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【完結】大天使と呪われた雛人形 〜ひな祭り、初恋は断罪される〜  作者: 久茉莉himari


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8/8

【8】薔薇の奇跡。 〜ズッ友と初恋の春〜

「ア、アンジュちゃん……?」


ルチアーノが一歩踏み出す。


アンジュはにこりと微笑む。


「うむ!

ひな祭り以来だな!」


ルチアーノが何も言い出せずにいると、アンジュが小首を傾げた。


艶めく金の長い髪が、さらりと揺れる。


「ルチアーノ……どうした?

なぜ、悲しい顔をしておる?」


ルシアンがルチアーノに向かって素早く目配せする。


『アンジュさまは、何も覚えていらっしゃらない』


アンジュはいつものように、無垢な笑みをニコニコと浮かべ、青い瞳をキラキラと輝かせ、ルチアーノの返事を待っている。


その瞬間――

ルチアーノは特大クラッカーを鳴らした。

次々と。


泣きながら。


そうして、薔薇の花びらを盛大に散らす。


その薔薇の花びらはカフェの中を覆い、地面に落ちることも無く、ふわふわと浮かんでいる。


ルチアーノは涙で霞む目で、その奇跡の光景を見る。


そして、知る。


これがルシアンなりの“赦し”であると。


アンジュは薔薇の花びらの中で、無邪気に喜んでいる。


アンジュの髪に、頬に、肩に、白いワンピースにも、薔薇の花びらは舞い落ちる。


その刹那――

一枚の薔薇の花びらが、ルチアーノの頬に触れた。


それを見たルシアンが、低く告げる。


「……アンジュさまに関わる物を、地上に持ち込む前に相談しろ」と。


薔薇の花びらが舞う中、ルチアーノがコクリと頷く。


すると、いつの間にルチアーノの隣にはロクシーが立っていた。


ロクシーは、普段通り淡々と言う。


「ルチアーノ、あんたルシアンに言いたいことがあるんじゃないの?」


ルチアーノは、両手の拳を握り締めて叫んだ。


「ルシアン!

これからもお前を俺様のズッ友と呼んでいいか!?」


ルシアンも、普段通りの無表情で「ああ」と答える。


そこに、アンジュが薔薇の花びらを身に纏い現れた。


「何の話をしておるのだ!?」


アンジュの鈴の音のような声に、ルチアーノが再び叫ぶ。


「……アンジュちゃん……!!

これからも俺様と、友達でいてくれますか!?」


アンジュはルチアーノの目を真っ直ぐに見て、一言「おう!」と答える。


そして、アンジュがルシアンを見上げた。


「ルシアンにも薔薇の花びらが付いておるぞ!」


大発見した子供のように言って、ルシアンの肩に落ちた一枚の花びらをそっと掴むアンジュ。


ルシアンがフッと笑う。


「あなた様の方が、何倍も何十倍も花びらが付いております」


そう言って、ルシアンがアンジュを抱き上げた。


そうして――

そのまま、くるくるとカフェの中を優雅に回り始めた。


アンジュは満面の笑みで、ルシアンの首に掴まりながら言った。


「ルシアンよ!

これは何の儀式だ?」


ルシアンは冷静に答える。


「花びらを飛ばす合理的な手段です」


アンジュが、声を立てて笑う。


「なるほど!だが、楽しいな!」


アンジュは、ルシアンのヘイゼルグリーンの瞳から涙が飛んでいくことにも気づかない。


そして、恋ゆえに抱きしめていることにも――


薔薇の花びらが舞う中、二人はほんの一瞬見つめ合い、ただ笑い合う。


そしてルチアーノも、普段通りNASA監修の超小型録画用カメラで、二人を録画していた。


ロクシーはルチアーノの横に立ち、腕を組むと言った。


「良かったじゃん」


ルチアーノは、録画を続行しながら答える。


「ハイッ!

これからはルシアンの初恋成就と、アンジュちゃんを守ります!」


ロクシーがフフッと笑う。


「そうだね。

まあ、困ったことがあれば言いなよ。

金額次第だけど!」


ルチアーノは、涙で滲む画面を見ながら、にっこり笑って言った。


「ハイッ!前払いでありますね!」


ロクシーは黙って頷き、微笑みながら、視線をアンジュとルシアンへと向ける。


桃の節句に――


自分の恋を断罪しなければならなかった大天使と、その大天使が恋焦がれる、最も清らかな魂を持つ、美しい人を。




神の御前に、

天は静まり返っていた。


御座の周りを包むのは、

永遠の光――


沈黙すらも、

聖歌のように響く世界。


その中央で、

大天使ガブリエルがひざまずいていた。


無窮の光の中から、

神は穏やかに告げる。


「ガブリエルよ、よくやった」


ガブリエルは深く頭を垂れ、

純白の翼が光に包まれた。


「ありがたきお言葉……

このガブリエル、

感謝の念に絶えません」


神の御姿が霧のように溶けると、

ガブリエルは自らの執務室へと戻り、扉を閉めると、頭を抱えた。


「春の奇跡……見たっけ???」


だが、直ぐに満足気に微笑む。


「私はきっと、無意識に見た!

神はご存じなのだ!

流石は私!大天使ガブリエル〜♪」


そうしてガブリエルは、いつもと変わらず、

山のような報告書に手を翳した。




ルシアンは腕の中のアンジュが“アンジュの化身”となり、アンジュが大天使ガブリエルとして、天界に無事帰還したのを恩寵で確認すると、化身のアンジュをロクシーに託し、カフェを出た。


そして、ルシアンもまた、天界へと戻され、神に労いの言葉を賜った。


それから次なる戦いに備えていると、ふと、耳に響くのは――


薔薇の花びらと、むせ返るような薔薇の香りの中で、くるくると回る自分に


ルシアンよ

お前も笑うのだな!

だが、泣き笑いをするとは……!!

本当に、楽しいな!


そう笑った恋しい人の声だった。


〜fin〜

ここまでお読み下さり、ありがとうございます!

これにて完結です。

最後まで読んで頂き本当のにありがとうございました!m(_ _)m

どなたかの琴線に触れることが出来たら幸いです。

気軽に刺さった場面やセリフなど、感想を頂けると嬉しいです(^^)

本当に最後まで応援ありがとうございました!!


明日からは新連載が始まります。

明日も17時更新です☆

よろしくお願いしますm(_ _)m


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こちら単体でも大丈夫です☆

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