21 vsボウケンシャ
俺達がその部屋に入ると、たくさんの死体と、宙にうかぶ一匹のゴブリンがいた。
空間魔法を使うタイプのゴブリンマジシャンならば、詠唱されるとまずいと思い、スキルを使って最速の突きを放ったところ、ゴブリンはただの目くらましだった。
そこにいたのは、弓こそもっていないが、まるで村人のような狩人のような恰好をした、まさしく報告にあった怪物に違いなかった。
後ろには仲間と思われるこちらも尋常ならざる気配をもった、ゾンビと犬がいる。
こんなにも多くの死体を造るなんて、こいつらは只者じゃねぇと本能で感じた。。
「オレサマハオレサマダ」
「っ!?報告にあった謎の呪文!?そいつがまぎれもなく奴よ。」
俺が密かに好いている女の子が、怯えたような声をあげる。
こんなとこまで連れてきてしまったけれど、お前にだけは、そんな声をあげさせたくなかった。
奴に隙を見せないように、あの子にも気づかれないように僧侶に目配せする。
いつか誓い合った、もしもの時は今日かもしれないと。
「それな。」
あいつはいつも頼りになる。こんな考えなしのトラブルメーカーの俺についてきて、いつも支えてくれた。王都の学校に行けば偉い神父様にでもなれたのに。
けれど、あいつの下心に手心を加えるつもりはないぜ。あいつも知ってるんだ。俺たちの宝物は王都にはないってことを。俺たちは俺たちの宝物を護る。この命が尽きるとも。
「ねぇ、あの犬をみて。」
「かわいい犬だな」
くそっ、街で仕入れたカッコいい言い回しが出て来ない。剣を持つ手も震えてしまって力が入らない。あの子に気づかれなければいいんだが。
「コノコハケンタロウ」
「っ!また謎の呪文!」
「それよりも、あの首輪。あれは強大な魔獣の強すぎる魔力を抑えるものよ。」
「なに!ならあのゴブリンは超級のビーストテイマーという事か!?」
「アレハゴブコウハイ」
「ごぶ」
「それに、あそこの2体も虐殺の生き残りかと思っていたけど毛色がちがうわ。」
「ほんとそれ」
「アルファトベータ」
「ねぇあなた、いつもみたいに一人で突っ込もうって考えてるんでしょ。わかるわよ。ずっと一緒にいたんだから。でも、今日だけは絶対に許さない。必ず3人で生きて帰るんだから!!。」
あぁ俺が大好きな女の子は、どうしてこんなに素敵なんだろう。
震えは止まった。やるべき事をやる。俺達なら出来るはずだ。
「撤退戦!!プランZ!!光、煙幕、壁だしてっ!!」
---現在公開可能な情報---
・愛に絆されて、仲間になる予定のスケルトン取りこぼした。




