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【完結】大天使と呪われた雛人形 〜ひな祭り、初恋は断罪される〜  作者: 久茉莉himari


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2/8

【2】雛人形、夜に動く。〜桃の節句、脚本契約成立〜

だが、世の中そんなに甘くない――


アーチーボルト・ヘンダーソンが新作本のプロモーションで、アメリカ全土、果ては世界にも出掛けることを聞き付けたルチアーノは、別荘の維持管理と引き換えに、この別荘を一ヶ月借りたのだ。


メインリビングのソファに座るルシアンが、冷静に問う。


「この巨大な別荘を、お前が管理しているのか?

掃除や花の水やりなども?」


ルチアーノがキッとルシアンを見る。


「俺様は地獄の王なのッ!

なんでアーチーボルトのおっさんの別荘を掃除するんだよ!?

部下の悪魔がやってくれてます!以上!」


「……悪魔?」


瞬時に、大天使の戦士の眼になるルシアン。


ルチアーノが大袈裟に肩を竦める。


「直ぐに戦士の眼になるな!

ここは魔術無効のセレニス州!

つまり!俺様の部下は何も出来ない!

普通に人間と同じ!


それより……」


なぜか、ふわっと髪をかき上げるルチアーノ。


そして、無理やりリビングの空気を、大物アーティストのように“俺様”に変えていく――


「俺様の……そう、俺様の雛人形たちが恋の奇跡を起こした……。

ジャパンの雛人形は、俺様のリリカルな感性に毎晩反応しっぱなし……。

分かるか?

この意味が……」


ルシアンが至極真面目に答える。


「……雛人形……日本古来の女性のための儀式だな」


すると、ルチアーノがジタバタし出した。


「もう!

知識じゃなくて心で理解しろ!!


その“儀式”が、俺様のリリカルな感性に刺激されて、夜中になると毎晩、雛人形が動くのッ!

つまり……雛人形にも伝わったんだよ!

俺様のズッ友の初恋成就を叶えさせてやりたいという、尊い思いがッ!」


そして再び、ふわっと髪をかき上げる。


「……そう!ひな祭り!

女の子のためのお祭り……!


つ・ま・り!恋のチャーンス❤️」


その刹那――

目を焼く程の閃光が、ルシアンとルチアーノの前に現れた。




そこは、“KAWAII”がぎっしり詰め込まれた、原宿のカフェ。


パステルカラーの壁。

きらきらと光る装飾。

甘い香りの漂うスイーツ――


まるで、おもちゃ箱をひっくり返したような、ポップでキュートな空間だった。


そんな店内に、不釣り合いな一組がいた。


一人は、黒髪のツインテールを揺らすロクシー。

このカフェにぴったりだ。


だが、その前にいる、濃いイタリアン顔の上下黒スーツ、真っ赤なネクタイ、赤い薔薇のコサージュを付けている男が問題だった。


ロクシーが、可愛らしく美しい外見とは真逆の冷たい声で言う。


「――で?

泣いてばかりいないで、そろそろ話したら?


私を一時間一万ドルで呼び出した理由は何よ?

時間はどんどん減ってくよ?」


そして、チラリとスマホのタイマーを見る。


「私は、それでも、良いけど」


次の瞬間――


ザクッ……。


パンケーキをナイフで切る、乾いた音がした。


その音と共に、ルチアーノがピョンと椅子から跳ねる。


すると、ルチアーノは目元を押さえていた深紅のシルクのハンカチを、ふわりと畳んだ。


ぐすぐす泣きながら話したのは――


「実は……俺様のリリカルな感性って凄まじいじゃないですか?

そう……初恋すらも蒸留してしまうリリカル!


それに、雛人形たちが影響されて、ジャパンの奇跡が起きたのですッ……!

真夜中になると、俺様の寝室で動くようになってくれて❤️

もう、カワイイ❤️❤️❤️


だから、ルシアンの初恋成就に、やっぱり桃の節句は恋のチャンスだなって……!」


そこで、せっかく畳んだシルクのハンカチを噛みしめるルチアーノ。


「だから、ルシアン特定専用の水晶玉で、ルシアンをヴェネツィアで待ち伏せして……。

セレニス州のアーチーボルトのおっさんの別荘まで連れてって……。


さあ、これから!って時に……大天使ミカエルが降臨したのでありますッ……!!

ミカエルは俺様に喋るな動くなって言って……。

ルシアンは能天使の決定により、再びミカエルの軍勢に入れられて、“大いなる竜”との戦いへ……」


ロクシーは一切表情を変えず、言った。


「それで?

その愚痴を私に聞いて貰いたくて、私を呼び出したの?」


ルチアーノが、泣いて真っ赤に腫れた目を剥く。


「違いますッ!!

俺様が……ロクシー先生みたいに札束でしか動かない“イイ女”を、愚痴で呼ぶ!?

ありえない!!

ロクシー先生!!」


そう叫ぶと、ルチアーノは椅子から飛び降り、床に付くくらい頭を下げた。


ロクシーのこめかみに青筋が立っていることにも気づかずに――


そして、ルチアーノが再び叫ぶ。


「どうか……!!

もしかしたら、ルシアンは桃の節句までに帰れるかもしれない……!!


だから、ひな祭りで初恋成就の脚本をお願いしますッ!」


そうして――

スッとスマホを掲げる。


そこには、10万ドルの数字。


ロクシーは、にっこり笑って言った。


「オッケー!前払いね!」




その頃、天界では――


天界の執務室にいた大天使ガブリエルに、眩い光が降り注ぐ。


次の瞬間、ガブリエルは神の玉座の前に跪いていた。


無窮の光の中から、神は穏やかに告げる。


「地上にて、春の奇跡を見届けよ。

そのため、そなたの恩寵は消す」


「御意」


ガブリエルは大天使として、即座に恭順を示す。


だが――

その胸の内では、静かに悲鳴を上げていた。


……春の奇跡を見届ける!?

なに?春の奇跡ってなに……!?

スプリングって幅広いですよね!?

いつ、どこで、何の奇跡……!?

解釈が広すぎて……恩寵があった方が、絶対、良いのでは!?

恩寵を封じる必要性!!

まず何からすればいいのーーー!?


もちろん、神へ問い返すなど、大天使として論外。


ガブリエルは完璧な姿勢を崩さず、心の混乱だけを押し殺す。


そして、煌めく無数の光に包まれたガブリエルが目を開けると――


そこは、ハリウッドのガブリエルの器、“アンジュ”の自宅の豪華なリビングだった。

ここまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)

明日も17時更新です☆


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