17、カモメ新聞
パン?が出来た。
ふわふわのもっちもっちじゃなく厚みがあり圧縮してあるパンだ
「おかしいな?もっと膨らむと思ったのに」
(ベキングパウダーが入っていないので無理です)
「香りもしない」
(バターが入って無いからです)
「まっいいや今度外でナンもどきでも焼こう。強力粉はまだあるし」
形から取り出したパンをナイフで切る
鍋から深皿に肉や野菜の煮込んだ物を移す。
「とりあえず形だけでも食事の用意が出来た。それじゃ食べよう」
「「いただきます。」」
フォークで野菜を刺して口に運ぶ
「んっまい塩胡椒も効いてる。肉の旨味がでてる」
「スープにパンを浸すと美味しいですよ。」
カチャカチャ音を立てて食べる。マナーとか知らないけど美味しくいただいた。
「ポーションの依頼はありませんか?」
マグカップに紅茶を注ぎ入れジェラルドは始姐に聞いた
「ん?無いけど何で?」
「いつもならこの時間帯はポーションを作っているので」
「あー、そう言うこと。必ず一度は作業場所に行き注文書の確認と薬草の確認もしてる。カモメ新聞で書いてあったけどダンジョンは順調に攻略中。心配ばかりしてるとハゲるよ。それに注文受けて納品したばっかりそんなにはすぐに来ないよ」
「僕はまだハゲていません。確かにそうですね。心配ばかりしてます。ってかカモメ新聞なんて取っていたんですね。」
「たまにね。間違えて落とした物を見ているだけだよ。料金も確認したけどあちらの手違いだからお代は無しで1年に1回あるかないか程度だよ」
「カモメ新聞って大手の新聞屋じゃ無いですか」
「そうだよ。新人の訓練の為に始姐族の森で新聞を持って飛行訓練してるんだ。練習をするには一番いいらしい。」
(始姐から聞いた話だと風の向きがすごく入り交じっているから鳥は高度を上げずギリギリで飛ぶ。その代わりカモメ新聞は時間との勝負だから風に乗って早く飛ぶため過酷な練習があると聞いたことがある。まさか始姐の森で飛行訓練とは)
紅茶を飲み一息つき椅子に持たれて寛いだ。
「ジェラルドの入れる紅茶は美味しいね」
紅茶のお代わりとしてマグカップを差し出す。
「ふっふっふっ。紅茶のジェラルドと言われていましたから」
マグカップに紅茶を入れて始姐の前に置いた。
「あれっ?始姐その新聞は3日前の物ですよ」
「3日前の物でもいいんだ。数少ない情報だし、カモメ新聞は読みやすい。只で貰えるから文句は言わないよ」
紅茶を飲みながら始姐は言う。