表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超絶ビギナーだけど、バスケしたい!  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/8

区大会、奇跡の善戦と告白未遂事件

区大会当日。

理央たちは5人揃って、体育館のコートに立っていた。


「よし、作戦確認!」


『理論バスケ・ver4.0』

・24秒ギリギリで攻撃

・声で圧をかける

・ゾーンの穴を突く

・“ナイス!”は1人3回まで(近所迷惑対策)

・詩的間合いと感情乱流を戦術に組み込む


---


試合開始。相手は強豪・第三中。

理央たちは“時間”を支配し、“声”で空気を揺らした。


「ナイス!」

「グッド!」

「青春!」(←瞬、また言った)


第1Q終了。スコアは2対12。

でも、理央は笑っていた。


「これが“善戦”だ。点差じゃなくて、空気を支配する」


---


第4Q残り1分。スコアは18対32。

理央は最後の作戦を発動した。


「“告白未遂戦術”いくぞ!」


「は?」


「俺がみのりに告白しようとする。相手が動揺してミスる。そこを突く」


「それ、バスケじゃなくてラブコメじゃね?」


「でも、青春は全部入りが正解なんだよ!」


---


理央がみのりの前に立つ。


「みのり、俺…」


その瞬間、藤堂がボールを持ってコートに戻った。

理央の言葉を遮るように、力強くドリブルを始める。


「…試合、まだ終わってないだろ」


みのりが一瞬、藤堂を見つめた。

理央は言葉を飲み込んだ。


「ナイス…」


---


試合終了。スコアは22対38。

でも、観客席からは拍手が起きた。

理央たちの“理論バスケ”は、確かに空気を変えた。


みのりが言った。


「理央、今日の試合…すごく面白かった」


「マジで?俺、バスケでちょっとモテた気がする」


「それは…気のせいかもね」


藤堂は黙っていた。

みのりの言葉に、ほんの少しだけ目を伏せた。

理央はその視線の揺れを見逃さなかった。


---


そのとき、璃子がみのりに近づいた。


「みのりさん、理央くんのホワイトボード、見たことある?」


「ううん、あんまり…」


「今日の試合、あれ全部作戦だったんだよ。あなたのことも、ちゃんと考えてた」


みのりが少し驚いた顔をした。


「…そうなんだ」


「私は記録係だけど、見てて思った。理央くん、あなたのこと、すごく大事にしてる」


みのりは何も言わなかった。

でも、目が少し揺れた。


---


瞬が叫んだ。


「俺は確信してる!今日だけで“ナイス!”を42回叫んだ!」


蒼空が冷静に言った。


「それ、近所迷惑になってるだけだと思う」


蓮はノートに一行だけ書いた。


“善戦って、覚えててもらえることだ”


---


その夜、理央はホワイトボードにこう書いた。


『理論バスケ・ver4.5』

・告白は試合後に

・“ナイス!”は心で叫ぶ

・善戦は、空気と記憶に残る

・三角関係は、青春のバグであり、燃料である

・藤堂の沈黙=余白

・璃子の記録=揺れの証拠


理央はつぶやいた。


「勝てなくても、覚えてもらえたら、それでいい」


ホワイトボードは、いつの間にか“記憶の地図”になっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ