表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポイント・ネモの星  作者: 都津 稜太郎
1.ポイント・ネモ
18/18

18.休憩②


 今日の日本も至って平和だ。

 各国は軍事に割いていたそのリソースを宇宙へ向けた。勿論、ポータルという存在がそれを成しているが、世界における危機感の蔓延が大きい。


 地球はポータルが出来る前、宇宙に行くためのリソースを使い尽くそうとしていた。

 宇宙に向かう準備を行い、宇宙を旅し、宇宙に次なる地球を築く。その為には膨大な燃料と、鉱物資源等、挙げればキリが無いほど大量の物資を使用する。しかもこれを行うのは、一回では収まらない。何回もロケットを飛ばし、宇宙船を宇宙の彼方へ飛ばす予定だった。


 だが、地球は増え続ける人類を維持するために、そのリソースを使う事で精いっぱいで、膨大な資源と膨大な金額がかかる宇宙開発は後回しにされた。


 もしあのままポータルが完成しなかったら、我々はどうなっていたのだろうか?


 自国民を生かすために資源の争奪戦争が行われ、残り少ない資源は使い尽くされて、それを使い切った暁には……原始時代へ向けて時代が逆行していくことになるだろう。そうなった場合、もはや人類は現代の文明水準に戻る事は不可能だ。

 何故か?露天で使える資源は限られ、もう一度資源を利用するためには現代の技術が無ければ不可能で、それを維持できないから人類の文明は退化する。

 よって人類が再び発展するために必要なリソースを、将来の人類が用意することは不可能なのだ。


 この状況に危機感を抱いたのが、ポータルを開発した科学者達。


 彼らは21世紀初頭、2010~20年代の傑作SF小説を読んで育った世代だった。

 アポロ計画と、ポータル計画の間に挟まれた、現代において宇宙から最も離れた世代……

 その時代も一歩ずつではあるが、確実に宇宙への歩みは前進していた。だが、それは目に見える成果という訳ではなく、スペースシャトル計画の終了から民間企業による宇宙開発…そしてAIの時代となり、コンピューターの奥底に蓄積される目に見えない研究だった。


 その間、人類は目の前に広がる世界にのみ注目し、次に空に目を向ける事になったのは、2000年代中盤に、経験と知識を蓄積し続けた1990年代から2000年代生まれの科学者達が、ポータルの基礎理論を発見し、証明したことがきっかけだ。

 これにより飛躍的に進んだ宇宙理論が、自国のリソースと影響力の増大を狙う各国の支援を受け、世界で最も金額を使われるプロジェクトとなった。そしてそれが実現したのは、2000年代中盤の終わり頃、既に終盤へと入った頃合いだった。



 今、私は折角の休みで実家にいるにも関わらず、自室に置いた小説とポータルの開発史を読んでいる。

 20代も後半になれば、実家に帰ってもやることが無いのだ。

 地元の友人は、仕事の為に大都市に出ていたり、結婚して自分の家族との時間を優先していたり、残っている僅かな友人ともそれなりのスパンで会わなければ次第に疎遠になっていくものだ。一方の里美はと言えば地元の友人と細かい時間を縫って、ランチなどに行っているらしいので男特有なのかも知れないとも思う。


 結果として何が言いたいか…そう、本当にやることが無い!

 これが、あと3ヶ月も続く!!


 それが許せない自分は、5日で実家に耐えかねて外に出る事にした。

 誰も連れのいない、行先も決めていない一人旅。使う場所が無かった分、金は十分に溜まっている。期間は今日から1カ月半だ。

 これだけあれば日本どころか海外に行っても良いかもしれないが、1年のうち9カ月も孤島の外国ともいえる場所にいた上に、地球にさえいなかった時間もあるのだ。いまは、日本食を自由に食べられる日本国内を旅したい気分だった。


 翌日家を出ると、公共交通機関を使って日本一周の旅に出た。

 

 詳細は書かないが、それはそれはいい旅だった。別に目的がある訳でもなく、知らない街にいきなり降り立ち、散歩がてら歩き回る。自分がここで生まれていたらどんな人生になったのだろうかと想像しながら、街行く人々と周囲の間風景を見てみる。

 宿など決めずに飛び入りで聞いてみるか、隙間時間で電話してみるか、どうしても引っかからなかった場合はネットカフェなどで一夜を明かす。

 こんな日々を1カ月半に渡って続け、久しぶりに実家に帰った時には休みが残り1カ月となっていた。もちろんやる事も無いのですぐに飽きる事になるのだろうが。


「どこ行ってたのさ」


 実家の前で丁度遭遇したのは里美だった。

 別に9カ月も一緒にいて、会っていない期間と言っても2ヶ月も経っていないはずなのだが、随分と久しぶりに見たような気がする。


「旅行、そこら辺をな」

「あんた、長い事いなかったでしょ。同級生でご飯行こうと思って家行ったのにさ」

「携帯に連絡しろよ」

「しなくてもアンタの部屋が1カ月も電気ついてないんだから察するわよ」

「お前は…俺の事よく見てるな」

「だ・ま・れ」


 久しぶりに会った里美を適当に茶化して家に入る。こんど里美の言っていた通り、同級生とでも飯を食べに行こうか。



ーーーーーーーーーーーー


勤務スパン:宇宙作戦軍では6カ月若しくは9カ月の勤務以外は休みとなる。6カ月ポイント・ネモに滞在した場合は、3ヶ月に渡って本土にて陸上訓練や事務作業が待っているが、9カ月の場合は残りの3ヶ月は休暇となる。

はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ