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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
150/153

150、経済的にとてもいいと言えば聞こえがいいが、ケチと言えばケチに聞こえる。

1年かけて沖田は、古代語、共通語を覚えた。


「長かった~♪。長かったよ~♪」

木刀を持って鼻歌交じりに道場に来て言う沖田。

「これからは、逃げ出す事は無いんだな?」

土方が言う。

「ハイ。土方さんも斎藤も山崎とも剣術が出来ます。」

嬉しそうに話をする沖田。

ジェラルドのスパルタ講義は、もう嫌らしい。

煮詰まるとジェラルドのお菓子をもらえて始姐が一緒にいればスパルタ講義も少し、ほんの少しだけ優しくなる位だったけど、いるといないじゃ雲泥の差があるんだ。


沖田の文字の読み書きはほぼ出来るようになった。


始姐も今自分の部屋にとじ込もっているよ。片付けて欲しい本や洗って欲しい服を籠の中に詰めている。

「こんなに有ったんですね。洗濯のしがいが有ります。まずは、柄物とそうでないものに分けて、下着、服、ズボンに分ける。えーと、スタートボタンを押して水の魔石をセットしててあるので………水が出ない。始姐~!!始姐~!!」

遠くで始姐を呼ぶジェラルドの声に始姐は?を浮かべながらジェラルドの方に向かった。


「どうしたの?」

「これ不良品です。昨日水の魔石をセットしたのに、水が出ないのです!」

プンプン怒るジェラルド。


言えない。水の魔石が欲しくて始姐が抜いていたとは、言えない。


「水の魔石かどうか知りませんが、昨日シロエさんが何か取っていました。」

「なっ!!丞!」

慌てる始姐にジェラルドは、

「丞、説明求。」

と淡々と言っていた。


カクカクシカジカでと話をしてジェラルドが “もう、しょうがないな” と困った顔をしている。


「えっ?怒らないのですか?」

「始姐だから、いいのです」

「“始姐だから”。では、俺達がやったら?」

「全く同じ魔石を用意してもらいます。」

キッパリと言うジェラルド。

何?この差。

始姐のやる事全て許していたら我儘(わがまま)な子になっちゃうよ?

いいの?

「いいのです。始姐はいっぱい我儘を言っていいのです」

あー、いいんだ?

「それに僕は、始姐が我儘を言っている処は聞いてないのです。」

始姐は出された食事に一切文句を言わずに食べる。同じ物が連チャンで続いても何も言わない。

ジェラルドが前に聞いたのだ

「何で文句を言わないのですか?」

そしたら始姐は、

「作って貰えるだけでありがたい。文句を言ったら失礼にあたいする。」

っていう言っていたんだ。

感動物だよ。


それって普通じゃない?

普通じゃ有りません。

大体僕が始姐に出合う前何て………

どうした?

何でも有りません。


「ハイ。ジェラルド。水の魔石だよ。」

新たに始姐からもらった水の魔石は色が濃く純度の高い魔石だった。

「いいのですか?」

「いいよ~」

のほほんと言葉を返す始姐。

魔石を魔導式洗濯機にセットしてスタートボタンを押す。

後は全自動だ。

その間は、乾いた洗濯物を取り入れ畳む。

「これは歳三の。これは丞の。これは、斎藤にこっちは、沖田で持って、こちらは始姐の。」

畳ながら服を確認してく、綻びがないかを。

「始姐の森に入る服は大抵この格好ですね。そろそろ新しい服にしましょうか? ボロボロだし。」

穴が開いて、ベージュの色は茶色になってる。


普段、始姐が家にいる時は短パンにTシャツの格好で道場や家の中を動いている。冒険者の時は動きやすい格好とはいかず最高の素材で作った装備服を作って着ている。


「あっ始姐。この服なんですが新しいいらない服に替えたらどうでしょうか?」

「まだ使えるから捨てないよ」

始姐は中々服を替えない。綻びた処は縫って使う。

人から見れば捨ててもいいのに始姐は、手直しが出来なくなったらウエスとして使って、ボロボロになったら初めて処分をする。

経済的にとてもいいと言えば聞こえはいいが、ケチと言えばケチに聞こえる。


洗濯物が終わって、外に干す。

風に靡く洗濯物。

「よーし洗濯終わり!」

籠を持って洗濯場に戻り籠を置いて始姐がいるテーブルに向かう。


キッチンに着くとアルミ缶から水をくみ鍋に入れて、魔導式コンロに置いて火をつける。

ゴボゴボ沸騰したら火を止めてマグカップにコーヒーの粉を入れてお湯を注ぐ。

始姐はこう見えてブラック。

ジェラルドはミルクと砂糖を入れる。

お盆に置き始姐がいる処に持っていく。

「始姐。コーヒーが出来ました。何をしているんですか?」

「ん。ありがとう。今は、水の魔石にダンジョンとなる核の紋様を書いてる。蝦夷の海の幸がドロップする迷宮の核。」

「複雑ですね。」

「複雑だよ。」

始姐は手を止めてコーヒーを一口飲む。

“ほう”と息を着いてマグカップをテーブルの端に置いた。


「シロエ、剣術の稽古相手になってくれ!」

と歳三が木刀片手にベランダから身を乗り出して始姐に言う。

「「剣術の稽古相手?」」

ハモる始姐とジェラルドの声。

「ああ、シロエは影から黒剣を無数に出せるじゃないか、あれと対戦したい。」

「………あの黒剣は、疲れるから、あんまりやりたく無いんだよ。マスケット銃でいいか?」

「弾丸避けるの難しいから銃は無しで。」

キラキラの目で歳三、斎藤、山崎、沖田は始姐とジェラルドを見てくる。

「駄目で………」

「いいよ。長く出来ないけど黒剣を慣れる時だね。」

「始姐。いいのですか?」

「いいよ。歳三達が言って来るのは珍しいから」

のほほんと言ってからコーヒーを飲みきりテーブルの上の彫刻刀と魔石をアイテムボックスに入れてサンダルを履いてベランダから道場の方に向かってジェラルドと一 緒に歩く。

歳三、斎藤、山崎、沖田は、駆け足で道場に向かって行った。

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