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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
66/153

66、写し

あれから歳三は時々物思いにふける時が有る。

始姐に聞いても「そっとしとこう」との事。

ご飯は朝、昼、夜としっかり食べてくれるのでいいんだが

2振りの刀は、まだ出来ない。

難しくたまに始姐も唸り、眉間にシワを寄せて寝ている。

魔法の事は僕は分からないのでどうしようもない。

こう言う時は、

『釣りに行こう』

僕は、物思いにふけている歳三を釣りに誘った。

昔、始姐が誘ってくれたように。

竿を持ってバケツを持って湖へ。

道中は会話は無くひたすら歩く。

いつもは始姐のお陰てパパッと行けるけど、今日は歩いて1時間がの所に大きな湖がある。

「着いたよ」

針に肉を着けて湖にポチャン

後はひたすら待つだけ。

僕達は、倒れた木に腰をおろした。

僕は湖を見たまま歳三に聞いた。

「始姐に掃除の事聞いたって」

『掃除じゃない。総司だ。』

「悪い。で、その人はどうしたんだ?」

『こちらに来てるかなと思った。俺より若くて早くに亡くなった。』

「強かったのか?」

『ああ』

「そうか。・・・実はな、歳三が来た時、僕はもう反対したんだ。

知らない人、稀人は厄災と僕が生まれた所では言われていたから。

でも始姐は反対して家に上げた。残ってる文献を片っ端から読みあさり稀人は吉兆の人だと根気よく僕を説得してくれた。

僕は歳三の言葉を覚えて剣術の腕も上がった。

ここでは危険は無い。始姐だけは・・・羨ましいけど」

『何が言いたい?』

「多分だが、そのソウジって言う人も会える日が来るんじゃない?知らんけど」

『知らのか?』

「知らないよ。始姐じゃ無いので」

僕と歳三は顔を見合わせる。

2人して大笑いした。

始姐しか知らない。

あの時も突然釣りに行ってくると言い残し連れて帰って来たのは魚じゃ無くて歳三だった。

『ジェラルド引いてる!』

「歳三の方も引いてる!」

力強く引いて釣り上げたのは小さい魚だったのでキャッチ&リリースで湖に戻した。

僕と歳三は2人してボウズで帰宅。夜遅くに帰って来たので夜ご飯を作ったのは始姐だった。

始姐の料理を見て歳三が一言

『これは・・・料理・・・なのか?』

ミドリ色の何かがドロドロになってこちらを見てる。

シュミラクラ現象と言うのだろうか?顔の様に見える。

コボッコボッと鍋の中で煮えてる何か

「ひっ!!」

喉奥で僕は悲鳴を上げた。

『シロエ、こ、これは何だ?』

「前にジェラルドが作った味噌汁だ!」

胸を張り言いのける始姐。

えー!!これが味噌汁?!

もっとサラサラしてますよね

汁と付くだけに。

これ僕達が食べるのですか?

僕は歳三をチラッと見て止まった。歳三もこの世で見たことが無い何かの魔物を見てるようだ。

「今から僕が作ります。」

『そ、それがいいな』

「ご飯なら鍋に有るよ」

ゴボッと鍋の中のミドリが弾けた。

まるでアニメの「早く◯◯になりたい」と言う魔物が出て来るみたいだ。

僕はご飯を炊いておにぎりを作り皆で食べた。

ちなみに始姐が作った料理は捨てた。

だって仕方がないじゃん!

あんなの食べたくないよ!

見てよ!思い出しただけで歳三の顔が青いよ。


夢見が悪かった。

始姐のご飯を食べさせられた夢だ。翌日、僕は早起きして朝ご飯を作った

ご飯は味噌汁、焼き魚にたくあんだ。歳三が嬉しそうな顔をしてるよ。

食べ終わったら紅茶タイム。

「紅茶が旨い。ん?出来たか」

マグカップをどかしてテーブルの上に2振りの刀と2振りの刀の写しを出した。

『出来たのか!!』

「ああ」

始姐はニヤリと笑った。

歳三は写しの方を手に取り鞘から刀身を抜く。

艶消しの鈍い光。

うん。綺麗だ。

「写しだ。・・・どうだろうか?」

『申し分もない。いい出来だ』

歳三の一言で和泉守兼定と堀川国広の2振りの刀は淡い光に溶けて消えた。


読んで頂きありがとうございます。

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