なんで仮性包茎なのかってそりゃ皮オナのせいだけど、そもそも学校で正しいオナニーのやり方なんて教わらないんだから、俺が悪いんじゃねえ悪いのは【国家】だ。分かっているのか、おい!!
――夏は股間が、痒くなる。
「ちんぽかゆいにゃ!!!!」
小汚いアパートの一室、四畳半の空間に響き渡る、哀切を伴った悲鳴。
「ちんぽが、かゆいにゃ……」
反復。シャクトリムシじみた前傾姿勢、顔を真っ赤にして絞りだすその声は誰にも届かない――
【仮性包茎に伴う慢性化した亀頭包皮炎】、筆者の抱えた宿痾。
ついでになんか、亀頭のカリのあたりに、白いブツブツもある。これは【真珠様陰茎小丘疹】という。断じて性病ではない。
性病ではないが、ちんぽに白いブツブツがあったら、そりゃもう、見た目は完全なる性病なのよ。
抜き差しならぬ用事の際、筆者と対峙する者は、この真珠様陰茎小丘疹を見て恐れおののく。その正体を確かめようと――
「ステータス・オープン!!」
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筆者のちんぽ Lv6
右曲がり:B
仮性包茎:A
アコーディオン・ペニス:B
カリ小:B
短小:B
■■■■■■■■:A
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卑近な喩えで恐縮であるが、仮にステータスオープンされたら、筆者のペニスはこう↑なる。
■■■■■■■■とはつまり、単なる真珠様陰茎小丘疹である。
だが、対峙者にはそれが分からない。
「――ッ!!ステータス隠匿持ち!?」
警戒心、ビンビンである。筆者はちんちんがビンビンなのにね。
で、その警戒顔を見てこう、懇切丁寧に説明するわけだ。
「お嬢さん、この■■■■■■■■はそのぅ、性病ではなくてぇ、生まれつき?かはわからないけれども、物心ついたころからこうなんですよぉ。そりゃ、見た目はアレだけども。一個のちんぽとしてこう、認めてはくれませんかね?」
別にこのやりとりを挟んだからといって、抜き差しならぬイベント実施の合意が不履行になるわけではない。
ないのだが、こう、一抹の不安というか、後味の悪いホラー映画を鑑賞したようなシコりを残す。対峙者は数週間くらい、発症の恐怖に怯えて暮らすことになるんだろう。伝染らないって言ってるのにねえ。
それでこの真珠様陰茎小丘疹もたぶん、仮性包茎のせいである。
真性包茎にもズル剥けにもなれぬ我ら仮性包茎は、そんなハンディ・キャップを抱えて日々を生きている。
――我ら仮性包茎、望まぬ生に呪われ、鬱屈とともに生きる。
ズル剥けどもよ、見るがいい。我ら罪びとならざるものたちが流す血の色を――
とかなんとか言っているけど、掲題の通り、仮性包茎はだいたい皮オナのせいだろう。普通に自分が悪い。
皮オナ。包皮オナニーの略称。包皮でこう、肉棒本体をりゅくりゅくする。あの(りゅく♥りゅく♥)ってオノマトペを考えたのは誰か知らないけど天才だろうな。明らかに皮オナだもの。あぁ^〜!皮オナの音ォ^〜!!ってなる。ズル剥け野郎には分かんねえよな、このSYMPATHYは。
筆者は小学校高学年からくらいの、年季の入った重篤な皮オナ愛好者であり、挙句中学生くらいの頃には周囲に「シコりかた」と称してあさましき邪術を図示の上で伝達、奨励したので仲の良いともだちもみんな重度の仮性包茎に罹患した。
でもさ。皮使わねえならどうやってオナニーすりゃいいのよ。痛いだろ!ローション使えって!?ありゃあしねえよそんな金は――
国家がそういう、りゅくりゅくしたりしない、正しいオナニーの方法を義務教育で学ぶ内容に入れないからこういうことになる。
きれいなお姉さん、有志の女子大生あたりがこう、全国の中学校を行脚して「健全で正しい自慰行為奨励活動」とか言って、顔を赤らめながら、正しいオナニーのやり方をギョニソーとか使って懇切丁寧に実演すべきなのだ。
そして、男児にはすべからく、国がペペ・ローションを毎月支給すべきなのだ!それが正しい国家だろうが!
分かっているのか!!恥を知れ、恥を!!
――これ以上、この世の中に、悲しみの種を増やさないでくれ。罪を背負うのは、俺達が最後でいい。
そんなような事を考えながら、クソ四畳半で地虫のように蠢く筆者。
――耳元で囁く声。野太い、男の声だった。
「いいから、上野へ、行け。恥は、貴様こそが知れ」
茫漠たる苦しみが生み出した、ひとつの幻聴だろうか。
その後、筆者の行方を知るものはいない。
完
亀頭包皮炎の話を全くしていない。かゆいんだぞ!!