82、新しい何かを見つけろ
「全システム。家の中にいる異物を見つけ排除せよ。出来ぬなら起こせ。」
寝言を見たいだけど声ははっきりしていた。
始姐の声によりキィィィィンと甲高いが小さい音がする。
小さいとは静かにして耳を澄ましていると聞こえてくる音だ。本当に小さい。
始姐を中心として青白い球体が、スピードを上げて広がる。
『どうした。斎藤』
突然たじろぎ始める斎藤。
「始まりましたか」
ジェラルドは笑った。
笑って行動開始する。
全ては始姐の為に・・・。
◇◇◇◇
「おやおや。何を騒いでるのですか?静かにしろと申し上げたはずですが?」
靴音を立ててなめきった口調でジェラルドは言う。
いつもと違う雰囲気に歳三は席を立ちジェラルドの隣に行った。
「ジェラルド。どうしたん。真剣なんて持って?」
ジェラルドが前髪で目を隠してわからないが口元に笑みを浮かべ鞘から剣を抜き聞いた。
「歳三。一つ聞いていいですか?」
「何だ?」
「あれは何ですか?」
「何って、あれは斎藤はじ・・・」
歳三が見たのはぐちゃぐちゃになった2本の足で立つ肉塊。肩から歯が出たり胴体から何本の腕が出たり、空中で掴むと仕草もしてる。胸元にギョロと目玉が多数出ると歳三とジェラルドを獲物を見つけた様にニヤニヤしてる。
「化け物・・・」
「クックックッ。獲物だぁぁぁ
一緒になろうぅぅぅ!一つになろうぅぅぅ?」
肉塊がの中心から裂けると無数のキバが現れる中からギョロと大きな目玉がこちらを見てる。
「歳三。僕が言う稀人になり損ねた者。厄災の正体です」
身体が大きく内臓が膨らんで割れる。色んな汁を撒き散らしてグチャグチャのドロドロになって迫る。
「気持ち悪い生き物です。取り込まれたら最後どんなに足掻いても出て来れません。気を付けて下さい」
ジェラルドが言うと2本の刀を投げ渡した。
青白い光が醜いドロドロのグチャグチャにあたり悲鳴をあげる
「うわぁぁぁ!!」
ジューと肉が焼かれる音。
どぶ川の匂いがする。
「角ウサギの方が美味しい匂いをさせます。」
そこ?今、その感想いります?
胴体の目玉は隠れ、身体に新たな口が出てくる。
腕の一部が消えても新しい腕が生まれ消えるを繰り返す。
『だずげでー!!ひじがだ』
口から顔が生まれ言葉を発すると2つに割れて新しい腕が顔が中から出てたすけを呼ぶ。
「見いられたな。歳三。」
ジェラルドの顔が歪む。
身体から無数の手を伸ばして俺達を掴もうとするが、
「始姐の魔法ですね」
青白い光でことごとく潰す、腕。
溶けて蒸発し、また生まれを繰り返す。
稀人になり損ねた魔の生き物は光に包み込まれ垂れ流した汁も浮かび包まれる。
「うわっ。気持ち悪っ!!」
ひきつる歳三。
球体の中で身体が膨張して割れるを繰り返しもう原型が無い。
球体が収縮して赤黒く鈍い光を放っている。
2階から降りて来るの足の音。
家のの窓がバンッバンッバンッと次々に自動的に開く。
「シロエ」
降りてきたのはシロエだった。
右手に空色の金属バットが握られてる。
『◯▲□●■◇△◇▽』
ジェラルドすら聞いたことのない言語
赤黒い球体にフルスイング
カキーーーンッ
つかさずジェラルドが
「たっまやー」
違う違う。そうじゃない。あれは花火じゃない。
「いいのか?」
「ここに被害がなければ良い。それにあれに引かれる者も確かにいる。」
「例えば?」
「冒険者ギルドのデニス。あの生き物をバットで打ったからその内届くでしょう。」
「届くって、配達か?」
「デニスの体内に取り込まれ一つになった時に倒せばいい。」
「シロエはトヨハシを戦場にしたいのか?」
「別にどうでもいい。沢山人が死のうが。
ただ私がいるこの森に異物はいらない」
瞳がいつもと違う。まるで獣の様だ。瞳がキュウと細くなってた。
「異物だ。歳三も下手すればあれと同じになってた。」
始姐は歳三の顔を見て
「運命とは時に残酷だな」
と呟いた。
床を見ると溶けてくぼんだ板に何とも言えない匂い。
水魔法で床を濡らし床を剥がす。闇魔法で板を侵食して消すと新たな板を着ける。
大きな狼が窓の外でお座りをしている。
「ゼウスよ
あの異物は排除した」
「それは安心だ」
「狼が・・・しゃべった!」
ゼウス、始姐、ジェラルドは顔を見合せ「何当たり前の事を言ってるんだ?」と目で訴えかける。
「それは良かった。そこの稀人の思いと時空と次元の間で生まれた化け物が偶然重なりあいこの地に来たか。そこにいる餌を食べる為に」
「俺は餌なのか?」
「思いを馳せるなとは言わない。だが強すぎる思いは身を滅ぼす時もある。」
「・・・」
「新しい何かを見つけろ。」




