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超絶ビギナーだけど、バスケしたい!  作者: 双鶴


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4/8

ドリブルは、歩き方からはじめよう

「ドリブルって、ボールを地面に叩きつけるだけじゃないんだよ」


理央が言った。

体育館の隅、バスケ部(仮)の初練習。

瞬はすでに3回転倒し、蒼空はボールを見失って壁に激突していた。


「じゃあ何なの?」


「**歩き方だよ。**ドリブルは“歩きながらボールを落とす”技術なんだ」


「それ、言い方だけ聞くと散歩じゃね?」


「違う。これは“運動音痴でもできるドリブル理論”だ」


---


理央はホワイトボードを取り出した。今日も体育館に持ち込んでいる。


『ドリブル理論 ver1.0』

・歩幅とバウンドの同期

・視線は前方、ボールは感覚で

・右手→左手→右手のリズム練習

・転倒は“データ”として記録

・補足:ドリブルは“身体のリズムと空間の対話”である


「まず、歩幅とバウンドを合わせる。これができれば、ドリブルは“歩きながらできる”」


「それ、犬の散歩と何が違うの?」


「犬はボールを持ってない。俺たちは持ってる。つまり、人間の進化系だ」


「進化って言ったら聞こえはいいけど、今の俺ら、退化してない?」


---


「じゃあ、実践してみよう。歩きながらドリブル。まずは右手だけ」


瞬が挑戦する。

1歩目、成功。2歩目、ボールが足に当たって転倒。


「データ取れた!“2歩目で油断すると転倒率80%”!」


「それ、俺しかいないから統計になってない!」


「でも、サンプルは貴重なんだよ。青春は、失敗の積み重ねだ」


---


蒼空が静かにドリブルを始める。

将棋部出身だけあって、動きは慎重。

右手→左手→右手。リズムは悪くない。


「お、蒼空、いい感じ!」


「俺、歩き方から研究した。将棋の“歩”の動きと似てる気がして」


「それ、バスケに応用する人初めて見た」


「でも、空間の支配って意味では同じだよ」


---


三浦先生が見守る中、理央は言った。


「ドリブルは、“自分のリズム”を作ることなんだ。音楽と同じ。だから、練習は“ビート”でやる」


「じゃあ、俺ラップで練習する!」


瞬が叫ぶ。


「Yo!Yo!ドリブル!Yo!…痛っ!」


また転倒。


「データ更新。“ラップ練習は転倒率95%”」


「だから俺しかいないって!」


---


練習の合間、理央はホワイトボードに新しい項目を加えた。


『礼と無茶のバスケ美学』

・コートに入るときは一礼。出るときも一礼。

・ボールは投げるな。預けろ。

・スパイクは蹴るな。履かせてもらえ。

・繋がらないパスをするくらいなら、ドリブルしろ。

・進めないドリブルするくらいなら、シュートうっちゃえ。

・ディフェンスで奪えないなら、リバウンドに命をかけろ。

・“無茶”は青春の燃料。“礼”はその炎の形。


瞬が叫んだ。


「それ、無茶すぎるだろ!」


「でも、無茶って、記憶に残るんだよ」


---


その日の練習は、転倒と笑いと無茶の連続だった。

でも、理央は満足していた。


「これでいい。俺たちは“理論で青春”してる」


蒼空が言った。


「でも、みのりは今日も女子バスケ部で3ポイント決めてたらしいよ」


理央は空を見上げた。


「俺たちも、いつか“歩き方”から3ポイントに届くさ」


瞬が叫んだ。


「俺はまず、歩き方からやり直す!」


---


理論バスケ・ver2.0(第3話時点)


項目内容

実験テーマドリブル=“歩行とバウンドの同期”として再定義

身体理論リズム・重心・視線の連携による“空間との対話”

教育的補足運動音痴でも“構造理解”から技術習得は可能である

戦術進化ドリブルは“個人のリズム”を構築する基礎技術

美学追加礼と無茶の哲学をホワイトボードに記録

次の課題統計による“負けない戦術”の設計と、4人目勧誘の心理戦略


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