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3/3

変な二人

また続編です。

カオス。

今回は珍しく暗いよ!

注意してね!!

作者は疲れている!!


物好きはどーぞ!!






僕は本を読むのが一番好き。

誰も急かさず、僕のペースで進められる。

鈍臭い僕はやる事なす事周りに迷惑かけて、ダメダメだから。

本を読む事は周りに被害がないし、怒られることもない。

蔑まれることもなければ、注意を受けることもない。

僕一人の世界。

勉強よりも友達といるよりも楽しい。

知識も高まるし、得るものが沢山ある。

本が生涯のパートナーでも良いくらい。

どんなジャンルでも読みあさる。


ジャンル=本の氏名で、タイトル=本の名前。


友達みたいに読んだ本のフルネームを覚える。

一度知り合った本は忘れないようノートにフルネームを書く。

もうノートは十冊目を越えようとしている。

並べられている本の名前を読み返す度に、沢山友達ができた気分になれる。

全部違う名前。

人間と同じように、本もそれぞれ違うんだ。

僕は本を読むのが好き。

人間よりも、並べられた文章が好きだ。

この司書の仕事は天職だと思える。

ありがとう、司書っていう職業を考えてくれた人。

アナタが神様です。

顔も名前もわからないけど、大好きな人間です。



今日は珍しく一番に来た。

嘘、本当は館長が一番。

館長が図書館内全ての鍵を管理してるから、必然と一番に。

早寝早起き無駄なく行動。

毎日毎日その繰り返し。

館長の事をこっそり『サイボーグ』と呼んでるのは秘密だ。

だってロボットみたいだし。

毎日決まった時間に、分単位のスケジュールをこなす。

いっつも無表情で、つまらなそうな顔してさ。

段差に躓いて銀縁眼鏡を落とした時の舌打ちとあの顔。

最後に時計を確認して、不機嫌そうにツカツカ早足で歩く姿は正に鬼。

リアルに恐いよ。

あれを見たのは僕だけだったけど、もし利用者さんが見てたら…二度とこの図書館に来てくれないと思う。

そんくらいヤバイ。

子供泣いちゃう。

三十路過ぎてるらしいのに奥さんいないのはあんなだからだ。

妙に納得。

黙ってりゃカッコイイのに、中身サイボーグ。

勿体ないなぁ。

見た目だけ交換してほしい、とか考えちゃって。

視力はこのまんまでお願いします。

そういやバイト君達も似たような呼び方してたな。

確か『鬼畜眼鏡』だったか。

わぁピッタリ。

鬼畜かは知らないけど、僕も今度こっそり使わせてもらおっと。


控室で着替えてると先輩が現れた。

思わず嫌な顔してしまったのは仕方ないと思う。

だって苦手だしー。

恐いしー。

すぐ手出すしー。

女性ならもっとおしとやかに。

って言ったら殺されっかな。

100%あの世逝きかな。

やめとこう。

ヒャー!

先輩が不機嫌面でこっち来たああぁぁああああ!!!??

まだ口にしてませんよ!?

まだ何もヘマしてませんよ!?

誰かヘルプミー!!

こーろーさーれーるー!!!

本の神様助けて!!

僕は絶対いるって信じてる!!

本の神様ぁー!!!!

本を作ってくれてありがとー!!

本の次に愛してるー!!

同じレベルが司書という職業を創った人でーす!!

僕にしては高ランクですよー!!

それより、取り敢えず助けてくださーい!!!


「お、おはようございます…。」

「ッチ、リア充が。」

「は?」

「あん?」

「い、いえ…何もありません。」

「フン。」


何かリア充(リアル充実してる奴)って幻聴が聞こえたんだけど。

え?

現実?

うん、わかってる。

ただ驚いただけ。

だって僕がリア充なんて有り得ないから。

だって…こんなだよ?

根暗で本至上主義で女顔で人間何かにあんま興味なくて本と会話してるとか言ってる人間だよ?

イタいって自覚はあるさ。

ダメ人間だってわかってるさ。

本以外と結婚出来ないってわかってるさ。

僕は本望だけど。

だって女性ってよくわからないし。

先輩とかバイト君達とか先輩とかお母さんとか先輩とかよくわからん。

知りたくもない。

関わる事自体が有り得ない。

本に登場する女性だけで充分だよ。

僕、二次元行きたい。


気まずい空間に耐え切れなくなり、司書用のエプロンを身につけ、早々と退散。

先輩超恐いもん。

30分も密室空間で一緒にいたら呼吸困難で確実に死ぬ。

本に押し潰されるならまだしも、先輩に殺されるなら死に物狂いで逃げるよ。

あ、同僚だ。

なんか安心する。


「おはようございまーす。」

「おはよう。今日は一番?」

「いえ、館長が一番ですよ。」

「館長が一番かー。あの人より早い従業員はまだいないようだね。」

「もしいたら、次の館長候補ですね。」

「間違いないな。ハハッ。」


小さく笑う彼。

僕と対照的に、誰にでも好かれそうな印象を与える。

誰に対しても優しい彼。

僕に気軽に話し掛けてくれるのは彼くらいだ。

壁を感じない柔らかい物腰で話す、さりげない優しさ、正に紳士。

女性がほっとかないだろうな。

若くてしっかりしてるから、(先輩以外の)女性社員やバイト君達がよくキャッキャッ騒いでる。

彼に欠点とかあるのかなぁ。

彼と別れた後、そんな事考えながら本の整理とかしてた。

途中で館長を見かけたけど、相変わらずの鬼畜眼鏡だった。

クール眼鏡?

エリート眼鏡?

Mな女性がほっとかないだろうに、とか言ってみる。

タイミングよく館長がこちらをチラッと見た気がしたので、ちゃんと仕事してるアピールしといた。

真面目ですよー。

ちゃんとやってますからねー。

クビにはせんといてねー。


ゲシッ。


「邪魔。」


先輩酷い。

背中痛い。

背中蹴らんでもいいじゃないですか。

あ、すみませんチョーシのりました。

すみませんすんませんごめんなさい謝りますからその目を止めてください。

先輩の眼光で殺されちゃう。

本でカバーしてみよう。

あ、奪われた。

殴られ…なかった。

ワォ、寸止め。


「先輩、あっちで女性社員が呼んでましたよ。」

「…ックソ。」

「大丈夫だった?」

「あ、ありがとう…」


同僚が助けてくれた。

ヤベーマジイケメン。

好感度10アップ。

こりゃ女なら惚れるわ。

手を差し出してくれるとかマジ紳士。

優しい笑顔でイチコロだね。

ありがとう紳士。

これから君の名前は紳士だ。


図書館の利用者さんがそこそこいる夕刻。

高校生か大学生かわからない彼はやっぱりいる。

そろそろカートの本を片付けに行こうかな。

利用者さんもカウンターに来ないし。


「カート行ってきまーす。」


カラカラ。


本を片付けながら、さりげなく例の場所を目指す。

すると向こうから彼が席を立つのが見えた。

今日も彼の独壇場の観客をしてあげようか。

彼には友達が一人もいないんだから、僕が聞いてあげなきゃ。

うっ…涙腺緩くなってきたな。

早く彼が友達を作ってくれないと、僕が干からびそうだ。

涙腺崩壊→脱水症状→ミイラの完成。

図書館に飾ってくれるならなろうかな。

これで永遠に本と一緒だ。

本と同居かぁ…良いかも。

ミイラになる方法が載ってる本ってあったっけ。


「ねえ、聞きたい事あるんだけど、今いい?」

「へ?」


この時、僕はあるジャンルでよく使われている台詞が頭に浮かんだ。

“振り返ると、奴がいた。”

ヤンデレの女の子にストーカーされている主人公と僕がシンクロした。

…じゃなくて。

まあ、そんくらいビックリ。

カウンターや控室とかでも滅多に話さないのに。

利用者さんが利用する場所で話し掛けられたのは、これが初めてじゃないか?


「君が此処でサボってるのは知ってる。なら、ちょっとくらい良いよね?」

「え、あの…」


同僚が笑顔だけど、ちょっと恐い。

威圧感が僕にのしかかる感覚。

あ、彼が向こうで困惑してる。

僕も状況が飲み込めていないんだ。

どうしよう。

質問聞いた方が良いかな?

でも、同僚が恐いから簡単に頷けない。

何?

僕が何かした?

本に囲まれてるのに人間に意識を集中するのは何か違和感。

気分悪くなりそう。

彼なら本の話題だからまだ平気なんだけど。

僕、お化け屋敷とか幽霊とかヤクザとか不良とか強面の人とか猫とか爬虫類とか先輩とかこういう空気とか苦手なんだけど。

変なテンションになる事も出来ない。


「やだな、そんな緊張しないでよ。ただ気になる事を聞くだけだし。カウンターならお互い気まずくなるから、君がこの場所に入る機会を伺ってただけ。」

「そ、そうなんだ…。それで、質問って何ですか?」

「簡単な質問だよ。」


同僚がこちらに向かって歩いてくる。

同僚が近づく。

同僚が背中を押す。

同僚が奥へ連れて行く。

彼がだんだん見えなくなってしまう。

彼でも先輩でもバイト君達でもいい。

誰かこの状況を壊してくれないかな。

お願い…恐いよ。

な…夏樹。

夏樹、夏樹……夏樹っ!!

夏樹に会わせて。

夏樹に、夏樹なら、夏樹が、助けてよ。


「夏樹…うぅっ…」

「へ?え!?な、何で泣いてるの!?」

「なつきぃ…なつき~…なつき…なつ…ぅ~…」


人前なのにポロポロポロポロ涙が流れる。

親友の名前を何度も何度も口にする。

僕と違って強い親友。

恐い…恐いよ…。


「えーっと、ただ、噂の彼と本当にデキてるか聞くだけなのに…ごめんね?」

「夏樹ー…」

「あちゃー、これはダメだわ。素が出てたかも。

もう恐くないよ?お願い、泣き止んで?よしよし。」

「なつ…なつ…」


夏樹が来ない。

同僚が何か言ってるけど、耳塞いでるからわからない。

何も聞きたくない。

ヤダヤダヤダ。

夏樹、夏樹、夏樹。

どうしよう、何にも対抗する術が思い浮かばない。

あの時みたいに、一人。

本は使えない。

傷ついちゃうから。

僕は傷つけられても治るけど、本は傷つけられたらずっとそのまま。

友達を傷つけるなんて、僕には不可能。

無抵抗でいるしかない。

いつまでも僕は弱いまま。

夏樹に頼ってばかりだ…。



「此処か。」


真面目で静かなイメージの図書館の前に、図書館に入るには不釣り合いな容姿の男がいた。

その者は一度図書館を見上げると、躊躇せずに中に入る。

入った瞬間、その場にいる誰もが目を見張る。

男の姿に。

男の髪に。

男の服装に。

男の全てに。

全員が“何故図書館に来たのかわからない”といった疑問を男に向ける。

あの短気な先輩さえも。

だが、男はその全てを無視した。

何かを探すように周りを見渡す。


「ん?」


そして、本棚の前でオロオロしている彼が目に留まった。

微かに耳に届く声も。


タンッ、


その瞬間、彼のいる場所へと早足で向かった。

誰も男に近づけない。

男の行動を誰もが遠巻きに見守る。

唯一、男の存在に気づいていないのは彼だけ。


「ちょっとそこの爽やか青年。」


数メートルまで近づくとやっと彼も男の存在に気づいた。

声をかけられ、反射的に振り返る。

と同時に、男の存在に驚愕した顔を作る。

何故こんな人が図書館(ココ)にいるのか。

疑問だけが彼の頭を占める。


「そこの道、開けてくれない?通りたいんだけど。」

「え、え?え、で、でも、…」


彼の背には、司書がいる。

“夏樹”という人を求める司書が泣いている。

何も出来ない彼だったが、せめて人を遠ざけるくらいはしようと俯きがちの顔を上げた。

だが、男が先手を打つ。


「状況は俺のアイツ専用脳内電波受信機でわかってる。てか君、邪魔。あっちで大人しく読書でもしてろ。」


トンッ。


「…!」


とても軽い音なのに、彼はよろめいた。

ガタイが良い方である彼が、簡単に。

彼より少し高いが、力があるようには見えない。

―だが、彼より細めのこの腕で、男は強引に道を開けた。

思考が一瞬停止し、呼び止める事を忘れてしまう。

手を伸ばしたが、男は既に彼を見ていなかった。

真っ直ぐな瞳が、本棚の奥を見据える。

先にある光景を、静かな怒りを秘めた瞳に。


「夏樹…夏樹…」

「えっと、すみません。今すぐ此処を離れますから、ちょっとだけお待ち下さい。」

「いや、別にかまわん。」


ドゴッ!


男はニヒルな笑みを浮かべると、司書の肩に置いた同僚の腕を蹴り上げた。

司書には当たらないように、正確に腕だけを狙って。

痛みよりも驚きが強く、同僚は声が出なかった。

慌てて男の後ろを追った彼も男の行動に固まる。

司書はまだ泣き続けてる。


スッ。


男は足を上げた。

高そうな革靴を履いた足を。

男の膝の高さまで。

彼も同僚もこの先は予測不能。

男の行動理由も意味も続きもなにもかもわからない。


「泣き止め弱虫。」


ドガッ!


「った!?」

「うじうじうじうじしてんなよクソ野郎。」

「…夏樹?夏樹!?」

「冬夜だよ、バアァカ。」

「夏樹だ、夏樹…ぅー…」

「だから泣くんじゃねぇっての。」


ポカッ。


「痛い…痛いよ夏樹。」

「知るか。さっさと立て。」


男は司書の背中を蹴ったと思えば、頭を容赦なく叩く。

泣くなと言っておいて暴力を振るう。

『冬夜』と名乗った男を司書は『夏樹』と呼ぶ。

そこにも矛盾が生じる。

司書はグイッと腕を引っ張り上げられ、パンパンと服についた汚れを男は払ってやった。

メソメソ泣く司書。

溜息を吐く男。

背景と化している二人。

様子を見に行けない利用者と先輩。

聞こえるのは司書の泣き声だけ。

何が起こってるのかわからない。

むにーっと司書の頬を左右に引っ張る男。

ペシペシ腕を叩く司書。


「夏樹痛いー。」

「冬夜だっての、馬鹿。」

まともな名前が親友の名前。

司書さんの名前がまだ出てないとか、どんな作品だよwwww

今回、彼が空気ですんません!!

主要人物が空気とかオワタwwww


またまたアクセス数任せです。

続きは皆様で決まる!!


ありがとうございました!

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