた。
(でも、俺が出来損ないなのは、変わらないけどな)
反射魔法だけしか使えないのだから、出来損ないの称号は当然だ。
俺は自分にそう言い聞かせる。
でも、それでもいいと思う自分がいる。
完璧な人間なんてこの世には言う無いのだから、少しばかり欠点があっても何の恥ではない。
ここまで考えられるようになったのは”あの人”のおかげだ。
そう思いつつ、俺達は昼食をとるのであった。
矛盾の魔法使い 第11話「魔法と反響」
実習の後、俺に対する見方が変わったような気がした。
それが顕著に出たのは、教室に戻った時だった。
「おい、お前」
「な、何だ?」
教室に入るなり、声をかけてきたのは模擬戦で戦った相手だった。
「すまなかった」
「へ?」
突然頭を下げたことに、俺は驚きを隠せず思わず間抜けな声を出してしまった。
「お前の事を出来損ないと言って、本当にすまなかった」
「気にしなくていいよ」
俺がそう声をかけると、男子生徒は突然顔を上げた。
「お前、良い奴だな。俺の名前は功樹だ。よろしく」
「えっと、尾崎圭一です。よろしく」
功樹の突然の自己紹介に、俺は戸惑いながらも自己紹介をすると、握手を交わした。
その後、周りから「すごかったよ」、「尾崎君って強かったんだね」と声を掛けられた。
おかげで、俺は別の意味で落ち着かなかった。
今まで、そんな風に言われたことがなかったために、称賛の声を掛けられることに慣れてないからだと、自己分析することにした。
だが、俺はこの模擬戦がすべての始まりになることを、まだ知らなかった。




