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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
98/153

98、狐のおでん屋

始姐が帰って来た。

夜遅くに。

手には風呂敷に包んだ円柱のお弁当箱がある。

匂いからしておでんである。

「狐のおでん屋ですか?」

ジェラルドがワクワクしながら言うと聞いたこともないと言わんばかり顔で歳三が

「狐のおでん屋?」

と言った。

滅多に食べれない。出汁のきいたおでんは身も味も一流。


「そおなんです~♪本当に美味しくて………」


ジェラルドの久々の饒舌に味を思い出したのかうっとりとした顔をしている。何度も再現させようとしておでんを作っているが、狐のおでん屋まで到達したことが無い。

たまに、嫌、本当に巡り合えば凄いラッキーな狐のおでん屋。

滅多に会うことない幻のお店と呼ばれ、いつ、どこで、どのようにして会えるのかも分からない。

そんな狐のおでん屋からおでんを持ち帰った始姐。

無理を言ってテイクアウトにしてもらったんだろう。

本当に始姐は顔が広い。


「この味です。この味。………もう美味しいです。どうすればこれ程になるのかな?」

牛スジを食べながら味を考えていくジェラルド。

「本当だ。大根も味が染みって旨い」

味の染みった大根を食べる歳三。中から出汁が溢れ出てくる。

「でしょ」

串に刺さったタコを食べる始姐。おでんを食べる始姐、ジェラルド、歳三の手は止まらない。

お皿にはおでんの串がたまっていった。

「この出汁もたまらなく美味しい。ジェラルドご飯有ったかな?」

「有りますよ。」

即答で答えるジェラルド。

すぐさま土鍋に炊いてあったご飯とお玉としゃもじと茶碗とスプーンを持ってきた。

「〆にね雑炊にしよう」

「歳三、出汁残しておいて下さい。」

「分かった」

その日はおでんパーティーになり残しておいた出汁で雑炊を作り始姐、ジェラルド、歳三はペロリと食べきった。

「幸せだ~♪」

「やっぱり、狐のおでん屋にはまだまだ僕は修行が足りません。明日は僕が作るおでんでどうでしょうか?」

「明日は酢鳥だよ」

「そうでした。酢鳥でした。あれはあれで美味しいので」

「酢鳥?」

「鶏肉を焼いてお酢で煮込む簡単料理」

「手抜きですが」

「そんな事ないよ。ジェラルドの作る料理はどれも美味しいから」

「シロエは作らないのか?」

「歳三、始姐がまた創作料理について考えるじゃないですか!僕達つい最近死にかけたんですよ(コソッ)」

「す、すまない(コソッ)」

「ん?どうした?2人共」

「「何でも有りません。」」

死は身近に潜んでる。

僕達にはたまに作る始姐の料理をどう回避すればいいのか考える。

前、始姐はジャガイモの緑色した所も鍋に入れていた。

その他毒キノコや毒芋も毒人参も入れてスープを作っていた時は、マジで捨てた。

何でだ?何故毒系ばかり当てさも美味しいと思える!?

見た目いかにも怪しいでしょ?


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