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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
74/153

74、魔法銃

僕たちは、ギルドマスターの後に続いて2階にえるギルドマスターの部屋に入り、ソファーに座る様にベレンから伝えられ、フカフカのソファーにシロエ、トシ、ジェラルドの順に座った。ベレンは反対側に座ると一番に頭を下げた。

「すまなかった」

武器は皆肩に掛けてある。

「あの男は、上層部に親戚がいて俺も中々注意が出来なんだ。だが、冒険者を使い襲うのはご法度。本当に申し訳ない。」

ベレンが謝っても誰一人として口を開かない。

皆、ブスーッとしてる。

遠くから聞こえる駆け上がる靴の音。

突然、ギルドマスターの扉が開きラキィが言った。

「お話中すいません。ギルドマスター、アホの様子がおかしいです。ポーションも効かなくて」

「すぐに行く。すまないがお三方待っててくれないか?」

ベレンの言葉にジェラルドは頷きベレンは1階に降りた。

見送ったシロエは、

「予備の急須と湯飲みを買っといて良かった。」

とアイテムボックスから出した急須に茶葉を入れて魔法で作り出したお湯を入れ少しも蒸らして湯飲みに注ぐ。

コボボボッ。

お皿にロールケーキとフォークを出してトシとジェラルド人渡す。テーブルの上にロールケーキにチーズケーキ、クッキーにビスケット。テーブルの上にはお菓子だらけだ。

『今この状態で食べるのか?』

『そうだよ。イライラしてる時は甘いものが一番。考えもまとまるしお腹もいっぱいになる』

『夜ご飯も有りますから程々にですけどね』

思い思いの言葉を言うとパクリとシロエがロールケーキを食べた。

それがきっかけでトシもジェラルドも食べる。食べる。

ギルドマスターの部屋は甘い香りに満たされた。

(ああ、緑茶が旨い)



◇◇◇◇


ベッドに寝かせてあるデニス。

ベレンは撃たれたデニスの肩を見て

「これは、魔法銃の跡か・・・見るのは初めてだ。扱える者がまだいたんだな」

「魔法銃とは何ですか?」

「お前達は知らなくて当然だ。俺も良く知らなんだ。ただ大昔に魔法銃があった時代で大勢の死者を出した。ポーションも全く効かなくて、打たれたところで半径15~30cmの所まで魔法が侵食して使い物にならなかったと言い伝えがある。打ち所が悪ければ痛みに苛まされ見投げをする者も後立たなかったと文献に残ってる。俺も本物を見るのは初めてだ」

「そんなに凄いんですね。魔法銃は・・・」

リリィ、ラキィ、メリッサの顔が青くなる。

「リリィの頬が掠めたのは、牽制と忠告だな。シロエはとんでもない奴だ。」

「上層部にはなんて?」

「有りのまま伝えるしか無いだろ。デニスの肩は使い物にならない。ここでデニス・・・このアホを庇う価値は無い。俺達もやり方を間違えれば、こうなるだろう。リリィは本当に運が良かったな」

ベレンはため息をついて、リリィ、メリッサ、ラキィを見て言った。

正確に撃ち込める弾丸にその技術、そして魔法の高さ、上層部は逃がさないだろう。

それどころかマスケット銃の作り方を教えろと高圧的に言うだろう。

何とも頭を悩ませる案件だ。

ベレンがデニスを見て一言言った。

「迷宮で死ねば良かったのに」

いつまでも伸びてるデニスが心底羨ましかった。



◇◇◇◇



話が終わりギルドマスターの部屋に戻るベレン。扉を上げてビックリした。シロエ、トシ、ジェラルドがテーブルを囲んで肉を焼いていた。

ジュージューと肉が焼ける匂いと煙にベレンは呆気に取られていた。

七輪で肉を焼く。

甘い菓子を食べていたが、口の中が甘々になり中和しようとの事でアイテムボックスから七輪と肉を出して焼き始める。匂いでトシとジェラルドの腹の虫は盛大に鳴り、音を聞いた3人は笑いながら肉を焼き始めたい。

白米と肉を食べるシロエがベレンに気付き一言。

「こちらはまだやってるから話をしてきたらどうだ?」

もっ、もっ、もっ、もっ、

と食べるジェラルドとトシにシロエが肉を追加する。

呆気に取られていたベレンは、大声で

「ここは火気厳禁だー!!」

と言い放つが、シロエ、トシ、ジェラルドにとってどこ吹く風の様に肉を焼き続ける。

怒っているベレンにシロエは肉を進めた。

「食べるか?」

我が道を往く3人にベレンは深いため息を着いた。

何も言っても駄目だと悟りベレンも焼き肉を堪能した。

「肉を食べながら聞いてくれないか?」

申し訳なく言うベレンにシロエ、トシ、ジェラルドは

「トシそこの肉焼けたよ」

「本当だ。」

「美味しいです。白米とあいます~」

「話聞けよ!」

結局話は肉は終わるまで出来なかった。

「はぁ~食べた。食べた。お腹いっぱいになってら眠くなった。」

七輪をアイテムボックスに片付け緑茶を飲んでお腹をさするシロエ。

「おい、今度はお眠か?」

呆れて言うベレンにジェラルドは

「すいません。もう眠たそうなので切り上げます」

と言った。

「話は?」

「明日聞きに来ます。ギルドマスターを信頼はしてますが、信用はしてません。」

ジェラルドはベレンに言い放つシロエをおんぶしてギルドマスターの部屋を後にする。

「失礼する」

トシは刀を腰に差して左手で扉を閉めて出ていった。

「違うな。ジェラルドのあの目は信用も信頼もしてないと言う目だ」

手で目を押さえて呟く。

まずは、信頼を撮らないと行けない。

道のりは厳しい。とベレンは思った。

読んで頂きありがとうございます。

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